さいわい、なのか、あいにく、なのかわからないけれども、グローバルに生きている僕はそういった日本人的な美徳を持ち合わせていない。遠慮なくストレートに好条件の仕事をあっせんしていただければ、お互いに貴重な時間を浪費せずに済むのになぁ、そんなふうにビジネスライクに考えてしまうのである。
日本人の美徳に囚われない、言ってみれば世界基準の僕は「そんなに心配してくれるのなら、君の会社に招いてくれよ」「下請け会社に僕一人ネジこむなんて余裕だろ」という生々しい要望を言葉にして、友人知人に投げかけては絶望している。
なぜ絶望するのかというと僕の切実な要望に対して彼らが一様に「イヤ、イヤ、イヤ、イヤ」「無理。無理。無理。無理」つって、僕の就職を取り成そうという気概を見せようとせず、門前払い的なスタンスを頑なに守っているからである。
心配ベースで話を聞いてくれているはずの友人知人ですら、血も涙も就職のあっせんもない、この有り様。僕という存在を知るはずもない世間の皆様が、通報、投獄といった、より冷酷な仕打ちをもって僕に対峙するであろうことは、容易に想像がつくのである。