ユニクロ原理主義者はどんな存在か?
では、どうすればユニクロ原理主義者になれるか?
ひとつめの条件は、TPOをわきまえずにユニクロを着ることである。「よく着てる」じゃなく「常に着てる」である。デートだろうが合コンだろうがユニクロである。結婚式も葬式もユニクロである。会社だって毎日ユニクロである。上司や友人や親戚に白い目で見られながら、全身ユニクロをつらぬくのである。
これは非常に大変である。だからこそ、「ユニクロ好き」から「ユニクロ原理主義者」への一歩を踏みだしたと言える。
しかし、これだけでは駄目である。たんに金のない奴のように見えるからである。よって、貯金が五億あろうがユニクロを着てそうな男にならねばならない。そのために、全身ユニクロの状態でシャネル、プラダ、ディオール、マルジェラなどに入店するのである。もちろん店員にも積極的に話かける。
たとえばディオールの店内で、
「ふーん、ここってユニクロ置いてないんだ?」
マルジェラで数十万する服を手にとって、
「がんばってるけど、まあユニクロの勝ちかな?」
最初のうちは顔が真っ赤になるだろう。だがこの修行を1000日ほど続けた頃には恥の感覚も消える。そのとき、もはやこの男にとって、ユニクロは皮膚の別名となるだろう。
だが、これでもまだ「原理主義者」と言うには足りない。そこに「思想」がないからである。