テレビの生放送。コマーシャルが終わって、画面はスタジオに切り替わる。と、その時、ぬうっとさえぎるように画面左からカメラの前に黒い影が。あ、どうしよう。私は焦った。
「あ、先生、ちょっとそこ、よけていただいてもいいですか？ えーと、今ですね、これから色々教えてくださる先生の後頭部が映りましたよー」博多大吉さんである。その言葉に、スタジオでは笑いが起きる。これからゲストとして登場する先生も照れ笑い。映したカメラマンも笑っている。
なんだこのハッピーな空気は！ ちょっとしたつまづきを一瞬にして元に戻し、明るい空気にもしてしまうそのトーク。私は、何か感動的な衝撃に出会ったときのように、体の内側からゾワッという波に包まれた。
4月半ばから、『華大の知りたい！サタデー』という番組のアシスタントを担当している。BSフジ、毎週土曜日21時からの生放送。番組タイトル通り、博多華丸さんと大吉さんがMCを務められ、様々な生活情報をお届けする1時間の番組で、その日は、水だししたお茶がテーマであった。これから専門家の先生に登場していただき、具体的に、成分やら効能やらを伺おうとしていたところで、その先生がカメラに映りこんでしまうというちょっとしたハプニング。生放送ならでは、の出来事である。
こういった時のリカバリー、とでも言おうか、自分自身、とても苦手なところだ。誰も嫌な気持ちにさせず、穏やかに本流に戻すテクニック。舞台やテレビで百戦錬磨の博多華丸大吉さんにはお手の物なのかもしれない。今回だけでなく、何度も同じようなシーンがあり、私はいつも感服してばかりだ。こういう想定外の出来事を、温かい笑いにできる力、心から憧れる。
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