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街角の、クリエイティブではないものたち

熊谷 真士 熊谷 真士


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・・・しかし、「クリエイティブに車を止める」ことを意識し過ぎた結果、この手法は「ロバのバランス感覚」に異常なほど異存する、極めてリスクの高いモデルとなってしまった。
バランス感覚のあるロバを何匹も連れてくるのはそう簡単ではないだろうし、下になってしまったロバのモチベーションを維持するのは、かなり骨の折れる作業だ。ロバとしても、いつまでも黙ってはいないだろう。ロバが反旗を翻したその時、戦乱の世が幕を開ける。

 
 

その辺りの事情をトータルで考えると、やはり如何にクリエイティブではないとは言え、「道路に字を書く」の方が全人類の為になっていると言えるのかもしれない。おや? 

 
 
 

そうこうしているうちに、またしてもクリエイティブではない愚かな構築物の登場だ。


https://www.machikado-creative.jp/wordpress/wp-content/uploads/2016/11/084.jpg
 
 
こちらの信号機は、道路を走る車が混乱しないよう、3種類の色によって情報を伝えることにしたらしい。

「青」は進んでもよい、「黄色」は急に止まれない場合のみ進んでよい、「赤」は止まれ。なんというクリエイティビティの無さ。赤・青・黄色。チンパンジーでも思い付くようなアイデアだ。見た目にもパンチが無い。

 

この信号機は詰まるところ、ただ3色の光が出るようになっている、それだけの中途半端な物体だ。その他は何も出来ないし、何の面白みも無い。「突き抜けた何か」が、何一つとして感じられない。クリエイティブを好む人間からすれば、殆ど絶望の産物と言って間違い無いだろう。
 
 
 
 

https://www.machikado-creative.jp/wordpress/wp-content/uploads/2016/11/092.jpg
 
 
 
一方、こちらの「信号機」をご覧頂きたい。

 

こちらの信号機は、3色の光を放つことは出来ないものの、とにかくトゲトゲしていて、「尖り」が凄い。

この信号機はもう、尖ることに「躍起になっている」とすら言えるだろう。彼は尖ること以外、何も考えていないのだ。ただただトゲに没頭し、ひたすら「何かに刺さる」ことを目指し、無我夢中で四方八方へと針を突き出している。ウニ・針モグラ・毛虫・信号機。

これは従来の信号機に比べ、幾分かクリエイティブだと言えるだろう。「突き抜けた何か」、いや「信念」のようなものを感じる。どれだけ経験を積んだ手練のドライバーであっても、このような創造性に富んだトゲトゲの信号機が現れたら腰を抜かすに違いない。スタンディングオベーション。

 
 

・・・しかし、非常に残念なことにクリエイティビティを追求した結果、この信号機では「進めば良いのか」「止まれば良いのか」が、全く分からなくなってしまった。信号機としての職務を漫然と放棄し、ただ信念を持って尖っているだけの物体。
「進む」のか「止まる」のか分からないタクシーは一か八かで運任せに道を進み、右から高速で突っ込んできた他の車に激突して死亡、これが現実だ。そこら中事故だらけで、次から次へと、みんな死んでしまう。軒並み死んでしまう。

やはり、その辺りの事情を考慮すると、信号機は「3色の光を出す」に留めておく方が良いのかもしれない。クリエイティブという理由だけで、安易にトゲトゲするのも、考えものだ。
 
 
 
 
 
 

https://www.machikado-creative.jp/wordpress/wp-content/uploads/2016/11/102.jpg
 
 

この郵便ポストはもう、クリエイティブであろうとすることを、はなから放棄しているようにすら感じられる。ただの直方体に、棒をつけて地面に刺しただけ。

「郵便はがきや封筒を投函するための箱を作りましょう」というお題に対して満を持してこんな造形物を提案する人間は、非常に残念なことに芸術的センスが全く無いと言わざるを得ない。創造性の欠片もない。才能ゼロ。
 
 
 

街角のクリエイティブ ロゴ


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