働く意義
私の解説についてです。この「街クリ」は、書くことや、クリエーティブワークに関しての読者がほとんどなので、そのあたりに興味もつ層が本を買うきっかけになればと。
わりと昔から加藤のことを 諦観というか、傍観しているひとにひょうひょうと語ってもらうのがいいのでは、と考えて田中さんに頼みました。
いやいや、諦観はしてませんよ(笑)。読んでみて、いかがでしたでしょうか。
本書は、僕の半生のお話を通じて、起こしたこと⇒気づきを追体験してもらってるんだけど、そもそも、なんでそんな人になっちゃったのか、みたいなところで、異常な世界に巻き取られ、そのまま自分もまたその扇動者になってるあたりが、客観的に田中さんの視線で読者に導入できるのかな、って。
僕は徹底して傍観者目線ですよね。僕が出会ったときは加藤さんはもう、異常の中心人物でした(笑)。なので、わたしは、私自身が異常に巻き込まれた経緯を書くしかなかったんですよね。
いま、日本の若い人の働き方でガッカリすることが多いのは、仕事というのは「いやなことやって対価をいやだったぶんちょっと得る」みたいな感じがあるなぁ、と思って。
それは90年代以降そうなったんだよ、たぶん。労働とはそういうもんだ、って。むしろそっちが普通でしょって語られてるような。
そうですね。まさに。
対価を支払ってくれる方に「儲け」を実感してもらえば、商いは続くはずだから、意図してそういう仕組みを創ることを経営者として取り組んでもいるし、働く喜びってそこにあるのを知ってほしいですね。
アジア、そして映画
話はアジアに戻りますが、そのなかで加藤さんが映画を創られることになって。
僕は東南アジアに拠点を移したとき、日本人はアジア各国となかよくせなあかんし、日本は尊敬されている、好かれているな、としみじみ思ったんですよ。
だから、今の日本社会でいろんなことを諦めかけている若者が、香港の女性、韓国の女の子と出会って、もう一度目線を外に向ける、心を上に向ける、そんな前向きな物語を創ろうと考えました。
リム監督の「新世界の夜明け」を観て、3人で焼き鳥屋で話をしたんですよね。
2012年、尖閣・竹島問題で日本から中国・韓国からの観光客が消えたんですね。たまたま里帰りした際にこれを大問題だと感じて、リム監督に訴えたら、彼も同じように感じていた。アジアがいがみあってどうするんだと。彼と意気投合した僕は、大阪を中心に、アジアを横断するスケールの映画を撮ってもらうことにしました。
アジアの、すぐそこの隣人たちとの素敵なやりとりを映画にしたんです。すこしは仲良くなってほしいなと。いまとなっては映画とは無関係にインバウンドが爆発して、日本に観光客が戻ってきている。めでたしめでたし・・・。仲良いことも景気がいいこともええこっちゃ。
この映画のおかげということにしておきましょうよ(笑)。
リムさんのような人と出会えるのが、東南アジアでウミガメを目指すことの楽しさそのもの。
しかし・・・トランプ大統領誕生で・・・いわゆるレイシズム、ナショナリズムがまた台頭しそうな雰囲気がこわい。アジアの民はなかよくせんと。物騒やし、儲からない。
加藤さんは、商いがレイシズムを超えて真の友好をつくると感じているわけですね。
いや、ほんまにそう思います。その「商い」はグローバリズム、キャピタリズム、そしてそこから発生するレイシズムとは違うんです。「わたしも儲かる、あなたも儲かる、心が通じる」だと信じています。
その思いで、毎年クリスマス前には、この「恋するミナミ」のアンコール上映を、大阪・九条のシネ・ヌーヴォで開催しています。
今年は12/17、12/18、12/23ですね。
リョーマの一員だった木下さんも、その後、北海道でたった一人で起業して東証一部に上場。この映画に共鳴して出資を決めてくれたんですね。
12/17は忘年会もやります。僕と、リム監督、木下社長、そして田中さんも出席で上映後に近くの焼き鳥屋さんに行きましょう。
でも毎年、上映会はなぜかオトコばかりになるので、今年は女性限定で立候補を受け付けます。もれなくリムさんにも逢えます。
みなさん、12/17(土)の夜、大阪・九条のシネ・ヌーヴォに来てくださいね〜。僕や加藤さん、北海道からお越しの木下社長、それから日本語も流暢なリム・カーワイ監督と話しましょう。女性に限る! 昨年の上映後、男ばっかり十数人で宴会したあの悲しさは忘れません。