第93回アカデミー賞がまもなく発表となります。新型コロナウィルスは、さまざまな作品に影響をあたえました。公開延期や配信へ移行したものも多数。今回ご紹介する「シカゴ7裁判」も、そのひとつです。
本来なら2020年に劇場公開される予定でしたが、Netflixオリジナル作品として配信されることになったんです。劇場のスクリーンで見たかったという思いもありますが、「シカゴ7裁判」に関して言えば、どんな形であれ2020年に届けてくれてありがとう、という気持ちでいっぱいです。
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理由はこれから書きますが、2020年に公開されたことに意味があります。
今回も完全ネタバレ仕様です。ただ、最初の大見出し部分は時代背景を解説しているので、見る前に読んでもらうとスムーズに理解できると思います。
それでは、どうぞ。
1960年代の終わりの史実をもとにした、法廷劇。
脚本・監督は、アーロン・ソーキン。実在の人物、事件をもとにした会話劇、法廷劇の名手。というか、そればっかり作っている人です。
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代表作は、デヴィッド・フィンチャー監督の「ソーシャル・ネットワーク」(2011)でしょう。この作品でアカデミー脚色賞を受賞。「ザ・ホワイトハウス」などテレビドラマでも活躍。2018年の「モリーズ・ゲーム」では自らの脚本で監督デビュー。アカデミー脚色賞にノミネートされました。「モリーズ・ゲーム」は、実在の元スキー選手であるモリーズ・ブルームの半生を描いており、自叙伝が原作。
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脚本はもちろん、主演のジェシカ・チャステインが素晴らしいです。
そして、監督2作目となったのが「シカゴ7裁判」です。史実を元にした、法廷劇。
劇中における「現在」は、1969年。1968年のシカゴ民主党大会で発生した反戦派の暴動を扇動したとして、7人が起訴されます。
- アビー・ホフマン
- ジェリー・ルービン
- デヴィッド・デリンジャー
- トム・ヘイデン
- レニー・デイヴィス
- ジョン・フロイネス
- リー・ワイナー
この裁判は注目を集め、7人は「シカゴ・セブン」と呼ばれるようになります。
そして、裁判にはもう1人召喚されます。黒人自衛組織としてスタートしたブラックパンサー党の結成メンバー、ボビー・シールです。
彼らは、時のニクソン大統領が掲げる「法と秩序(LAW & ORDER)」を知らしめるため、反戦運動、公民権運動など反政府的な動きをつぶすための口実として、裁判にかけられたのです。
見せしめです。
暴動発生時、ジョンソン大統領政権下では起訴しないと決まっていたのに。
……当たり前のように書いてきましたが、分かりました?
僕は、分かりませんでした。
「ザ・ファイブ・ブラッズ」評を書いた時に、ベトナム戦争や公民権運動について調べましたが、1968年のアメリカ大統領選挙の流れは分かりませんでした。
この映画、1960年代のアメリカに関する知識がないとピンときません。物語を追うだけなら問題ないんですけどね。知らなくてもスカッとできます。
ただ、それだけじゃ、もったいない。
というわけで、アメリカ大統領、ベトナム反戦運動についてざっとまとめてみます。
まず、当時のアメリカ大統領の流れ。
- 第35代ジョン・F・ケネディ(民主党:1961年1月20日〜1963年11月22日)
- 第36代リンドン・ベインズ・ジョンソン(民主党:1963年11月22日〜1969年1月20日)
- 第37代リチャード・ミルハウス・ニクソン(共和党:1969年1月20日〜1974年8月9日)
※()内は所属政党と、在任期間
ベトナム戦争が激化したのは、1965年のアメリカによる北爆以降といわれています。
ジョンソン大統領の政権下ですね。
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「シカゴ7裁判」のオープニングは、ブラス・ロック調の劇伴に合わせて、派兵数がどんどん膨れ上がる様をテンポの良いモンタージュで見せていました。見事な編集・演出です。
ちなみに、オープニングがブラス・ロック調なのには理由があると思います。
ブラス・ロックの代表的なバンドといえば、シカゴです。シカゴは、1969年に『シカゴの軌跡』という2枚組のアルバムでデビューしました。このアルバムの2枚目のB面(発売当時はレコードでしたから)は、全て1968年のシカゴ民主党大会に関わる曲になっています。その1曲目が、『1968年8月29日シカゴ、民主党大会』というタイトルです。
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実際のデモの音源も使われていて、「Whole World Is Watching」のシュプレヒコールにバスドラムがオーバーラップしてくる流れは鳥肌ものです。
シカゴ民主党大会を扱った作品ということで、『シカゴの軌跡』を意識したんだと思います。
脱線しました。ベトナム戦争が激化・泥沼化していくのはジョンソン政権下でしたが、軍事介入を本格化したのは、ケネディ政権下でした。
1961年5月にアメリカ正規軍人で構成された「軍事顧問団」という名目の、特殊作戦部隊600人の派遣と軍事物資の支援を増強することを決定します。そして、南ベトナム解放民族戦線を壊滅させる目的でクラスター爆弾、ナパーム弾、枯葉剤を使用する攻撃を開始したんです。
ケネディ大統領からベトナム政策を引き継いだジョンソン大統領でしたが、泥沼化。1968年3月16日には、ソンミ村虐殺事件が起こります。507人のソンミ村をアメリカ軍が襲撃。無差別射撃で非武装の504人を虐殺してしまいました。
この事件が大きなきっかけとなり、アメリカ国内での反戦運動は拡大します。
そして、3月31日夜、ジョンソン大統領がテレビ演説をおこないます。そこで彼は、ベトナム政策の失敗を事実上認め、ベトナム側との対話を呼びかけます。演説の最後には、同年11月に行われる次期大統領選挙には出馬しない、と名言しました。
出典:Wikipedia 不出馬を表明するジョンソン大統領。
そうなると、民主党の候補は誰になるのか? ということになります。
民主党内にも「戦争推進派」と「戦争反対派」がいたわけですね。当初、有力候補とされていたのが、ロバート・ケネディ。ジョン・F・ケネディの実弟です。彼は反戦派で、1968年4月のキング牧師暗殺に怒る群衆をなだめる演説をしていました。
しかし、そのロバート・ケネディも6月に暗殺されてしまいます。キング牧師とロバート・ケネディの暗殺については「シカゴ7裁判」のオープニングでも触れられていました。
ロバート・ケネディ暗殺により、民主党の候補者選びはさらに混乱。有力となったのが、ヒューバート・ハンフリー副大統領です。政権内の人物ですから、反戦派の人々にとっては不満がある。彼が大統領になったら、ベトナム戦争もこのまま続いてしまうと考えたわけですね。
そして、8月の民主党大会です。ハンフリー副大統領に不満をもつ反戦派の人々が、全米からシカゴに集まりデモを行い、最終的には暴動に発展してしまいました。民主党大会の結果、ハンフリー副大統領が候補者に決定。共和党のニクソン候補との対決となりました。結果、ニクソンの圧勝。政権交代が起こり、ニクソン政権が発足することになりました。
民主党の反戦派にとっては、ハンフリーもニクソンも同じく支持できなかったんでしょうね。
そして、1969年3月に、シカゴ・セブンとボビー・シールの8人が起訴されました。
「シカゴ7裁判」の始まりです。
ここまでが、オープニングで語られている大体の内容です。テンポよく進むので見ているだけで気持ちいいですが、情報量がとんでもない。普通の映画だとこのあたりはパンフレットが解説してくれる部分ですよね。配信オンリーの映画には、それがない。デジタル版とかでいいから、出してくれませんかね、Netflixさん。
時代背景がざっくり分かったところで、キャスティングの話です。
「シカゴ7裁判」が法廷劇としてシンプルに楽しいのは、脚本はもちろん、キャストが素晴らしいからでもあるんです。
バディものとしての魅力もある「シカゴ7裁判」
シカゴ・セブンの中心的な2人、トム・ヘイデンとアビー・ホフマン。「反戦」が共通目的なのに、正反対。
裁判の前に散髪し、起訴された事実を受け入れ刑が軽くなるように立ち回る常識人、トム・ヘイデン。
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演じたのは、エディ・レッドメイン。「レ・ミゼラブル」、「ファンタスティック・ビースト」シリーズでおなじみの英国人ですね。調べてびっくり、同い年でした。今年39歳。映画では、学生にしか見えませんでした。
実際のトム・ヘイデンは、当時30歳くらいですから、バリバリの学生ではないでしょうが、「学生活動家」にはピッタリなビジュアルです。いいとこの坊ちゃん感が、アビー・ホフマンとの対比もあって、際立っていました。
コメディアン、活動家のアビー・ホフマンは、サシャ・バロン・コーエンが演じました。
出典:IMDb
法廷を嘲笑うようにジョークと皮肉をくりかえすアビー・ホフマン。サシャ・バロン・コーエンも「ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習」で同じようなことをしています。カザフスタン人ジャーナリストのボラットに扮して、アメリカ社会をフェイクドキュメンタリー形式で茶化していました。
出典:IMDb
「実は賢い」ところも一緒で、サシャ・バロン・コーエンはケンブリッジ大学を出たエリートなんですよね。
トム・ヘイデンとアビーホフマンが反発しながら最後には認めあう、バディものの側面も「シカゴ7裁判」の魅力です。物語の冒頭と終盤で、2人の印象がガラッと変わってしまう構成も見事ですよね。冷静で知的だと思っていたトム・ヘイデンに、情熱的で向こう見ずな一面があった。アビー・ホフマンは、その逆。
ジョン・キャロル・リンチが演じたデヴィッド・デリンジャーも、息子に非暴力を説いていたのに、暴力をふるってしまう。それだけ理不尽な状況に置かれていたわけですが、感情と理性の複雑さが描かれていました。
主任検事として裁判を進めたシュルツもそうです。でっち上げ裁判であることを承知しながら、表向きは毅然と進める真面目さはジョセフ・ゴードン=レヴィットがピッタリでしたね。粛々と進めてきた彼だからこそ、最後に起立するところにカタルシスがある。おいしすぎる感もありますが、彼が押し付けられたことを考えれば、それくらいのご褒美はあってもいいでしょう。
出典:IMDb
シカゴ・セブンとシュルツが複雑なキャラクター、人間関係な分、他のキャラクターは分かりやすい作りでした。
特に、ジュリアス・ホフマン判事。にっくきホフマン。
旧態依然の価値観、権威的・差別的な思想をじっくりコトコト煮込んで丁寧に裏ごししたような人物でした。
出典:IMDb ないわー、ないわー、腹たつわー。
「私を差別主義者だと言ったのは、君が初めてだ」のくだりで、全員が「私が3人目だ!」と思ったことでしょう。
眼鏡の外し方、表情、すべてに反発したくなる感じ。ホフマン判事が嫌われれば嫌われるほど、フランク・ランジェラの演技が素晴らしかったことの証明ですけどね。サシャ・バロン・コーエンがアカデミー助演男優賞でノミネートされましたが、フランク・ランジェラでもよかったのではと、見れば見るほど思えてきます。見事な嫌われ役っぷりでした。
そもそもでたらめな裁判において、さらにでたらめだったのが、ボビー・シールです。劇中でも語られるとおり、デモに参加していなかっただけでなく、シカゴには4時間しか滞在していなかった。60年代の黒人公民権運はベトナム反戦運動と密接に関わっていました。事実、多くの黒人が派兵され、犠牲となり、残された家族は働き手を失い、より貧困になっていく構造ができてしまっていたんです。
黒人とベトナム戦争との関わりは「ザ・ファイブ・ブラッズ」でも語られました。ボビー・シールの演説映像も使われていましたね。「南北戦争で18万もの黒人が従軍したが自由は得られず、第二次大戦では85万人だが自由は得られず、今、ベトナム戦争で得たのは警察からの暴力だけだ」という言葉が印象的でした。
「シカゴ7裁判」でも、トム・ヘイデンたち「白人」とボビー・シールたち「黒人」は、反戦・反体制を掲げて活動していますが、その根本にある深刻さがちがうことが示されます。
フレッド・ハンプトンの死亡を、クンスラー弁護士とトム・ヘイデンが告げにいくシーンです。
ボビー・シールは「お前たちは、父親に反発したいだけだろう。俺たちは木に吊るされるんだ」と語り、トム・ヘイデンは「かもな」としか答えれない。
口に詰め物をされ、縛られるボビー・シールに、クンスラーは「息はできるか? 息はできるか?」と問いかけます。2020年、BLM運動拡大のきっかけとなった、ジョージ・フロイドさんの死亡事件を思い出さずにはいられません。「息ができない」と懇願していたにもかからず、警官に押さえられつづけました。
出典:Wikipedia 法廷画家が描いた、猿ぐつわをされるボビー・シール。
1968年も、2020年も、黒人たちは文字通り「押さえられ、縛られつづけて」いるんです。
アメリカにおいて、初めてアフリカから奴隷が連れてこられたのは1619年だと言われています。押さえられ、縛られてつづけているは400年以上のことなのかもしれません。
それはもはや、差別意識の言葉では片付けられない問題。アメリカという国のシステムに組み込まれているともいえませす。それを教えてくれる映画があります。
Netflixオリジナルドキュメンタリー「13th -憲法修正第13条-」(2016)です。
出典:映画.com
「シカゴ7裁判」をより深く理解するためにもとても役立つので、紹介させてください。
憲法修正第13条が、アメリカにもたらしたもの
アメリカの憲法修正第13条とは、奴隷制を廃止し、禁止を継続する条項のこと。南北戦争終結後の1865年に成立しました。奴隷がいなくなり、全ての人が自由になりました。
しかし……という視点で「13th -憲法修正第13条-」は描かれています。
憲法修正第13条には「ただし犯罪者であって関連する者が正当と認めた場合の罰とするときを除く」という文言があるんです。
犯罪者への罰であれば、奴隷の扱いをしていい、とも解釈できるわけです。
「13th -憲法修正第13条-」は研究者や活動家のインタビューを中心に、憲法修正第13条のもとで黒人差別がアメリカのシステムとして組み込まれていることを教えてくれます。
例えば、南北戦争後に南部では労働者が足りなくなり、経済が逼迫したそうです。奴隷の労働力に頼っていたのだから当然です。どうやって対処したかというと、黒人を中心とした受刑者を労働力にしたんです。「奴隷」が「受刑者」に変わっただけともいえます。
出典:IMDb
黒人が逮捕され、受刑者にされてしまいやすくなるのに、映画も大きな影響を与えました。
アメリカで最初の長編映画「國民の創生」(1915)では、「黒人=粗暴なレイプ魔」「白人=黒人の脅威から人々を守る英雄」として描かれます。KKKが白いマスクを被るビジュアルも、この映画が元なんです。
出典:IMDb
「黒人は犯罪者。逮捕されて、当然」という想像力の欠片もないイメージ。これを政治家たちは、支持を増やすために利用しました。「私は、犯罪を許しません。皆さんの安全のために取り締まりを強化します!」と訴えるわけです。実際、アメリカは世界一受刑者が多い国です。人口は全世界の5%にも関わらず、受刑者は全世界の25%を占めているというから驚きます。
ニクソン大統領もそのひとりです。「法と秩序(LAW & ORDER)」を掲げ、大量投獄が始まるきっかけをつくりました。黒人公民権、ベトナム反戦、女性開放、ゲイ開放など、反体制・反権力的な運動を「社会秩序を脅かす犯罪者たち」として、弾圧していくのです。
ニクソンの次、レーガン大統領以降はさらに投獄者が増え、やがて刑務所の運営が巨大ビジネスとしてアメリカに欠かせないものになっていくことが「13th -憲法修正第13条-」で描かれていきます。
不足した労働力のため、政治家が支持を集めるため、ビジネスを成り立たせるため。1865年に奴隷制が廃止されてからも、黒人が差別され、逮捕され、投獄されることが社会システムに組み込まれ、受け継がれているんです。
ドナルド・トランプも、ニクソンと同じ「法と秩序(LAW & ORDER)」をスローガンとして掲げていました。
「シカゴ7裁判」で描かれた状況は、50年以上経っても変わっていないのかもしれません。だからこそ、この映画が2020年に公開され、評価されることには大きな意味があるんだと思います。
相変わらず雑多になりましたが、解説的なところはあらかた終わりです。最後は、ごく個人的な「シカゴ7裁判」評で締めくくりたいと思います。
アビーとジュリアス。僕は、どちらのホフマンだろう
先日、街角のクリエイティブが主催するコミュニティ「街クリ映画部」で「シカゴ7裁判」の同時視聴会を行いました。
その中で、ライターの宮下さんがこんな感想を言ってくれたんです。
「判事のジュリアス・ホフマンに『ざまあみろ!』ってスカッとするのは簡単だけど。自分が、判事みたいに古い価値観の側になったら思うとゾッとする」
これを聞いて、僕はハッとしました。
「シカゴ7裁判」は、被告に共感し、理不尽な体制側を憎み、ラストで権威が打ち負かされてカタルシスを得られるよう、巧妙に設計されています。映画のための事実の改変・付け足しも行われています。たとえば、実際の裁判で、戦没者の読み上げは最後に行われたものではないようです。
「シカゴ7裁判」は、よくできた映画なんです。
しかし、宮下さんの言葉は「そこで終わっていいのか」と思わせてくれたんです。
無意識のうちに自分を安全圏において「理不尽な状況にも負けず、新たな時代を訴える英雄的存在」のように思ってしまっていました。アビー・ホフマンだと思っている自分も、実はジュリアス・ホフマンかもしれない。
「見る」側だと思っていたのに「見られる」側になると意識した途端、不安になりました。
ジュリアス・ホフマンのように分かりやすく歪んではいないとは思います(思いたい)。しかし、システムに内包された差別意識や理不尽に染まっていないと断言はできません。それを教えてくれたのが「13th -憲法修正第13条-」です。差別や理不尽は、形を変えながら存在しているのです。
自分は大丈夫、なんて軽々しく言えません。
「國民の創生」が生み出したクロスカッティングという技法は、現代の映画に受け継がれています。「シカゴ7裁判」でも、時勢の違う場面をクロスカッティング的に繋いでリズムを生み出していました。
技術面では受け継がれる「國民の創生」ですが「黒人=粗暴なレイプ魔」という描かれ方は、現代で真に受ける人はいないでしょう。疑問もなく、笑い飛ばせます。でも、それが受け入れられた時代は、たしかにあったんです。
時代も、人々の価値観もゆっくりかもしれないけれど、変わっているんです。前進しているんです。少なくとも、そう信じることから始めたいじゃないですか。
「シカゴ7裁判」を心から笑い飛ばせる段階に、僕はまだなれていません。社会が、とかではなく「自分」がなれていないと思いました。
そうなれた時、「シカゴ7裁判」におけるジュリアス・ホフマンを心から笑い飛ばせた時、裁判は終わるんだと思います。もしかしたら、自分の時代ではそこまでいかないかもしれない。それでも、次の世代そうしてくれれば、良い。少なくとも、その邪魔だけはしない自分でいたいと思いました。
そのために、何ができるか。とにかく「知る」ことからでしょう。「シカゴ7裁判」「13th -憲法修正第13条-」がそうしてくれたように、映画が、本が、音楽が教えてくることはたくさんあります。
過去を知り、現在の自分が立っている場所を知る。
それが、未来の希望を信じることに繋がるはずです。
出典:IMDb
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[イラスト]清澤春香