6. 雪消飯
「大根おろしが効く」というタレコミを受けまして、大根おろしを使った「雪消飯(ゆきげめし)」というものを拵えてみました。これは天明2年に刊行された『豆腐百珍』という料理本に掲載されている料理です。
この料理、豆腐を拍子木に切り、湯を沸かした鍋に入れ温めて茶碗に入れ、ご飯と大根おろしを乗せて、だし汁をかけ、好みで醤油を落とすなどして食べるもので、「雪消飯」の名のごとく、スゥーッと雪が溶けて消えるような食べ心地です。
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前日の酒量
・デュワーズソーダ割り3杯
・赤ワイン2杯
・白ワイン2杯
・スーズソーダ割り1杯
・アンゴスチュラ・ビターズ1杯
当日の症状
なぜか全身筋肉痛。若干の頭痛もあり。妙に腰が重い。頭の中に靄がかかったようで、考え事がまとまらない。手が震えて握力が皆無。
結果
結論はと言うと、これは二日酔いには最高です。特に症状が軽くなるというものではありませんが、食した瞬間は「ああ、胃に優しいなあ」と自分が二日酔いであることを忘れさせてくれるほどのポテンシャルを持っています。今回の中で一番のおすすめであると言っても過言ではありません。夏に向けて食欲が無い日に食べてもよいでしょう。
7. 時間
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前日の酒量
・デュワーズソーダ割り6杯
・赤ワイン4杯
・白ワイン4杯
・アンゴスチュラ・ビターズソーダ割り1杯
・ジンリッキー2杯
当日の症状
まさに地獄と評するに相応しい責め苦。形容しがたい頭痛と名状しがたい吐き気、頭の中ではなぜか松田聖子の『渚のバルコニー』が延々とループし、頭痛のビートと合わさって絶妙な地獄グルーヴを生み出す阿鼻叫喚の世界。
結果
久しぶり、数年に1度あるかないかの酷い二日酔いのため、予定していた対処法は何も出来ず、動けずに布団の中でのたうち回っていました。「時間ならきっと解決してくれる」と祈りながら数時間、地獄巡りを味わいながら「この苦しみはいつまで続くのか、ひょっとして永遠なのではないか」と思っていたものの、やはり時間の解決能力は半端ではありませんでした。
苦しみ続けて数時間、あるタイミングを境目に、症状はスゥーッと引いていきまして、その代わりに「俺はついに、ついにこの酷い、酷すぎる二日酔いを克服したぞ」と謎の全能感が現れます。そして、「もう大丈夫」だと自分に太鼓判を押し、夜には飲みに出かけてしまい、結果としてこの原稿を二日酔いの状態で書いています。