ユニークなアイディアは「充分性」で検証する
さて、営業はいかに手数料を上げるかやっきになっています。「あそこはクリエイティブの質ばかり求めてくるから、いくらでも予算を搾り取れる」と勘違いされると質も低いのに金ばかり食うアイディアを持って来られるのでいら立つこともあるでしょう。
そんな場合に代理店をけん制する言葉が「このクリエイティブで数値目標が達成できるとどうして考えたのですか?」という充分性に対する問いかけです。ロジカルに説明できなくてもいいのですが、無理くり予算を取ろうと狙っている案には熱意も含めて「これをやれば成功する」という背景理由がありませんから、すぐに看破できます。
たとえば私が外注マーケターとして参加していた金属加工会社で、鉄材の魅力を顧客にもっと知ってもらい、購入量を増やすクリエイティブを依頼しました。その数週間後に代理店さんから「鉄製のオリジナル楽器を作ってライブ演奏会を開く」というアイディアが出てきたことがあります。
私 楽器がすべて鉄でできている、確かに斬新ですね。ではこれで目標数値をどうやって達成するか、その心を教えていただけますでしょうか?
営業さん えっと、おっしゃる通り大々的なライブやるっていうのは面白いですし、PRが取れるかなと思いまして。
私 今回、弊社の課題は「鉄材の購入量を増やしたい」という点だったかと思います。それで、鉄製の楽器を作る演奏会で実際の売上はどう増加するのでしょうか?
営業さん ・・・(沈黙)。
代理店の営業さんも自社内に様々な案件を抱えているので、クライアントの言いなりになれないのは当然のことです。その上でどうすればクライアントの最低条件である「課題解決」ができるかを突き詰めていく姿勢が重要となります。