• MV_1120x330
  • MV_1120x330

いまさらながらの育休反省会【連載】松尾英里子のウラオモテ

松尾英里子 松尾英里子


LoadingMY CLIP

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

12月。街のイルミネーションがきれいだ。夜の外出は、数年前に比べればぐんと減った。というか、むしろ数えるほどしかないのだが、一方で、遊び疲れた子どもと一緒に見る薄暮の中のクリスマスツリーの光も、それはそれでまた良いものだ。そういえば息子は、サンタクロースの存在は分かっているが、彼(に代わる人物)が24日の夜にプレゼントをくれることをまだ知らない。来年の今頃には、これが欲しい、あれが欲しいとねだるようになっているのだろうか。

さて、おそらく年内最後のコラムになる。実はこれまで12回にわたり連載してきたわけだが、1回だけ「投げっぱなし」になっている回があり、ずっと気になっていた。それが第二回だ。この記事を書いたのは、育休が始まる前のこと。「2週間後、どんな我が家があるだろうか」などと言ったきり、事後報告なし。もしテレビだったら、CM前に「果たして、この試合の結果は!?」とアナウンスしておきながら、CM後にその結果を伝えないなんてありえない。どうにも言えぬ気持ち悪さがあり、気になっていたというわけだ。やり残したことは今年のうちに、というわけで、今回は、だいぶ時間は経ってはいるが、この第二回を振り返らせてほしい。
(2)夫が、育休をとります【連載】松尾英里子のウラオモテ

2週間にわたる育休の最終日、子どもたちが寝静まったあと2人で「反省会」と称し、小さく乾杯をした。夫はこう切り出した。

「今回の育休の最大の反省点は、コンセンサスがとれないままにスタートしてしまったことだな」

どういうことか。

育休が始まったその日、夫が突然口を開いた。

夫「じゃー、宣言する。まず、酒は飲まない
私「おー。(やる気ですな)」
夫「3日に1回は走る
私「うん。(それはどっちでもいいけど)」
夫「ごはんは全部作る
私「うえ~。(気持ちは嬉しい! でも、逆に私、大変そうな予感なんですけど!)

かくして数日、夫は食事の準備を全部やってくれた。正直、料理は得意ではない。でも、どんなメニューにしようか考え、慣れないながらも頑張って食事を作ってくれた。その気持ちはとても有り難いし、「醤油がない」だの「あちっ!」だの言いながら一生懸命に作ってくれる姿はとても微笑ましく嬉しかった。そして食事もお世辞ではなく本当に美味しかった。

ただ、現実問題、私が作った方が圧倒的に速い。さらに、夫に子どもの相手をしていてもらい自分が料理したほうが、私にとってはラク。家庭として合理的なのはどちらか、話し合った結果、料理担当からは外れてもらうことになった。

料理をすることが妻の負担軽減につながると思った夫。料理よりも、夫に子どもの面倒を見ていてもらいたい妻。これがまさにコンセンサスがとれていなかった部分。「自分がやってあげたいことと、相手がやってほしいことは必ずしも一致しない」ということなのだ。

これは、私たち夫婦にとってとてもよい勉強になった。良かれと思ってやったことでも、相手がどう思うかは分からない。たとえ夫婦であっても、そういうことはある。だからこそ、きちんと話し合いを持たなくてはならない。育児だけではない。きっと万事がそうなのだ。育休を通して学んだことである。

2週間、肉体的にも精神的にも私は本当にラクだった。ただただ夫に感謝である。毎日朝から晩まで家族一緒。まず夫がこんな長い間、家にいたことがないし、きっと退職したころには子どもたちが家にいないだろう。つまり、もしかしたら家族でここまでべったり一緒にいる時間は、もう一生ないんじゃないだろうか。貴重な時間。いい思い出だ。

父親の育休。随分浸透してきてはいるが、取得率はまだわずか。いろいろな考えがあると思う。いろいろな家庭があると思う。でももし少しでも「育休、とってみようかな」と思うお父さんがいるとしたら、その背中をぽーんと押したい。

ああ、気がかりだったことが、ひとつ解消された。
では皆様、ちょっと早いですが、よいお年を。

街角のクリエイティブ ロゴ


  • このエントリーをはてなブックマークに追加

TOP