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映画の半分は音だ【エア対談】田中泰延のいい黄身だ

田中泰延 田中泰延


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映画「ハイ・フィデリティ」

また脱線。加藤さん、「ハイ・フィデリティ」に関して加藤さんのうんちくを!
 

https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/71c6hJfuVEL._SL1000_.jpg
出典:Amazon

いいえ、うんちくというよりは、この映画は全編通して音楽に対するうんちくんが画面を通して溢れ出ます。

すばり音楽映画。ポスター自体がビートルズの『ア・ハード・デイズ・ナイト』ですよね。

はい。レコードジャケット風のレイアウトが施されているとおり、まさに音楽がメインの映画でして、舞台はシカゴのレコード屋さんですね。

ふむふむ。

主人公のロブ・ゴードンはそこの店主で、自分で店を開いちゃうくらいですから、相当な音楽オタクなんです。出てくる人もほぼ皆音楽好き。なので、劇中にも、音楽に関する小ネタや会話が多いんですね。

むふむふ。

演ずるはジョン・キューザックですね。なよっとしててカッコいいんですよ。

https://www.machikado-creative.jp/wordpress/wp-content/uploads/2016/12/07.jpg
出典:YouTube

そうそう、ジョン・キューザックです。うだつがあがらないっていう設定の割には、可愛い彼女もいるし、なんだか人生通してモテてるし、非常に腹が立つんですよ!

音楽的には、どんなうんちくんがあるんですか??

ロブが過去の恋愛を回想するシーンが度々登場するんですけど、年代にわけて当時の音楽だったり、キャラクターの心情に合わせて楽曲が過不足なく、しっかりと流れているんです。これはもちろん、映画の中の音楽の使い方として当たり前なんですが、ベタなものからちょっと捻ったものまで、エゴを出しすぎない選曲の精度が凄い。そして思い出の再生装置としての音楽が憎らしいほどに機能しているんですね。

また、曲はもとより時代考証や小物のディティールも素晴らしい。私はレコード収集が趣味なんですが、レコード屋の壁とか棚とか完璧なんですよ。

他にもロブの元カノが「プリテンダーズ」のTシャツ着てたり、「フリートウッド・マック」のレコードをプレゼントに買ったけど渡せなかった「思い出の1枚」的なネタなど、音楽好きならグッと来る小ネタがいっぱいです。

この映画のジャック・ブラック最高なんですよ!!

 

Reference:YouTube

そうなんですよ! むしろ主演:ジャック・ブラックなんですよ!

http://livedoor.blogimg.jp/ksrelax/f9ab9a7e.JPG
出典:livedoor Blog

ジャッカルで機関銃で殺された奴や

https://www.machikado-creative.jp/wordpress/wp-content/uploads/2016/12/kato.png

ネタバレwww

ずばりコレw

「マダム・フローレンス! 夢見るふたり」の監督なんですね。
ひろのぶさん的にハイ・フィデリティの評価はどうなんですか?

秀作だと思いますね。いちばんぐっとくるとこはさっきYouTube出しちゃいましたけど、ほかにも無数にありますよね。

そうなんです。店主のロブ、バイトのバリーとディックのトリオが話す音楽談義が本当に面白いんですよね。

月曜の朝に聴きたい曲のトップ5とか、ローラの親父さんが死んだら、自分の葬式でかけてほしい曲トップ5とかの「自分チャート」の話、あと、レコードを売るときの客との会話も、まさに音楽好きが考えた「レコード店の会話あるある」ですよ。

売り買いのシーンで言えば、レコード、売ってもらえない客とかもいますからね。あの、持ってるレコードの枚数で人間の価値を判断するような、マニアが心の底でちょっぴり持ってる、いやーな感じの部分がちょこちょこ出てくるのも、ついニヤッとしてしまいます。

とにかく、皆口をついて出てくるのは、音楽のお話ということで、見どころは会話ですよね。この映画。

 
 

無駄という冒険

「話し合う映画」って、いんですよね。

ふむふむ。

タランティーノなんかも、いいところは「話し合う」とこなんですよね。

それだと「スモーク」とかもそうですよね。「ハイ・フィデリティ」は、あれのレコード屋バージョンみたいだなと、はじめて観たとき感じました。

そうそう「話し合う」映画の系譜。映画は普通、ダイナミックな筋の進行が中核ですが、
「話し合う」は筋を止めてるんですよね。

あー。そうですね。

変なことに、その間はまったく映画的ではない時間なんです。
それも、筋に対して登場人物が「対処する」話し合いではなくて、「話し合いのための話し合い」が映画に含まれたもの、これは貴重かつ、とても味わい深いものになります。うまく行けばですが。

なるほど。それって脚本家の意図なのか、演出家の意図なのか、キャストのアドリブなのか。どのケースが多いんでしょう。

タランティーノなんかは、もはやなんだかわからないくらいに自然で。
有名すぎますが、「パルプ・フィクション」の冒頭。

えーと、

マクドナルドでしたっけ。

そうそう! ジョン・トラボルタとサミュエル・L・ジャクソンの会話。

チーズロワイヤルの話ですね!

『パリのマクドナルドではチーズクォーターパウンダーは「ロワイヤル・ウィズ・チーズ」って言うんだ』

ふむふむ。

『ビッグマックはなんと「ル・ビッグマック」って呼ぶんだぜ』
これ、まっっっったく筋と関係ない。でも一生忘れないですよね。無駄すぎて。

ひろのぶさんが言う、映画に無駄なものは一つもないという観点で見ると、その無駄がどういう意味を持つんですかね?

限られた映画の時間で、無駄を見せる、ということ自体が冒険なんですよ。

無駄という冒険。

切らない勇気、ですよね。

さすが雷電。

知っているのか雷電。

 
 

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