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「採用担当に“反抗的でアブナイ”と思われないか?」【連載】外資系OLの上から就活塾

トイアンナ トイアンナ


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こんにちは、就活指導のトイアンナです。最近、エントリーシートについての質問が増えてまいりました。今回は、適切なエピソードの選び方についてです。

こんな投稿をいただきました。

初めまして。16卒の大学生です。エントリーシートへ書く内容について質問です。

私の海外留学中に、学校の寮が不手際や不備を起こすトラブルがありました。
その際に、他の寮の人と結託して賠償金をもらったという経験があります。

これは記事で書かれていた「採用担当者が参考にしたくなるエピソード」のルールである、

1.自分で課題を作り挑戦(=運営側に非を認めさせる)し
2.人と交渉し(=寮内の人と連携+寮側のスタッフと交渉)
3.カネを作った(=賠償金を得た)

を満たしているため、エピソードして使えると考えています。 私の質問内容は、この経験は3点をカバーできているでしょうか。また、ESに書いてこの学生は仕事に不満があるとすぐに法的手段に訴えるような性格だと危惧されないでしょうか。 よろしくお願いします。

投稿ありがとうございます。では、いただいた質問へ順番にお応えしてまいります。

このエピソード、使えない?

1.エントリーシートの黄金ルールとは?

エントリーシートで採用担当者が見たいエピソードは、たとえ質問がなんであれ「あなたが実際に会社で働いたらどうなるか、参考になる資料」です。

たとえ質問が『最近のマイブームは?』であったとしても、真に受けて「ジャムを集めること」「1人でシュノーケリング」なんて書かないように。出版社志望なら「出版社系ベンチャーでインターン」などと答えるのがベター。インターンは趣味の範囲です。その手のエピソードがないなら、今すぐインターンへ応募してください。

2.日本人の“交渉”は「燃える前の火消し」

さて、採用担当者へアピールする中でも一番手っ取り早いのが投稿者さんも書いた(1)自分で課題を作って取り組み(2)人とうまく交渉して(3)カネを稼いだ エピソード。なぜならば、これがほぼ全ての業種に必要とされる能力のエッセンスだからです。では、今回のエピソードはこの「黄金ルール」に沿っているでしょうか? 個人的な意見が分かれるところですが、私は、沿っていないと思います。「(2)人とうまく交渉して」「(3)カネを稼いだ」部分が微妙かな、と思うからです。

まず、“人とうまく交渉する” というのは大抵の会社で “争いごとを起こさない” ことを意味します。たとえば“寮の不手際を経営者に直談判することで、公にせず済ませる”とかです。日本の会社では少なくとも、面と向かって揉め事を話し合うのはすでに“交渉”ではありません。そういう意味で、今回のエピソードは「交渉」というよりも「交渉決裂後の紛争」とでも言うべき。そういう意味でこのエピソードは「(2)人とうまく交渉」ができなかった失敗談です。

3.カネはWIN-WINの関係で作るのがビジネス

それでは「(3)カネを稼いだ」エピソードとして、賠償金を得るのはいかがでしょうか。弁護士資格の面接にはいいかもしれませんが、それ以外ではオススメしません。弁護士にとって「賠償金を得る」ことは業務ですが、普通のビジネスパーソンにとって賠償請求は業務外です。そういう意味でこのエピソードは、黄金ルールの目的である「実際に働いたらどうなるか、参考になる資料」を提供できていません。もしあなたが特許業務にのっぴきならない関心があって「御社ではぜひ特許を守る仕事に!」といったニッチな採用を期待するなら、アリです。

ビジネスで「カネを稼ぐ」とは、カネを支払うほうも納得していることが条件です。イベントの準備でロスを少なくすること、新しい考えでバイトの売上げを伸ばすこと、これら全てが「お金を支払う側がハッピーになる」方向に向いています。カネを稼ぐエピソードを用意するときは、必ずそこを意識してください。さもないと違法な取りたてや親からせびったお金すら「カネを稼いだ」エピソードになってしまいますが、そういう話が採用担当に何も響かないのは、さすがに伝わるかと思います。

ボツにさせない! エピソードの活かし方

では、このエピソードは“仕事に不満があるとすぐに法的手段に訴えるような性格だと危惧される”から止めたほうがいいのでしょうか? それはもったいない!!! このエピソードは活かし方が無限にある、すばらしい内定の種だと思います。ただ少し書き方に注意するだけで大丈夫。ここから、黄金ルールに則ったエントリーシートに変身させてみましょう。

たとえば、こんな書き方にしてみました。

私は海外で寮のトラブルを解決しました。
私は大学2年生のころ、交換留学で1年アメリカにいました。
その際に寮の管理業者が誤った家賃を提示する、インフラの故障など不手際を立て続けに起こしました。
私は自ら他寮の学生を集めて会議を行い、管理者とホットラインで交渉するシステムを立ち上げました。
その結果トラブルは無事解決し、寮生の満足度調査では5段階評価で2ポイント上昇しました。

今回のポイントは、こちら。

  • 「賠償金を請求した」という言葉を「無事解決」と書いて柔らかい表現に
  • 業績としてアピールする部分”平和的に交渉するシステムの構築”にすることで「賠償金を取るような危ない学生」から「自発的にトラブルを火消しすることでカネの損失を減らせる学生」というイメージに
  • 「賠償金を得た」ことよりも「寮生の満足度」を上げた成果を強調して、協調性や社交性をアピールする文章に

同じエピソードでも、どこへ注力して書くかによって全く異なるイメージを与えることができます。面接でもそれは同じ。「賠償金を手に入れました」と言うよりも「無事に解決しました。最終的には費用を寮に負担していただくこととなったのですが」と話すほうがソフトに聞こえるはずです。外国で自ら積極的に活躍し、適切な補償を得ることはすばらしいエピソードですから、それを活かす言い方で伝えてあげるといいかもしれません。

また、今回のエピソードは投稿者さんが突出してすばらしい業績を出したケースですが、ここまで優れた成果でなくとも「会社で協調性を発揮しそう」とか「自発的に考えて行動できるんだな」と思ってもらえるストーリーがあれば内定は取れます。この方に物怖じせず、他の就活生も頑張ってください。実際に会社に入ったら、たいしたことない業績をそれっぽく報告するのが私たちのしご・・・・・・そろそろ命が危ないのでやめます。

おわりに

以上、伝え方によっては誤解を生みかねないエピソードの活かし方について、書いてまいりました。エントリーシートは黄金ルールを守り、かつ地雷を避ければどんなエピソードでも通過するもの。エントリーシートに慣れてきたら「この会社は協調性重視だから“寮生の意見を尊重した部分”を多く書こう」「この会社は社交性重視だから“管理者と直談判へ持っていった”エピソードを中心に据えよう」などと、同じエピソードでも強調する部分を変えて、採用担当の喜ぶツボを突いてあげましょう。

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