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質問「エントリーシートに身内の不幸話を書くべきでしょうか?」【連載】外資系OLの上から就活塾

トイアンナ トイアンナ


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こんにちは、就活指導のトイアンナです。今回よりスタートする就活の「お悩み相談」コーナーへ最初に舞い込んだ依頼は、こちら。

【相談】人生で「最も辛かったこと」を正直に書くべきでしょうか?(匿名希望・大学生)

はじめまして。就職活動中によく、こんな質問を受けます。

  • 人生で直面した最も辛かったことは何でしたか? そこから何を学び、どう乗り越えましたか?
  • 現在のあなたを形成する上で最も重要な出来事は?

エントリーシートや面接でのこうした質問に対し、身内の不幸を話すべきではないのでしょうか?僕は、中学生のときに父を病気で亡くしました。家事や妹の面倒を見ながらいかに受験勉強の時間を捻出したかや、幼いころから闘病を見続けてきたので他人を気遣うためにどのような心がけをしているか、など、短い人生の中でこれ以上に語れる話題はないのですが……。僕は大手志望の就活生です。アドバイスをいただけると嬉しいです。よろしくお願いします。

【回答】経験が「仕事をする上で役に立つ」なら語るべし

まず、とても多感な時期である中学時代にご家族が闘病されていらしたとのことであなたは非常に大変な思いをされたかと思います。気遣いを学ばれたとのことですが、それがあなたの魅力となって、意外にも面接で力を発揮することでしょう。

さて、こういった「人によっては重く受け止める話題」を面接で伝えるべきか。
答えは《あなたの応募する業界と職種》に依存します。

たとえばあなたが大手コンサルタント会社を受けるなら、このエピソードをお話しされることをオススメします。コンサルタントは「キレキレの頭脳」とか「効率的な思考」が必要とされると思われがちですが、それに加えて「精神のタフさ」や「日系企業で常駐しても喜ばれる気配り」が能力として必要だからです。あなたのご家族に関するエピソードは、間違いなくこの2点をアピールする材料になることでしょう。

逆にもしあなたが「メーカーの経理」を志望するなら他の苦労話を語ったほうがよさそうです。メーカーの経理に必要なのは「ミスを発見し、修正する能力」「損失を予め防ぐ」能力です。おそらくご家族の闘病は、こうった能力を見せるのに向いていません。必要とされている能力をアピールできないのならば、たとえどんな苦労も書くことに就活上の意味はないと思ってください。

おそらくここまでお読みいただいたならわかったと思いますが、エントリーシートや面接で必要なのは《相手が求める能力をアピールする》というただ1点であり、その目的を果たせないのであれば、どんな「実際の苦労」や「あなたが感じたこと」も(就活というゲームの中では)意味をなしません。ぜひ企業を志望する段階で「この会社はどんなことを求めているのか」をできるだけ細かく把握できるようになりましょう。

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伝えるときは「現在と未来」の話を中心に

闘病など「人によっては重く受け止める話題」は、伝え方に気を配る必要があります。例文を作ってみましたので、ご覧ください。(事例として虐待を使います。虐待を受けられた方は、フラッシュバックに注意し、気分が悪くなったら画面を閉じてください)

エントリーシートA

祖父母に虐待されて育った経験から、問題の解決方法を学びました。私は5歳のときから祖父母に虐待されて育ちました。実家は早くから両親が不在がちで、祖父母に育てられていましたが、ご飯をもらえなかったり、殴る・蹴るの暴行を受けて育ちました。しかし、中学から必死で勉強して全寮制の高校へ進み、実家から遠い大学へ進学することで心身を守りました。このように私は問題に直接向き合う以外の方法も試すことが解決策ともなりうることを学び、乗り越えました。

エントリーシートB

虐待された経験から、さまざまな問題への取り組み方を学びました。私はかつて祖父母に虐待された時期がありました。本来であれば祖父母に対立して、グレたりすることもできたかと思います。しかし私は中学から勉強して全寮制の高校へ進み、実家から遠い大学へ進学することで心身を守りました。
このように私は問題に直接向き合う以外の方法も試すことが解決策ともなりうることを学びました。現在では乗り越えた経験を活かして児童保護施設でボランティアを務めています。

見比べてみて、いかがでしょうか。おそらく「B」のほうが好印象になると思います。その理由は前者が虐待の内容など「過去」に集中しており、後者は「現在から未来」への自分に集中して書いているからです。

極めてストレートに言えば、どんなに苦労したことを聞かれたとしても、企業はあなたが苦しんでいた内容に興味はありません。企業が興味を持つのは「あなたが何を生み出せる人間になったか」です。この問いに答えるならば、あなたの回答は現在から未来の話を多めにするべきでしょう。

また、随所に「時期がありました」「乗り越えた経験を活かして」と、あくまで苦しんだ経験は《過去》であることを強調する文章を入れると、文章がソフトになります。あなたの経験がいい・悪いのではなく、面接官がコネ入社で苦労を一切知らないお嬢様だったとしてもショックで泣き出したりしないような気遣いとして、文体や口調を変えてあげましょう。

以上、就活相談第1段は、人生で「最も辛かったこと」の伝え方でした。
次回は「成果を伝えるための、正しい数字の盛り方」です。どうぞお楽しみに。

☆お悩み相談の投稿内容は、可読性の向上と個人情報を保護する目的で内容を編集・改変致します。
☆全ての相談が掲載されるわけではございません。予めご了承ください。

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