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ドクターX・大門未知子が「鶴の恩返し」を読んだら?

西島知宏 西島知宏


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むかしむかし、あるところに、群れを嫌い、権威を嫌い、束縛を嫌い、猟銃のライセンスと叩き上げのスキルだけでおじいさんとおばあさんが暮らしていました。

ある冬の日、メロンを買った帰りに、おじいさんがスキップをしながら帰っていると、1羽の鶴がワナにかかっているのを見つけました。

「可愛そうに。今すぐ逃がしてあげましょう」

「いたしません。このオペ、私に」

鶴は、そう言い終えると自分で処置を施し、空へと飛び立って行きました・・・。

2016年、白い鳥達の減少は留まるところを知らず、命のやり取りをする野生の世界は迷走を極めていた。犬や猫がブランド力の強化に奔走する一方、高いパフォーマンスを発揮する動物達は高額な金で海外の動物園に流出。動物界はさらなるグローバルな弱肉強食の時代に突入した。そんな中、どこの動物園にも属さないフリーランス、つまり野生の鶴が現れた。たとえばこの鶴。群れを嫌い、権威を嫌い、束縛を嫌い、国鳥というライセンスと叩き上げのハタ織りスキルだけが武器だ。鶴にも人間にもなれる希少種。その名を、ツルの恩がえーC!

夜。おじいさんとおばあさんがコップに注いだシロップを一気飲みしていると、1人の娘が訪ねてきました。

「ごめんください。道に迷ってしまいました。どうか一晩泊めてください」

「御意!」

おじいさんとおばあさんは即決しました。

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