はじめに
こんにちは、泣かせても内定取らせるトイアンナです。学生からの就活相談にお応えする企画の第2段は「地雷を避ける」方法について。
今回はこんなメッセージをいただきました。
こんにちは。(3)「就活生がイケてる! と思うのに採用担当は萎えるエントリーシート」【連載】外資系OLの上から就活塾が分かりやすく、やる気がわいてきました。さっそく今までの「学生時代に力を入れたこと」を書き直しました。トイアンナさんに提出すると思うと、いつもより推敲を重ねた文章を書くことができました。 よろしくお願いします。
ありがとうございます。一番下の文章がとてもいいですね。べっ、べべ別に私に媚びろというわけではなく、OBG訪問などで書き添えるべきいい例文だということです。OBG訪問などで「○○さんにお力添えをいただけたお陰で、貴社について理解を深められました」などと名指しでヨイショするのはとても大切です。なぜなら、学生は「○○さんのお陰でなんて、相手に媚びるような文章を書いたらどうしよう・・・」と悩みぬいた挙句ヨイショしない方を選ぶことが多いから。
とはいえ、面と向かって「○○さんのお陰です!」と言うのも気恥ずかしい。そんなあなたはLINEやメール、お手紙でOBG訪問のお礼を書くときにテンプレとして書き添えることをオススメします。なお、Gmailを使っている相手へ送ると「テンプレで貼り付けた文」は色分けされてすぐバレるので、気をつけてください。
では、エントリーシートの本題に入っていきましょう。
見えない地雷と、わかりやすい避け方
設問:あなたが学生時代に力を入れたことについて書いてください。
スペイン語会話サークルの設立で、大学生の語学力向上に貢献しました。大学で会話の授業が少ないという問題解決のためです。設立にあたり、4学年全ての授業に訪れ、広報活動をしました。また、パートナーとして学校の外からネイティヴを呼び込み、毎回最低1人は出席してもらえるようにプログラムを変更しました。
その結果、スペイン語検定1級取得者を前年3名から7名に増やすことができました。このように、自ら課題を設定し、解決にむけて具体的に動くことで、学生の語学力向上に貢献しました。
まず、読みやすい! 結論→背景事情→結論のサンドイッチで、非常にクリアな文章となっています。前の連載でも書きましたが、読みやすい文章にすることはエピソードを偉業にするより何倍も大事です。エピソードが偉大でも読んでもらえないエントリーシートは山ほどありますが、まずこの文は「報告書」として100点です。採用担当者がこれを読んだら「せめてウチの1年目もこれくらい書けたらなあ」とつぶやいてしまうかもしれません。
ですが、このエントリーシート、100点なのに落ちるかもしれません。
その理由は「地雷を踏んでいる」からです。
「地雷」とは何か? オッサンがイライラするポイントのことです。
働き始めると驚くかもしれませんが、ビジネスの世界には沸点が低い人がいっぱいいます。メールの文頭が「お世話になっております」でなければ怒り、宛名で「○○ 様」と書けば「○○と様の間は半角スペースだろうがああ!!! なに全角使っとるんじゃ!」と切れます(これは全て私の実体験です)。こういう方は『かつて自分は厳しく指導された。よって人も厳しく指導されるべき』ルールで動いていますので、「こういう人もいるんだなあ」というとらえ方をする必要があります。
こういう方は企業を問わずいらっしゃるので、運ゲーです。私の体感値では10人に1人のビジネスマンはこんな感じ。つまり“10社受けたら1社の採用担当は地雷がたくさんある人”だと考えてください。
では、このエントリーシートのどこに地雷があるのか? 「ネイティヴ」です。
えー、自慢ですが私はTOEIC 900点台なのでネイティヴの綴りを知っています。native。投稿者さんの書かれたとおりカタカナなら「ネイティヴ」が正しい。でも、採用担当にもし“新卒採用に駆り出された50代でTOEIC 250点の人”がいたらどう思うでしょうか?
「え、これネイティ “ブ” だよね? 俺のことバカにしてんの?」
と、思われる可能性があります。なお“新卒採用に駆り出された50代でTOEIC 250点の人”は冗談でもなんでもなく、私の親族にいます。数十年前の採用だったら英語力なんてどうでもいい時代がありました。「グローバル」「言語ができるアピール」だけでもすでにコンプレックスをやわやわと刺激されているのに、さらに止めの「ネイティヴ」。
『さすがにそれで落とす会社なんて、ないでしょ?』
と思ったあなた、甘い。広告代理店の宴会芸で数億円の案件が動いたりする世界で、こういう地雷を踏まない能力はとても大切です。別に当人がTOEIC 250点じゃないとしても、私だったら「この子は営業にまわらせたら知らないうちに地雷を踏む可能性があるなぁ」と考えます。あるいは「面接で“サークルでコンセンサスをエスタブリッシュして語学をインプルーヴしました”とか言ってきたらどうしよう。面接にまわした上役に怒られるなぁ」とも。
新卒採用担当も会社員です。そして彼らが一番恐れるのは「何でこんな人材面接にまわしたんだ! 俺らの時間を返せ!」と怒られること。そう、キレる人は大抵「その他の人を怒らせるのが怖いから、あなたに怒る」のです。それを考えると、エントリーシートでは地雷を避けることが何より大事です。一部の突出した人材を除いて、エントリーシートを通過したいならば「地雷を踏まない」ことを最優先にしましょう。
学生が踏む《地雷あるある》
では、地雷はどういうところに発生するのか? 以下、よくある地雷を列挙いたしました。
1. 外来語の多用
先ほどの例である「サークルでコンセンサスをエスタブリッシュして語学をインプルーヴしました」みたいな例です。ここまでひどいものは少ないでしょうが、特にベンチャーや外資系相手だと気が緩んで「ビジネスパートナーのアポイントメントを取り付け」などと書いてしまいがち。できる限り日本語で書きましょう。
2. 漢字を使いすぎる
最近では小論文などでも「事」「様子」などはひらがなに直す傾向があります。カッコつけて「然し」や「且つ」など使うのは法務省を受験するのではない限り控えましょう。あなたのエントリーシートのために漢和辞典を引く人間より、面倒になって読むのを止める社員の方が多いはずです。
3. 助詞の繰り返し
文字数制限がある中で大変だとは思いますが、「英語のサークルの経理の担当の先輩が」などと書かれると目がチカチカします。助詞は繰り返しても2回まで。なお、助詞が続いてしまったときは思い切って助詞を削るとすっきりまとまることがあります。上記の例ならば「英語サークルの経理担当の先輩が」といったふうに、です。
もし「この文章、地雷なのかなあ」と悩んだら、思い切ってOBG訪問で読んでいただきましょう。
【最後に】地雷除去済み、エントリーシート
さて、これらを踏まえて、下記エントリーシートを書き換えましたので、ご覧ください。
設問:あなたが学生時代に力を入れたことについて書いてください。
スペイン語会話サークルを設立し、大学生の語学力向上に貢献しました。私の大学には、語学分野で「会話」の授業が少ないという課題がありました。設立にあたり(1)4学年全ての授業へ伺って広報活動を行いつつ(2)学外からネイティブを呼び込み、最低1人は出席してもらうよう授業内容を変更しました。
その結果、スペイン語検定1級取得者を前年比230%へ増やすことができました。このように自ら課題を設定し、解決にむけて具体的に動くことで、学生の語学力向上に貢献しました。
上記では「ネイティヴ」という単語を変更したほか、「番号をつけてわかりやすくまとめる」「数字を人数からパーセンテージに変えて、数字を大きく見せる」というテクニックも実施しました。詳しくは(3)就活生が「イケてる!」と思うのに採用担当は萎えるエントリーシート【連載】外資系OLの上から就活塾を読んでみてください。
以上、いかがでしたでしょうか。エントリーシートの地雷を避けて、次のステージ「面接」まで頑張ってくださいね!
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