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バカだらけの恋愛小説「裏切り」

西島知宏 西島知宏


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ヨシオは、二階の窓から顔を覗かせ、苦悶の表情を浮かべていた。
ヨシオの自宅の前の喫茶店で、恋人のミツコが、男と濃厚なキスを交わしているではないか。

ヨシオはいてもたってもいられず、ミツコにLINEを送る。

「何してる?」

すぐにミツコから返事が帰ってくる。

「法事なう」

ヨシオは手に持っていたスマホをクッションに投げつけた。
跳ね返ったスマホは、ヨシオの顔面を直撃した。

「痛っ!!」

流れる血、流れる涙。ヨシオは気分を紛らわせるため風呂に入った。
が、水風呂だった。

「冷っ!!!」

部屋に戻ったヨシオ。今度はミツコに電話をかけてみる。

「もしもし」

「もしもし、俺。今何してる?」

「友達とディズニーランド」

「法事は?」

「ディズニーランドで友達と法事」

一方的に電話を切られたヨシオは、スマホをクッションにさっきの倍の力で投げつけた。
スマホは、さっきの倍のスピードでヨシオの顔面を直撃した。

「くそっ!!」

ヨシオが、意を決して喫茶店へ向かう。

喫茶店の扉を開けて大声で叫ぶ。

「ミツコ!!!」

店内にミツコはいない。隣の喫茶店だったのだ。

「ちくしょう」

今度こそ、ミツコのいる喫茶店に入ったヨシオ。ミツコの席まで歩いて行くと、こう言い放つ。

「誰だ、こいつは!?」

「お父さん」

「お父さん?」

ご挨拶しそうになるヨシオ。いや、違う。男はどう見ても同世代だ。

「そんな訳ないだろ!」

ヨシオが怒りのあまり、右手の拳を振り上げる。しかし、誰かが止めに入る。

ヨシオが振り向くと、2人の警察官がヨシオを羽交い締めにしていた。

「な、なんだよ。悪いのはこいつ、ら?」

「公然わいせつ罪だ」

落ち着いたトーンの警察官。なぜ?

ヨシオは、水風呂に入った後、服を着忘れていたのだ。

車に乗せられ、連行されるヨシオ。もうどうなってもいい。その時!

「ヨシオー!!」

ヨシオは振り返る。

そこには、全裸で追いかけてくる母の姿があった。

(終)

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