見る映画の基準は？
西島 泰延さんが「この映画を見よう」と思う基準は何ですか？
田中 アカデミー賞に引っかかっているとかかな。
西島 マジですか？ 原作が好きだとか、この脚本をこの監督が撮るんだったら、とかじゃなくて？
田中 良くも悪くも、アメリカのアカデミー賞というのは、そのときの世界の人間の意識と無意識を両方反映してるもんだと思うんですよ。というのも、フランス映画もありますし、邦画もある。でも今は、世界イコールアメリカなんで、他のすべてはサブカルチャー、カウンターカルチャーなんですね。だから、アメリカ映画にはいま我々が世界で直面していること、関心事があるんですね。あとの国の話はサブストーリー、ローカルストーリーなんです。そのなかで、さらにアカデミー会員が選ぶ視点には、さっきいった巨大な「無意識」の潮流がチラチラ出ると。人気者でお金を稼いでくれるスターに報いる場なのと半々でね。そこが興味深い。
田中 あとは、予告編で爆発シーンがあるとか。
西島 それマッドマックスじゃないですか（笑）。純粋に作家性が評価されがちなカンヌじゃなくて、アカデミー賞なのはなぜですか？
田中 理屈っぽいものを選んでいるから、カンヌは嫌いなんです。
西島 なるほど、わかりやすいですね（笑）。
映画を見るときのこだわりは？
西島 映画を見るときのこだわりみたいなものはありますか？
田中 見だしたら止めない。面白くないと判断としても最後まで見る。
西島 じゃ、恋人と見たりはできないですね。
田中 昔から、デートで映画には行きません。
西島 え？ どうしてですか？
田中 だって、自分が全然面白くないと思った映画を「面白かったね」と言われたら、その恋愛は終わるじゃないですか。
西島 カッコイイですね。でも確かに自分が全く面白いと思っていないお笑い芸人を「この人たちメッチャ面白い！！」と言われたら「こいつ、どんだけセンスないねん」とは思ってしまいますし、それと同じですね･･･。
