先輩はなんと頭を撫でてきました。「あれだけボロクソ言ってきた先輩が、今この瞬間私の頭に触れている。・・・な、なにこの気持ち」。先輩への怒りはよく分からないドキドキに変化していました。私は誰かと飲んだり食べたりすることには慣れているものの、体の一部が触れるということに関しては恥ずかしいほど慣れていないので、ドキドキしっぱなしでした。ま、まさか先輩、わたしを・・・?
いよいよ顔を近づけてきてドキドキが最高潮に達して窒息しそうになった時、先輩はいきなり口を開きました。
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なーんちゃって。とかやってみたくなった。
・・・え、ええ?
いや、はるのんびっくりすること好きじゃん。ちょっと驚かせてみようかなって。え、そんなびっくりした? も~、俺がおまえにそんな気起こすとでも思ったの~? あるわけないやん(笑)。
・・・。
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結論:先輩には、やっぱり敵わない。
私は再び言葉を失い、しばらく黙って残りのロングアイランドを飲み干しました。そして恥ずかしさのあまり1人で店を出て終電に駆け込み、帰宅しました。先輩にとっては、ただの意味がわからない子です。(後日謝りました)
すっかり私は、先輩にもワンチャンを狙われているか、もしくは恋愛相手に見られているか、どちらかだと思い込んで勝手にドキドキしていました。それがまさか、からかわれていただけだとは・・・。正直顔から火どころか炎が出るほど恥ずかしかったです。要は思い上がっていた、馬鹿な女子大生Aだったという訳です。穴があったら入りたかった。
でも今回、分かったことがありました。
私は先輩にからかわれた時、本気でドキドキしていました。これは得意(?)のワンチャン狙いか・・・と多少がっかりしつつも、ドキドキしていたというのは事実だったのです。今回で“自分が本当は何を望んでいるのか分からない”ことが、分かりました。面倒くさい女・・・。
真面目すぎる女子大生、もうすぐ夏が終わる。猛暑に負けずと翻弄されまくっている、はるのんでした。