三兄弟は地球にやさしくしようと決める
三人は、河原で川の流れを見つめている。まわりでは花見客たちが楽しそうにしている。
「地球にやさしくしよう」
ひでつぐが言った。まさつぐとしげつぐは、うなずいた。自分たちが二酸化炭素を吐いてしまうのならば、せめて、地球にやさしくしよう。徹底的に地球にやさしくしよう。地球のことをほめたたえよう。それが三人のスローガンになった。
「地球にやさしく!」
ということで、その後の三人は、火星にきびしくしている。
三人で街を歩けば、火星の悪口ばかりだ。空を見上げると、火星のありそうな方向にむかって、ぼろくそ言っている。三人の火星に対するきびしさは、ほとんど鬼教官のようだ。しかし地球に対しては、仏さまのようなやさしさを見せている。地球温暖化はとめられない。しかし、地球にやさしくすることはできるし、火星にきびしくすることもできるのだ。火星はクソだ! それに比べて、地球のすばらしさといったら!
三人は笑顔になった。
まわりの人間たちは、「春だなあ」と思っている。
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