水の中にもぐると全く別の世界がそこには広がります。音が遮断され、重力が変化し、地上で見えていた姿が別の形に変わります。今回は、幻想的な世界をつくりあげ水中写真を撮る独創的なアーティストをご紹介したいと思います。忙しい日常の合間に、ほんの少し時を止めてアートに浸ってみませんか？
Elena Kalis
水と少女というピュアな２つの存在を共存させて撮るアーティストElena Kalis。不思議の国アリスをモチーフに撮った作品『ALICE』では、物語の順を追って少女が水中で無垢にあどけなく戯れる様子が幻想的な世界観を創りあげています。フレームを使った写真は、アリスが不思議の国に吸い込まれていくようです。
Jacob Sutton
NUMEROなどのカバー写真などファッションを中心に撮影するカメラマンJacob。不必要なものを削ぎ落し被写体とその周りの空気感もすべてアートに変えていくのが彼の特徴。今回ご紹介するのはエキジビション用に撮影した水中写真。スモッグがたかれた半透明なモヤの中から透ける女性は、生きているようでも死んでいるようでもあり、不可思議な感覚にさせられます。
Jacob Sutton HP
Nadia Moro
イタリア人アーティストのNadia Moroは、真っ黒な水中を女性が軽やかに踊っているような写真を撮ります。黒い背景に鮮やかな衣装からは真っ白な肌が透け、まるで時が止まったバレリーナのようです。水中なのに宙を浮いているようにも見えますね。
Susanna Majuri
モネの絵画のような水中写真を撮るフィンランド人女性アーティストSusanna。水、画、そして人物と3つを絶妙なバランスで配置することで、絵本に出てくるようなファンタシー世界を創りあげています。
Barbara Cole
水中なのか印象派の絵画なのか分からなくなるほど、幻想的な世界観をつくりあげるBarbara Cole。水がつくりだす揺らめきや歪みを巧妙に使い、息をのむような写真となっています。
Kim Keever
人ではなく絵の具を水中に混ぜて撮影しているアーティストKim Keever。水の動きとカラフルな絵の具が絶妙に混ざり合い抽象アートのような写真が完成します。ゆっくりと進む絵の具を捉えるているのに、まるで水中で爆発が起こっているようにも見えます。
さらにコチラも彼の作品。絵の具で描いたような画になっていますが、実は水の中にセットをつくりその中に絵の具などを垂らして、18世紀の絵画のような幻想的な世界観を作り上げています。
Kimの工房の様子がコチラ。
これらの写真を見ていると、普段見ている世界が必ずしも絶対的ではないと感じてきました。ほんの少し角度を変えてみることで全てのものには必ず美しさが存在するのかもしれません。たまにはアートをみて日常から離れて時間をゆっくりとかけながら物思いにふけってみるのも良いですね。
