ところで、中吉の乳を持つ彼女は馬鹿である。とにかく会話にならない。そしてテンポも咬み合わない。しかし、時折核心を突くことをボソッと言ってくる。それがあまりにも図星で、こちらが言い返せないのを嘲笑うかのように大きな瞳を輝かせながら、むかつくほどの笑顔で悪戯っぽく笑いかけてくるのだ。だから、言い返せば彼女は頭が非常にいい。回りくどいおれなんかより数倍も。
で、彼女はいつも唐突に話題を振ってくる。
「ねえねえ、宇宙の話してよ」
「ピラミッドの話してよ」
「何か話してよー」
おれは彼女の無茶振りに、割とデタラメな話で応える。
「ブラックホールに吸い込まれると・・・・・・」
「ピラミッドの辺の長さをすべて合わせて・・・・・・」
「隣の家に囲いができたんだってねえ・・・・・・」
彼女はうんうんと頷きながら話を聞いてくれる。酒をガンガンあおりながら。もちろんおれも酒が入っているので、割と饒舌に長々と喋る。話の詳細は今となっては全く思い出せないことを考えると、中身の無い話をしていたことだけは確かである。
一通り喋ったあとで
「・・・・・・なんだよね。それってすごいよね?」
などと問いかけると、決まって彼女はこう返した。