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田中泰延の「エンタメ新党」はなぜ、あんなにも長いのか?

西島知宏 西島知宏


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マイベスト恋愛ムービーは?

西島 マイベスト恋愛ムービーは何でしょう?

田中 1973年の『愛の嵐』ですね。これはけっこう難しい映画でねぇ、ナチスの将校だったダーク・ボガードが、戦時中に収容所で性奴隷にしていたユダヤ人の女性と戦後に再会するんですよ。これがシャーロット・ランプリングが演じててとてつもなく美しくて狂気に満ちているんですわ。でも奴隷にしていたといっても、そこにはいつ死ぬか生きるかわからない中での異常な倒錯があり、ひょっとしたら我々が愛と呼んでいるものの本質のひとつが剥き出しになっているんじゃないか、と思うんです。全編狂ったような緊迫感と死の予感、こんなもの体感できるの映画だけじゃないですか。

好きな映画監督は?

https://www.machikado-creative.jp/wordpress/wp-content/uploads/2016/03/1c679784fe11c312a4997a0f376e93b3.jpg

西島 次に、好きな映画監督についてお伺いしてもいいですか? 最も好きな映画監督は?

田中 やはりスピルバーグですかね。

西島 お? 泰延さんのことだからセルゲイ・パラジャーノフとか言い出すかと思いましたが、意外と王道ですね。なぜでしょう?

田中 常に映画を革新しようとしているから。スピルバーグが王道なのは、いまある技術を踏襲してヒット作を作ったからじゃないんですよね。文法そのものを作ろうとしてきたからなんですよ。僕、こんな事できたのは、映画だと黒澤明とスピルバーグぐらいだと思うんですよね。『プライベート・ライアン』を例にとってみても、それまでの戦争映画は、バーンと撃たれたら「ウワーッ」って叫んで倒れて死んだフリをしていれば映画だったんです。でもスピルバーグは、そんなのなんのための映像か? それは痛いか? そんなの死んでるか? って初めて考えたんだと思うんですよ。見せるべきショットと撮り方の技術、両方を考えたんですね。あれを観た人は心底「弾に当たると痛いやろな」「戦争いきたくねえ」と思うんじゃないかと。

西島 なるほど、文法そのものを作ろうとした、か。面白いですね。

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