• MV_1120x330
  • MV_1120x330

そろそろ消極的な選択をやめないか【連載】松尾英里子のウラオモテ

松尾英里子 松尾英里子


LoadingMY CLIP

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

これまでほぼ5年くらい、妊娠・出産・育児に追われてきた。この間、服に対する思考は徐々に停止し、一方で機能ばかりを求め続けてきた。
 

産前は、大きくなるお腹に対応できる服かどうかを考えた。第一子の妊娠中はずっとアメリカにいたのだが、なかなか日本人体系向けのマタニティウエアに出会えずにいた。結局、日本から送ってもらったり、わざわざワシントンDCからNYまで片道4時間かけて行って、困ったら日本ブランド、という、ありがちな発想のもと、ユニクロでブラトップを購入する、というようなこともした。
 

産後は、授乳に適しているか、家でジャブジャブ洗濯機で洗えるか、できれば乾燥機で乾かせるか、などと考えていた。そうしているうちにクローゼットには、前開きの綿シャツばかり(しかもどういうわけだか白ばかり)が増えていった。
 

それでも第一子の産後はまだよかった。出産後に残るお腹周りのお肉(いわゆる浮き輪ってやつ)を一刻も早く消滅させ、憧れのあのブランドのワンピースを着るんだ、などと思ったりもしていた。まだ、洋服を楽しみたいという気持ちが私に残っていたのだ。
 

だが、第二子妊娠・出産を経て、日々、2人の育児に追われる私には、もはや服のことを考える時間はなくなっていた。公園で泥や砂にまみれてもいい、家で洗える、汚れが目立ちにくい・・・そんなことばかり考えていた。そして、とうとう気付いてしまったのだ。

 

あれ、私が本当に着たい服は何だったんだろう?

 

着たいもの、じゃなくて、着られるものばかり考えていた。好きだったサテンやシフォン素材は封印。そんなに得意じゃない綿やスウェット生地ばかり増えていって、服を着て気持ちが上がることはどんどんなくなっていった。
 

そして、同じことが、自分の今の生き方そのものなような気がしてきた。
 

子どもがいるから〇〇できない。まだ小さいから〇〇は我慢する。やりたいことよりも、無理なくできることを選ぶ。

 

街角のクリエイティブ ロゴ


  • このエントリーをはてなブックマークに追加

TOP