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街角の、クリエイティブではないものたち

熊谷 真士 熊谷 真士


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https://www.machikado-creative.jp/wordpress/wp-content/uploads/2016/11/113.jpg
 
 
一方、こちらの郵便ポストをご覧頂きたい。

 

伝わるだろうか? この卓越した世界観、この存在感が。このクリエイティブな「郵便ポスト」は、「枝毛としか言いようの無いフニャフニャしたもの」をベースにして、その右側に「魚」を、左側に「〒」を携え、ゆらゆらと揺れている。

「枝毛」と「魚」は固形物としての形状を保っているが、「〒」に関してはもはや物体ではなく、「概念」としてそこに存在している。枝毛に、魚と概念がついているのだ。これで郵便ポストだと言うのだから、信じられない。クリエイティブ。非常にクリエイティブだ。

こんなにも「枝毛」な郵便ポストを、これまで一度でも見た事があるだろうか?正に常識外れの掟破り。どれだけ経験を積んだタクシードライバーでも相当量の鼻血を禁じ得ないだろう。

 
 

・・・しかし、この郵便ポストは創造性に拘った結果、郵便物を「入れる」ことが出来なくなってしまった。その手で握りしめた郵便物はもう、自分自信の手で届けるしかない。辛い。非常に辛い。

やはり、クリエイティブな郵便ポストがどれだけ優雅で圧倒的な世界観を持っていようとも、何一つ面白みのない従来の郵便ポストの方が実用的なのかもしれない。
 
 
 
 
 
 

https://www.machikado-creative.jp/wordpress/wp-content/uploads/2016/11/122.jpg
 
 
こちらは、道路や工事現場などの規制や区分けを目的として置かれる円錐形の物体、その名も「コーン」だ。

とにかく置きやすくて目につきやすい、ということを目指し、こんな簡素な作りになったんだろう。全くクリエイテビティの無い、面白みの無い物体。何一つとして魅力的でない2つの「コーン」が、ただただ地面に鎮座している。

 
 

https://www.machikado-creative.jp/wordpress/wp-content/uploads/2016/11/132.jpg
 
 
それに引き換え、こちらの「コーン」はどうだろうか?

 

このコーンは、「もうコーンなんてどうでも良いから、とにかく取れてしまった右腕の断面積を求める為、その直径をXと置きます」という、Xだ。このコーンは、そういうXなのだ。

多くの人にとって、これは非常に珍しい光景だろう。取れてしまった右腕が2本、宙に浮かんでいる。これはもうクリエイティブとかそういう類いの話なのかどうか、という議論が勃発しかねない。常識外れとか掟破りとかではなく、シンプルに、物理法則に反している。加えて生物学的見地からも、腕が独立して存在するというのは、にわかには信じ難い。なんて独創的なんだ。もはや、一般人には、理解の難しいところまで来ている。素晴らしい。

 
 

・・・しかし、この「コーン」はクリエイティブを追求するあまり、「道路や工事現場などの規制や区分けを目的として置く」ことがもはや出来なくなってしまった。かわりに出来るのは、「直径をXと置く」ことだけだ。地面には置けずXとは置ける。これは一体、どういうことなのか? もう全く分からない。自分が今、何を書いているのか、サッパリ分からない。もうやめたい。疲れた。もはや工事だとか規制だとか、そんなことは、この際、どうでも良い。終わりだ。世界の終わりだ。ロバだ。ロバ過ぎる。
 
 
 
 
 
 

https://www.machikado-creative.jp/wordpress/wp-content/uploads/2016/11/143.jpg
 
 
最後の作品はこちら。これは「足を使って上の方に登る」という課題に対し、なんと「床を段状にする」という余りにも安直な方法で対応している。これが「階段」。そう、「階段」の実態だ。古くは数千年前、メソポタミア文明の時代から、何一つとして構造が変化していない。正に、愚かを極めた造形物。

創造性の欠如も甚だしい。いくら何でも、もう少しクリエイティビティを発揮して欲しい。そう思わざるをえない。
 
 
 
 
 

https://www.machikado-creative.jp/wordpress/wp-content/uploads/2016/11/152.jpg

街角のクリエイティブ ロゴ


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