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うえのきもち【連載】松尾英里子のウラオモテ

松尾英里子 松尾英里子


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我が家の子どもたち。息子もさることながら、下の娘が随分大きくなった。3歳と1歳の子どもたちが二人でキャッキャと遊ぶ姿も前より見られるようになり、母としては嬉しい限りだ。妹に延々いないいないばあをして笑わせてあげる息子は、もう立派なお兄ちゃんだし、食べかけのリンゴを「あいっ!」と兄に分け与えようとする娘には、ヒトとしての成長を感じる(聞いた話だが、霊長類の中でニンゲンだけが物をシェアすることができるのだとか)。そうそう、私が思い描いていたのはこういう風景だよ、と思わず微笑まずにはいられない、心温まる瞬間である。

とはいえ、そんな時間はまだまだわずか。ほとんどは、同じおもちゃを巡ってケンカしてみたり、押した押されたでワンワン泣いてみたり、まあ騒がしい。私も、いつも笑顔の母親でいることを心掛けてはいるものの、時たま大爆発してはご近所さんもびっくりな怒鳴り声を響かせている。そしてその場合、大概怒られるのは兄貴である息子のほう。妹は、それはそれは大きな声で泣きながら「お兄ちゃんがいじめるんですけど~。なんか言ってよ、ママ!」みたいな顔をして私を見てくる。なかなかアピールがうまい。

実は私自身は3人兄弟の長女だ。私と、2歳下の弟、5歳下の弟、という構成である。年が近い分、弟たちとは一緒に悪さをしたり、時には猛烈なケンカもした。そして怒られるのは第一子である私。好き好んでお姉ちゃんに生まれたわけではないのに、一番上が一番悪い、だの、下の子たちに優しくしろだの、面倒を見ろだの、なんでいつも兄弟の責任者みたいになったり、世話することを義務付けられねばならないのかと子ども心に思っていたものだ(ただ、私の母に確認したところ、3人の子どもに同じように怒っていた、と言う)。

また高校生の頃には、携帯電話事件というのもあった。もう学校では半数近くの人が携帯を持ち出していた時代、私も携帯が欲しくて、ない頭をひねってどうして携帯が必要なのか、あれこれそれらしい理由を考えだして両親にプレゼンしてやっとの思いで携帯電話を買ってもらった、ということがあった。それが、翌週にはまだ中学生の弟が「お姉ちゃんが持っているのだから自分も欲しい」という、私から見ればあまりにナメた理由で携帯(しかも最新機種。私のはゼロ円のだったのに!)をあっさり買い与えられていて、その不条理さに憤慨したものだ。

今、母親として、時折、長子である息子に同情する。今日も息子はきれいに並べた電車の線路を妹に壊され、「やめて!」と大声を上げて、妹を泣かせてしまった。母には「また作ればいいのにどうして優しくできないのか」と怒られ、線路は壊されるわ親には怒られるわ、散々であった。

でも、もし対等な子ども同士の関係であったなら、先におもちゃを取った方が悪い。きっと息子も「なんで自分が怒られなくちゃいけないのだ」と思っているんじゃないか。小さいころ、私自身が感じた「一番上に生まれて損しちゃった」気持ち、息子も味わっているんじゃないか。叱っておきながら、悪いことしちゃったな・・・と私もちょっと反省している。

妹はまだ1歳半。理論で分かるようになるには、まだ早い。でも、パフォーマンスだけでも時には妹を怒る姿もアニキに見せようかしら。第一子を慮る、同じく第一子として生まれた私である。

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