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スタバで長居する客には、茶漬けをすすめればいいのでは?

上田啓太 上田啓太


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スタバ茶漬けで何が起こるか?

例の話では、茶漬けが実際に出てくることはなかった。

しかし、スタバ茶漬けにおいては、もう実際に出してしまいたい。あたかも新商品のサンプルを配るかのように、客のテーブルに茶漬けが置かれるのである。そうして客は「もう帰れよ」とほのめかされる。最悪のやりかたである。ほんとうに性格が悪い。まだ直接的に言われたほうがいい。

ノートパソコンを開いていれば、「熱心にお仕事してはりますなあ」と言われて茶漬けを置かれる。イヤミである。勉強している学生には、「大変ですなあ、学生さんは」からの茶漬けである。イヤミである。おしゃべりしている女には、「若い娘さんは元気でよろしゅうおますな」からの茶漬けである。イヤミである。日々、長居する客に茶漬けが配られていくのである。

スタバ茶漬けは衝撃とともに受け止められる。しかし、徐々に浸透していくだろう。人々は茶漬けを出されると、ばつの悪そうな顔をして帰り支度をはじめる。店員はにっこり笑って、「お早いお帰りですな」と言う。イヤミである。

やがて、インスタグラムにスタバ茶漬けの写真が並びはじめる。「出されちゃいましたか」みたいなコメントもつくようになる。「このあとさらに二時間いました」という猛者も出てくる。そう、「茶漬けを出されたが粘る」という選択肢も生まれるのである。われわれは戦略的に鈍感になることで、京都人の性格の悪さに対抗せねばならない。

あえて、無粋に。

ビジネス誌にはそんなコピーが踊る。われわれは店員の目の前で茶漬けをグイッと飲み干し、「いやあ、おいしいですねえ!」と言える胆力をもたねばならない。プレジデント誌の調査によれば、成功した起業家のじつに95%が、過去にスタバ茶漬けを飲み干した経験をもつという。真のイノベーションはスタバ茶漬けを飲み干す男から生まれるのだ。

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