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発熱の夜に【連載】松尾英里子のウラオモテ

松尾英里子 松尾英里子


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体温計の40という数字を見て、思わず「うえー!」と声が出た。第二子の育児。上の子がいるから、たいていのことは経験し、慣れているけれど、さすがに40℃の高熱は焦る。

困ったなあ。いつも行く病院は、今日はお休み。持っている限りの診察券を取り出して他の小児科の診察時間を調べてみたけれど、午前診療だけだったり17時や18時で診察が終わる。今は17時45分。間に合わない。どうしよう、明日まで待つか。でも、娘を今夜このまま放っておくわけにはいかない。

そうだ! 車で5分ほどのところに大学病院がある。あそこなら急患も受け付けていたはず。慌てて電話する

「赤ちゃんなんですが、40℃の熱で…」と言うと、女性が「急患ですね? 急患受付に電話をつなぎます」と言い、電話のむこうは保留音の「花のワルツ」に変わった。

いつも思う。こういう時の保留音、「天国と地獄」とかにならないかな。チャイコフスキーには悪いけれど、聞いていて「ああもう! 急いで!」って、苛立ってしまう。

そんなことを今日も思っていたら、電話口は男性に変わった。
「赤ちゃんなんですが、40℃の熱で…」
「分かりました、急患受付につなぎますので。それと、こちらの病院には今までかかったことはありますか? 今は時間外ですので、六千なんちゃら円かかりますがよろしいですか?」

え?? さっきの女性はどの部署に電話したの? あなたはどこの部署の人? 急患受付じゃないの? と混乱しながら、「はい、はい」と急いで答えた。そしてまた「花のワルツ」。焦り、増幅。

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