むかしむかし、あるところに「浪花のエリカ様」と呼ばれる議員さんと、秘書のおじさんが幸せに暮らしていました。
ある日おじさんは、心斎橋筋商店街で、罠にかかった鶴のように弱っている議員さんを見つけました。議員さんが反論すればするほど、記者の質問は首を締めつけます。おじさんはとてもかわいそうに思い、記者にこう言いました。
「人の車当てたらどんすんや、ゴルァ!!!」
議員さんを助けてやると、車で逃がしてあげました。
ある日、おじさんが家でくつろいでいると、入口を叩く音がします。
「ごめんください」
「どなたですか?」
「浪花のエリカです」
「お入り下さい」
「ありがとう」
おじさんがドアを開けると、それはそれは美しい議員さんが立っていました。
「マスコミの待ち伏せがひどく、帰れなくなってしまいました」
ふびんに思ったおじさんはその日、議員さんを家に泊めてあげることにしました。次の日も、その次の日も。
ある日、議員さんは何かを思い立ち、おじさんにこう告げました。
「今から部屋にこもります。こもっている間は決して中を覗かないで下さい」
「わかりました」
議員さんは部屋に閉じこもると一日中出てきませんでした。夜になっても出て来ません。次の日も次の日も出てきませんでした。三日目の夜、ようやく出てきた議員さんは原稿用紙の束を抱えていました。原稿用紙の上には大きく「小百合」と書いてありました。
「これをどうか、町で売ってきてください」
次の日。おじさんは議員さんの言う通り、町へ出かけました。そして大々的に「小百合」を売り出そうとしました。目指せ100万部、あわよくば芥川賞です。
しかし「小百合」は全く売れず、通りがかった特ダネの小倉さんから「何がしたいのかわからない」と言われてしまいました。
帰ったおじさんは、その日あったことをそのまま議員さんに伝えました。すると、議員さんはまた部屋にこもり始めました。三日が過ぎた頃、おじさんは議員さんの体が心配になり、そーっと部屋を覗きました。すると・・
「いいよぉ、いいよぉ、小百合。もっと大胆に行ってみようかぁ!!」
議員さんはブーメランパンツのカメラマンと、セクシー写真の撮影中でした。おじさんに見られたことに気づいた議員さんはこう言いました。
「姿を見られたからには無所属になるしかありません。今までお世話になりました」
そう言って議員さんは去っていきました。議員さんの後ろ姿を見ながら、おじさんはポツリと呟きました。
「もう除名されとるやろ」
肩の荷がおりた議員さんはたいそう幸せに暮らしたとさ。
めでたしめでたし。