だいじといえば一番だいじな登場人物を紹介するの忘れてました。学校の先生です。
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ブルーナー先生。演じるのは、ウディ・ハレルソン。この映画で最の高です。あのウディ・ハレルソンですよ!
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「ナチュラル・ボーン・キラーズ」の殺人鬼ですからね、とうとう悪い人が出てきたのかと思いましたけど、違いました。さいごまで素敵な先生でした。
これがほんとうにいい演技。「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」のロビン・ウィリアムズとか、「ムーンライト」のマハーシャラ・アリとか、主人公を見守って教えを説く先生的な役って、アカデミー賞助演男優賞を獲得しがちですけど、この映画のウディ・ハレルソンも、ほんとアカデミー会員何をみてんのといいたいぐらい素晴らしい演技でしたね。
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自殺する! とネイディーンが心にもないことをいうと、アイスでも食いに行けとサラッと言い(アイスを食べると本当にサラッと解決するもんです)、暴言を吐かれても、怒らず一呼吸おいて間をとる。さらにクッキーの出てくるタイミングと、それが先生自身の家庭の描写につながっていくところはさすがでしたね。
先生と生徒の絶妙なやりとり、脚本と演出と二人の演技、ここを観るだけでも値打ちありますよ。あ、ちなみに遅刻したとき“お父さんが死にました”って言うのはトリュフォーの「大人は判ってくれない」で“お母さんが死にました”って言うのへの細かいオマージュです。
で、映画は感情をコントロールできなくなったネイディーンが車を暴走させるところが一番危ない山場なんですけど、乗り物の使い方にも映画的なテクニックが生きてますね。どこでどんな車に乗るか、そしてラスト、等身大の主人公は何に乗っているか、ぜひチェックしてください。
で、いろんな人の愛情に気がつく彼女ですが、アジア系クラスメート、アーウィン・キム君との関係が、とてもいい感じで進んでいきます。この役者、声も佇まいもめっちゃいい。中国系のヘイデン・ゼトー君が演じてます。
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すごくジェントルマンで、映画作りを頑張ってるんですけど、いきなり軽い人種的偏見をネイディーンにぶつけられますし、両親はソウルに行って1ヶ月帰ってこないとか、孤独に絵を描いて壁に貼ってたり、彼もやっぱりいろんなこじらせがあって、それを「ものを創ることで乗り越えている」んです。
彼が作ったアニメは、自意識の檻に閉じ込められた姫を救うという話。でもそこにちゃんと客観的視線を獲得した彼が作家として笑えるオチをつけてます。
しっかりこじらせたけど、一人でものを創ることで突破しています。そしてその劇中劇が入っているこの映画とちゃんと入れ子構造になってるんですよね。
この映画、じつは「桐島、部活やめるってよ」の側面もあるんですよ。映画のラストで、孤独でもなにかをつくるとみんなに尊敬される姿を描いてます。「桐島」の先にちゃんとあるべき状態ですね。
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