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「ザ・ファブル 殺さない殺し屋」進化をつづける岡田准一と、チーム・ファブルのプロの技

金子ゆうき 金子ゆうき


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素人には魔法のように見えることを、いとも簡単にやるのがプロ。

映画に限らずプロの仕事は魔法のようで、そこにシビれる! あこがれるゥ! と感服してしまいます。

さて、今回ご紹介するのは「ザ・ファブル 殺さない殺し屋」


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出典:映画.com

南勝久さん作のコミック『ザ・ファブル』の実写映画シリーズ。1作目が「ザ・ファブル」で、2作目の今回が「ザ・ファブル 殺さない殺し屋」。サブタイトルで分けてきました。でも、ずっと殺さない殺し屋なんですよ……。3作目どうするんだろう? 「ザ・ファブル やっぱり! 殺さない殺し屋」とかかな。

ややこしいので、1作目の「ザ・ファブル」を「ザ・ファブル1」、2作目の「ザ・ファブル 殺さない殺し屋」を「ザ・ファブル2」と表記しますね。白鳥健太郎と木戸猛が合体変身するのは「バロム・1」です。「バロム・1」は、本文と何の関係もありません


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いきなり重箱の隅をつつきましたが、メインが大変おいしゅうございましたからです。邦画アクションとして、相当クオリティ高いです。プロの技がつまりまくっています。

主に「アクション」「物語」の2軸から語っていきます。

今回もネタバレありです。気になる方は見てから読んでくださいね。

それでは、どうぞ。

原作コミックは、まもなく第2部スタート

というわけで「ザ・ファブル2」こと「ザ・ファブル 殺さない殺し屋」。原作コミックは映画公開時で既刊22巻。22巻で、第1部が完結しています。

2021年7月17日発売の『週刊ヤングマガジン』から、待望の第2部連載がスタート予定です。全巻読みましたが、おもしろい! キレイに終わった第1部からどんな物語が展開されるか、たのしみです。


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『ザ・ファブル』のおもしろさは、どんな相手でも6秒で殺せてしまうプロ中のプロ、佐藤アキラが一般人として生活するおかしさと、ここぞという場面で見せる不穏さです。アキラの引力に引き寄せれて登場する、クセのあるキャラクターたちも見どころ。「ザ・ファブル2」に登場する宇津帆もそうです。

そして、その実写映画が2019年の「ザ・ファブル」です。


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出典:映画.com

映画ならではのキャラクター造形や、物語に難はあれど「アクションスター・岡田准一」を存分に堪能できるだけでも価値ありで、実際ヒットしました。

「ザ・ファブル1」最大の目玉は、岡田准一さん演じる佐藤アキラが左右の壁の間で体を突っ張り、手足だけで垂直に登っていくシーン。地味ですが「え? なにした? 今なにした?」と、巻き戻さずにいられない驚愕の肉体技です。

バレルと弾が手作りの銃「ナイトホークカスタム」による手動排莢をからめた超高速アクションも、見どころ。

「殺せるけど、殺してはならない」という縛り。制約があるから、創造的なものが生まれる。よく言われる言葉ですが、その通りなんですよね。ファブルが何の制約もなく「殺してよし」だったら、ひたすら殺して終わりです。「ジョン・ウィック」を見直しましたけど、めちゃくちゃ苦戦してました。最後ボロボロです。殺人マシーンでも強敵に苦戦し、傷つくから燃えるわけです。



出典:映画.com

「ザ・ファブル2」では、制約を活かしたアクションは継承しつつ、より映画的な見せ場がパワーアップしています。

くわしくは少し先で書きます。

監督は、江口カンさん。


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CM制作で活躍されたあと、2018年公開の「ガチ星」で長編映画監督デビュー。「ガチ星」は、プロ野球選手だった主人公が人生の再起をかけて競輪の世界に飛び込む物語です。


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酒とギャンブルから抜けきれず、すぐ激昂する主人公のダメ人間ぷりが相当で、ふつうの映画ならそこで止まるところから、さらにアクセルがかかるのが新鮮でした。それでいて後味は悪くないという、不思議な魅力のある作品です。白石和彌監督の「凪待ち」(2019)を思い出したりしましたね。

「普通」の外側にいる人間たちが交錯する『ザ・ファブル』の実写映画化の監督に白羽の矢がたったのも、納得です。

ここからは、より内容に突っ込みましょう。

まずは岡田准一さんと、アクションチームが生み出した「アクション」について。

岡田准一、達人への道

今さら岡田准一さんを紹介する必要もないですが、それでもすこし。1995年、14歳でV6としてCDデビュー。

V6がデビューの年、僕は13歳メイド・イン・ジャパンミュージック・フォー・ザ・ピープルとして、WAになっておどっていました。中学校の屋上でカーペンターズをバックに学生に駆け寄る岡田さんを、毎週見ていました。

10代のころアイドルとしてテレビで見ていた人を、30代になってアクション俳優としてスクリーンで見て評することになるとは、人生なにが起こるか分かりません。

俳優としての岡田さんといえば「木更津キャッツアイ」(2002)が真っ先に浮かびます。ばりばりのアイドルなのに、変顔も惜しみない三枚目キャラが印象的でした。ビール! ビール! ビール!


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テレビドラマ「SP 警視庁警備部警護課第四係」(2007)の頃から格闘技、アクションへ強いこだわりをもつようになったようです。

2010年には、カリ(武器術が特徴のフィリピンの武術)ジークンドー(ブルース・リーを師祖とする武術)修斗(打撃・投げ・関節技を高度に組み合わせた格闘技)、3つの武術・格闘技の公式インストラクターとして認定されています。ガチガチのガチなんです。

2010年公開の「SP 野望篇」でも武器を使った格闘術、高い身体能力が必要であろうパルクール的な動きを披露していました。「図書館戦争」シリーズもすごかったですね。

「ザ・ファブル」シリーズでは、演じるだけでなく「ファイト・コレオグラファー」としてもクレジットされています(「ザ・ファブル1」では、アラン・フィグラルツさんとの連名)。コレオグラファーは「振付師」の意味。アクションシーンの振り付けを考えるポジションで参加しているんです。

「ザ・ファブル2」では、木村文乃さん演じるヨウコの格闘シーンも演出・指導したそうです。鈴木をあっさり倒してしまうあのシーン、原作でも大好きなんですが、映画では足を使った絞め技が追加されていて見応えありましたね。ただの酒豪じゃない。ファブルの相棒としての説得力がありました。


https://eiga.k-img.com/images/movie/93634/photo/e4aeb88d889f75ad/640.jpg?1624259304
出典:映画.com ヨウコになら、締め落とされてもかまわない。むしろ、締め落としてほしい。さあ、さあ!

岡田さんにとって佐藤アキラ役は「木更津キャッツアイ」のころから発揮してきたコメディ要素と、格闘・アクション要素の両方を併せ持つ、現時点での集大成でしょう。

ちなみに、岡田さんはインタビューで「44歳くらいで達人になれると思う」と語っています。現在40歳なので、あと4年。本当になれそうだから、すごい。

理想の姿を、ただひたすらに追い求めている人なんですね。

「笑うしかないアクション」が、作品のバランスを良くしている。

原作『ザ・ファブル』の面白さは、暴力・死の香りが漂う不穏さと、佐藤アキラのズレた真面目さやオクトパスの面々が醸す笑いの要素が独特に絡みあったところだと思うんです。

コメディではないけれど、リアルすぎもしない。絶妙なバランスです。でもそれは、コミックだから成立しているともいえる。それをそのまま映像にしてしまうと、歪になってしまうこともある。正直「ザ・ファブル1」でうまくいっていないのは、この部分なんです。

原作を忠実に再現しようとして、コメディ寄りになりすぎている感がありました。しかもそれが、空回りしていた。


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出典:映画.com

特にオープニング。料亭で宴会するヤクザを皆殺しにするシークエンスです。超高速格闘と射撃で殺しまくるのはすごいんですが、ヤクザの描き方があまりにも古くて、ステレオタイプ。さらに、ヨウコが男を酔いつぶして遊ぶシーンをクロスカッティングさせている。アキラの殺人術に驚けばいいのか、笑えばいいのか、良くわからない

オクトパスでのシーンは佐藤二朗さんらしさが出ているんですが、「笑わせよう」感が過剰に出てしまっている。

「ザ・ファブル2」は、この辺のバランスが良くなっているんですよ。

オープニングは、ターゲットを着実に暗殺していくプロの手腕を見せてからの、立体駐車場での大立ち回り。「ザ・ファブル1」から引き続きの格闘アクションに加えて、派手な大立ち回りが追加されました。これが、良い。

走る車にしがみついたままのハンドル操作、すれ違う車の上を走りながらの飛び越え、言葉じゃ表現できない超絶アクションの連続。そして最後は、原作にもある屋上からの落下。実際の車を落としているというから、驚きです。

「ザ・ファブル2」には、アクション監督の横山誠さんカーアクションの西村信宏さんと、日本のアクション映画・特撮で活躍する方々が参加しています。調べた限り、「ザ・ファブル1」にはアクション監督はクレジットされていません

パンフレットのインタビューで岡田さんは「自分がすべてやったように言われているが、決してそうではなく、優秀なアクションマンの方達が参加してくれたおかげ」と、語っていました。大掛かりなスタントとなれば、ひとりの力じゃどうにもならないんでしょう。スタントダブルだって必要です。計画・準備から撮影と、チームで作り上げたカーアクション。

これがもう、すごすぎて笑ってしまうんですよ。

ジャッキー・チェンの「ポリス・ストーリー/香港国際警察」で、2階建てバスにしがみつくシーンがそうであるように。


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出典:IMDb

トム・クルーズの「ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション」のオープニングで、イーサン・ハントが離陸する飛行機の扉にしがみつくシーンのように。


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出典:IMDb

見たことないすごいものを見せられると、感情の行き場がなくなって笑うしかなくなるんですよね。

「ザ・ファブル1」は、笑わせにきていて、逆に笑えない。アクションはすごいんですが、演出や構成に蛇足感が否めない。最初でつまづくから、その後のオクトパス含めたコメディ要素のシーンにもいまひとつノれなくなってしまうんです。

「ザ・ファブル2」は、アクションの凄さで笑わされる。作り手は笑わせようなんて思ってないでしょう。プロとして、最高のアクションを届けているだけ。作り手は意識していないのに、笑うしかない。

最初にガツン! と圧倒され笑ってしまう。メインのストーリーはハードですし、キャラクター造形もリアル寄り。そこに、アクセントとしてオクトパスが入ってくる。


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リアリティと笑いのバランスが、とても良かったと思います。

ちなみに、「ザ・ファブル1」「ザ・ファブル2」ともに、タイトルバックが抜群にかっこいいです。「ザ・ファブル1」は、海に沈む銃のパーツと共にタイトルが出てくる。そして、底には同じように捨てられたパーツがたくさんある。ファブルが過去に多くの殺しをしてきたことがスマートに伝わる演出でした。

「ザ・ファブル2」では、駐車場の柱に刻まれたタイトルを、カメラが移動しながらチラッと映していく。これがクールでした。

今回、アクション映画について書くので、その系譜も知っておかないとと思って結構見ました。バスター・キートンジャン=ポール・ベルモンドジャッキー・チェンドニー・イェントム・クルーズキアヌ・リーブス。技術とアイデアで見る人を驚かせ、魅了してきたアクションスターたち。

彼らの映画には「見たことないものを見せてやる」という志がつまっていると感じました。そしてそれは、映画の根源的な魅力だと思うんです。見たことないものに挑み、更新していく者たち。その線の上に、岡田さんも立っているし、まだまだ続いていくと思います

本人も「まだまだできる」と公言していますし、次はどんな笑ってしまうようなアクションを見せてくれるのか、楽しみで仕方ないです。

アクションにつづき、「ザ・ファブル2」のバランスを生み出した、もうひとつの側面、ハードな物語に焦点を当てます。その鍵はもちろん、宇津帆を演じた堤真一さんと、ヒナコを演じた平手友梨奈さんです。

虚なウツボと、羽ばたくヒナコ

子どもを守るNPOの代表と、過保護に育てられた若者を利用して金を奪い最後には殺す犯罪者、という強烈な二面性をもつ宇津帆。そして、アキラの殺しに巻き込まれ、下半身不随になったヒナコ

この2人とアキラが交差しながら、物語は進みます。

NPOの講演から、若者の殺害と、すぐに切り替わる序盤の演出は宇津帆の二面性が瞬時に分かってとても上手いですし、それを見事に演じた堤さんは見事です。ヒナコと外出する時も、エレベーターの内と外で人間性を一変させたりと、二面性の演出が周到で、かつわかりやすかったです。


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映画の宣伝では「偽善者」といわれる、宇津帆。二面性が強調されるので、そう見えます。悪が、偽りの善を演じていると。

でも、物語が進むにつれて、ちょっと違うのかもなと思いました。悪も、善も、関係なく本気でやっている。境目が曖昧なんだろうなと。

そしてさらに終盤、さらに考えが変わってきました。

佐藤がファブルだと知った鈴木に、覚悟を問われた後。弟を殺された復讐だと激昂し、壁を殴りつけました。部屋を出ると表情は一変。血を舐めて「ちょっと濃いな」と平然と言ってのける。

善も悪も、境目なく本気でやっていると思いましたが、そうじゃないかもしれない。

どちらも、心底どうでもいいと思っているんじゃないかと。ただ、その場でそれが求められているからやっているだけ。

「本当に他人に興味のない人は、優しく見える」なんていいますが、そんな感じじゃないかと。ヒナコと共に森を進むシーン。宇宙の視点で考えれば、何をしようとあまりにちっぽけで、意味なんてないんだと話します。

これが宇津帆の本心じゃないか。

自分が、周りの人間がどうなろうと心底どうでもいい。その場その場で、必要なものを表現できる。しかし、彼自身は空っぽ。

宇津帆は、虚(うつろ)なんじゃないかと思うんです。

上部だけ見る人は心酔するかもしれないけれど、ヒナコのような水槽の底に沈んでいる人には響かない。虚な人間の言葉は、やはり虚だから。

「悪」が強調された原作の宇津帆からさらに複雑になったキャラクター造形。その底知れない不気味さが、物語を深く暗く支える背骨になっていたと思います。これは「ガチ星」を撮った江口監督ならではの手腕だと思います。

一方のヒナコ。「ザ・ファブル2」は、ヒナコの成長物語でもあります。


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歩けなくなり、水の底に沈んでいた彼女の心が徐々に救われる物語。それを表現するのに「鏡」が効果的に使われていました。最初は、自室のノートPCの画面に写った顔を皆ながらリップを手に取るシーン。外見を気にする=他人との関係において見られる自分を意識するということです。アキラとの出会いで、変化のきっかけが生まれたのがわかります。

そのあとは、玄関の姿見。髪を整え、リップを塗って外出します。部屋という水槽から、外の世界との接点である玄関まできました。

最後は、決着がついた後。車のミラーに映るのは、自分の足で立っているヒナコです。すべてを知り、受け入れる覚悟ができたヒナコは、アキラの記憶に残りたい姿で鏡に映った。それを見るのは、自分を底から救い、未来をくれたアキラです。

地雷の爆発で、彼女は走馬灯を見ます。あそこで彼女は、死んで、生まれなおしたといえます。自分の力で立てなかった雛が殻を破り、羽を広げて飛び立つことを選びました。

宇津帆一派の名前は魚介類で統一されていました。ウツボ(宇津帆)サバ(佐羽ヒナコ)スズキ(鈴木)イサキ(井崎)。ウツボは巣穴から動かず獲物を待ち伏せる性質があるといいます。団地の一室で周到に計略をめぐらす彼に、ピッタリですよね。


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しかし、ヒナコの苗字は「佐羽」。読み方はサバですが、「羽」がついていたんです。光の当たらない海の中の巣穴から、広い空に飛び立つための。

劇中、「佐羽」という文字が出てくるのはラストだけ。アキラへの手紙に書かれたものだけです。最後の最後で視覚的に示されるわけです。「音」「映像」の両方を使える映画だからできる演出です。

見落としていたらごめんなさいなんですが、めちゃくちゃ巧みだし、クールです。

田中泰延さんが言うところの「映画には意図のないシーンはひとつもない」です。

江口監督の、プロの技です。

ヒナコを演じた平手友梨奈さんも、またプロですね。目力と存在感が、抜群でした。原作にあるとはいえ、宇津帆に下半身をまさぐられたり、「お前とのセックスはたのしかった」と言われるところもちゃんとやっていましたし。

ヒナコの下半身には、アキラも触れました。しかし宇津帆のそれとは正反対。彼女に「足が動く」という未来と希望を与えるためです。宇津帆は、過去に縛り付け、欲望を満たすため

ヒナコを中心にアキラと宇津帆の対比が際立つ構造もさすがでした。

チーム・ファブルは、進化の途中。まだ先がある。

「アクション」「物語」の2軸で語ってきました。「ザ・ファブル2」の時点で第1部22巻のうち、13巻まできています。

そうです、まだ先があるんです。

続編、ほぼ決まっているんじゃないでしょうか。エンドロール後の映像。佐藤浩市さん演じる組織のボスが営むマッサージ店に客が来て終わります。

14巻のあそこにつながりますよね。最後の最後、脳の断面イラストが映ります。あれ、あの人のことを示唆していますよね。詳しくはお楽しみに、という感じでしょうか。

次はどんな進化をみせてくれるんでしょうか。たのしみで仕方ありません。

素人目線で希望をいえば、坂口拓さんと岡田さんの闘いが見たい。坂口拓さんは、2019年に大ヒットした「キングダム」で超絶アクションを披露していました。下村勇二監督の「RE:BORN」(2016)も、本当にすごかった。


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坂口拓さんのYouTubeチャンネルでは、アクション監督の横山誠さんと共に「団地パニック」の足場を使ったアクションについての動画がアップされています。

出典:YouTube

原作14巻以降なら、あの人やあの人がでてきます。坂口さんにピッタリだと思うんです。

岡田さんを中心としたチーム・ファブルは、どこまで進化するんでしょうか。次作も必ず見ます。そして、どんなかたちでも映画評を書きます。

それまでに、自分も少しでも進化していたいです。

岡田准一という人は、魔法のような完璧な仕事をし、さらに関わる人を本気にさせる。そんな魅力にあふれたプロなんだと思い知らされました。

「ザ・ファブル」シリーズが完璧なかたちで締めくくられたとき、アキラなら、こう言うでしょう。

コ〜ンプリ〜トッ!!


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[イラスト]清澤春香

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