好きなものが増える。
人生における間違いのない幸せのひとつ。
それは、好きなものが増えることだと思います。
映画評を書くようになり2年とすこし。
たくさんの好きが増えましたが、そのひとつが「韓国映画」です。
街角のクリエイティブ、街クリ映画部の韓国映画好きなメンバーのおかげで、自然と見るようになりました。影響されやすい性格でよかったです。
オススメの韓国映画コラム、ご紹介しておきますので、読んでみてください。
加藤広大さんの「サバハ」評、「はちどり」評。
mameさんの「神と共に」評、「82年生まれ、キム・ジヨン」評。
韓国映画評に挑戦したいなと思っていたところに、絶好のチャンス。
韓国初のブロックバスタースペースオペラ映画「スペース・スウィーパーズ」。
出典:IMDb
もともとは2020年に劇場公開予定でしたが、コロナの影響で延期となり、最終的にはNetflixが独占配信権を獲得。2021年2月5日に配信スタートとなるや、韓国やフランスなど16カ国で1位になり、ワールドランキングでも1位をとりました。
この映画、一言で言ってしまうと「韓国版ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」です。宇宙を舞台に、個性的なクルーが騒動に巻き込まれる話。
出典:映画.com
しっかり面白いです。軽く書きましたけど、すごいことです。「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」ですよ? 相手は、製作費200億円超えの大傑作なんです。それで、しょぼく見えず「しっかり面白い」んです。
どう面白いかは、おいおい書きますが、ここまで読んだ未見の方は今すぐNetflixつけて下さい。「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」好きな方なら絶対気にいります。
ネタバレありなので、気にある方は観賞後に読んでください。
それでは、どうぞ。
そもそも、ブロックバスタースペースオペラってなんだ?
冒頭に書いた、ブロックバスタースペースオペラ。
長いです。15のカタカナの連なり、読みづらいです。区切りましょう。
「ブロックバスター」と「スペースオペラ」です。
「ブロックバスター」とは、もともと、第二次世界大戦でイギリス空軍がつかった大型爆弾の異名です。街の区画(ブロック)を丸ごとふき飛ばすほどの威力からつけられました。
それが映画界に派生して「大規模な予算が使われた大作映画」の意味として使われています。大作ゆえに、興行的なヒットも見込まれる。
「スペース・スウィーパーズ」の製作費は、約22億円といわれています。ハリウッドのブロックバスター映画なら100億円以上は当りまえ、200億円以上もざらですが、韓国映画としては破格。
近年、邦画最大規模の製作費で話題になったといえば「キングダム」でした。それでも、映画制作自体にかけられたお金は10億円前後のようですから、「スペース・スウィーパーズ」は文句なくブロックバスター映画と呼んでいいでしょう。
つづいて「スペースオペラ」です。SFのサブジャンルのひとつとされています。厳密に言及できるほど詳しくなくて、ごめんなさいですが、ここでは「宇宙が舞台の冒険活劇」とざっくり捉えてください。
スペースオペラ映画の代表といえば「スター・ウォーズ」シリーズです。
出典:映画.com
ジャンルは同じでも「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」「スター・ウォーズ」と「スペース・スウィーパーズ」には明確な違いもあります。
前述2作は、地球とは異なる銀河・惑星が舞台で、科学技術も格段に進んでいる。ちがう世界に触れるワクワク感。それを映像的な説得力をもたせて実現させるために、お金も手間もかかるわけです。
「スペース・スウィーパーズ」はどうでしょう。あらすじも交えて紹介しましょう。
舞台は、2092年。環境破壊と気候変動が進み、マスクなしで出歩けないほどガスが立ち込め、陽はささず植物が育たなくなった地球です。衛星軌道上に緑あふれるスペースコロニー「エデン」を建造していますが、エデンで暮らすのは全人類の5%のみ。残りの95%は劣悪な地球か、エデンの快適な暮らしを支えるために作られたスラムのような衛星で暮らしています。
出典:IMDb
エデンを運営し、軌道衛星を支配するのは、国家ではなくいち企業「UTS」。エデン住人の選別を行い、火星への移住も計画しています。いち企業による独裁的な世界です。
舞台設定だけみると「スター・ウォーズ」より「ブレードランナー」が近いんです。別の銀河や惑星ではなく、現代の延長にあるディストピア要素が強い。
赤茶のガスに染まった地球は「ブレードランナー2049」にそっくり。絶対どこかで、ライアン・ゴズリングとハリソン・フォードが殴り合いしているはず。
出典:IMdb
「ブレードランナー」的な世界観。「サイバーパンク」とくくってもいいと思います。地球が荒廃しているために、文化や人種が入り交じった雑多な世界。「スペース・スウィーパーズ」の地球やエデン以外の衛星は、サイバーパンクの影響が色濃いです。スペースオペラとサイバーパンクの両面をもっているんです。
別の銀河・世界を舞台にしたスペースオペラを、しょぼくなく見せるには膨大なお金がかかるわけです。そこまではいかず、軌道衛星上にコロニーが作られる程度の未来にした。韓国映画「神と共に」の制作スタジオが携わった、宇宙でのチェイスシーンや戦闘は見応えがあり、しょぼさを感じません。
地球の状態、船内や室内の細かい世界観はサイバーパンク的につくり込むことで、SF的なワクワクも提示できる。サイバーパンクは、アジア人と相性がいいですしね。日本でサイバーパンクといえば、『AKIRA』『攻殻機動隊』『BLAME!』など、漫画・アニメでおなじみですが、だからこそ実写作品としてはうまく作られたものが思い浮かびません。
出典:IMDb
世界市場に目を向け、海外のジャンルを取り入れることに長けた韓国映画ならではだと思います。
つづいて、登場人物たちから「スペース・スウィーパーズ」の魅力をご紹介しましょう。「韓国版ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」と称した理由が、これ。キャラクターが、魅力なんです。
この4人をずっと見ていたいと思えるキャラクターたち
全人類の5%のみが宇宙の楽園に暮らす世界。楽園の外は、ゴミだらけ。現実でも問題になりつつある「宇宙ゴミ(スペースデブリ)」ってやつですね。文部科学省のWebサイトによれば、現代の宇宙ゴミは地球の周りを秒速7〜8kmで周回しているといいます。秒速7kmだとして時速にすると25,200km。
金属の塊が秒速7〜8kmで飛び交い、ぶつかりあってるわけですから、とんでもないです。
映画の世界には、宇宙ゴミを広い、換金して生活する人々がいます。それが、「スペース・スウィーパーズ=宇宙の掃除屋」であり、主人公たちです。宇宙船「勝利号」の乗組員たち。
まず、パイロットのテホ。
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UTSが所有する軍隊スペースガードの初代指揮官で、元UTS市民。不法移民の赤ん坊を娘として引き取り、UTSを追放となります。娘の遺体を回収する資金を集めるために、勝利号で掃除屋となりました。
演じるは、ソン・ジュンギ。「スペース・スウィーパーズ」の監督、チョ・ソンヒの過去作「私のオオカミ少年」(2012)で主人公のひとりを演じていました。
現在、35歳。「私のオオカミ少年」の少年が大きくなって、と親戚のおじさん気分だったんですが、「私のオオカミ少年」で20代後半だったんですね。10代の少年にしか見えませんでした。チャン船長を演じたキム・テリが若いので、もう少しドッシリした落ち着きがあってもいいかなとは思いましたね。
出典:映画.com
UTSの元エリートで、組織に反発して宇宙海賊となった経歴をもつ「勝利号」の船長チャンを演じたのは、キム・テリ。パク・チャヌク監督「お嬢さん」(2016)で映画デビュー。舞台出身なので初演技ではないとはいえ、新人とは思えませんでした。その後、「1987、ある闘いの真実」(2017)に出演し、「リトル・フォレスト 春夏秋冬」(2018)では主演。
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「スペース・スウィーパーズ」で知り、過去作も見ましたが、僕は松岡茉優と同じ棚にしまいました。顔が綺麗で、演技上手。どんな役もできるけど、根底に気の強さを感じます。
麻薬密売組織の元ボスで死刑宣告も受けていたタイガー・パクは、チン・ソンギュ。
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「エクストリーム・ジョブ」(2020)で、絶品チキンを生み出した元柔道チャンピオン。「スペース・スウィーパーズ」を選んだのは、この人が出ているからというのもありました。
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今回も知能指数が低いけど、おいしいところを持っていく感じが最高です。クライマックスで女性の強敵とやり合うのも「エクストリーム・ジョブ」を彷彿とさせましたが、今回は勝利。宇宙空間に放りだして勝利って、宇宙もので何回目ですかってくらいの定番ですが、それもまた良し。
4人の中で唯一の人外、ロボットのバブズの声にユ・ヘジン。「1987、ある闘いの真実」でひどい目にあう看守をやっていた人ですね。キム・テリとも共演していました。
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口が悪くやる気ないけど、船外活動では優秀。「口はないけどね」みたいな定番ギャクはC3-PO感があり、顔のエフェクトで感情が分かるの良いですよね。
性格も目的もバラバラなクルーのやり取りが、たのしい。これ、冒険活劇には必須要素です。特に「スペース・スウィーパーズ」は地球以外の惑星やエイリアンが出てこないから、同じジャンル作品と比べてビジュアルが地味。その分、クルーの描写に比重がかかります。
ソン・ジュンギ、キム・テホの若さ、軽さは気になるものの、それでも4人は魅力的。花札やりながらの米をめぐる口論は、バブズ以外がノックアウトという結末も含めて楽しかったです。
クルーの楽しさを加速させる存在となるのが、「スペース・スウィーパーズ」におけるお宝である、ドロシーことコンニム。もう、問答無用にかわいいわけです。目を離したら鈴木福くんとマルマルモリモリ踊ってそうな感じ。
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コンニムが「娘」としてクルーに放り込まれ、彼女に接する態度やリアクションでキャラクターの個性や背景が浮かび上がる作りになっているんですよね。純粋な「モノ」だったら、こうはなっていなかったでしょうね。
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「タイガー・パクの勝ち方」「宇宙を舞台に家族の物語を紡ぐ」など、「スペース・スウィーパーズ」には宇宙SFものというジャンルの定番要素がきっちり組みこまれています。悪が狙うお宝を、ひょんなことから主人公たちが手にするという前提からして「スター・ウォーズ」ですよね。
ジャンル映画の定番をきっちり盛り込み、主に子役の魅力によってオリジナリティを付加していく。これが、チョ・ソンヒ監督の特徴なんです。監督の過去作も紹介しつつ、詳しく書いていきましょう。
ジャンル映画+子役でつくるチョ・ソンヒ作品
チョ・ソンヒ監督は1979年生まれの42歳。ソウル国立大学でデザインを学んだあと、アニメ制作会社でMVやアニメ制作に関わります。その後、ポン・ジュノ監督を筆頭に韓国映画を支える多くの監督を排出した、韓国映画アカデミーで映画作りを学びます。
出典:IMDb 中央がチョ・ソンヒ監督。
短編映画を監督したあと、2012年に「私のオオカミ少年」で長編映画監督デビューを果たします。
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病気で学校に通えない少女が田舎に引っ越してきて、ひとりの男の子と運命的な恋に落ちる。定型的なストーリーですが決定的にちがうのは、男の子は人間社会に触れず狼として育てられたオオカミ少年だということ。
オオカミ少年を演じたのが、ソン・ジュンギです。
この作品が大ヒットし、チョ・ソンヒ監督は注目を集めます。ファンタジーラブストーリーというジャンルを、変にひねらず真っ当に役者の瑞々しさを活かして作っているのが印象的でした。ソフトフォーカスの画づくりが、いかにもな雰囲気を引きたてます。
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オオカミ少年が、人々と触れあいながら人間らしくなるのが見どころのひとつですが、ここで「子どもたち」がうまくつかわれます。主人公の妹や近所の友だちとの交流が、なんともカワイく微笑ましい。彼らのこの時間が、ずっと続けばいいのにと思わせてくれました。
続いての作品は「探偵ホン・ギルドン 消えた村」(2017)。
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ハードボイルド探偵ノワールです。韓国ノワール特有の暴力描写や二転三転するストーリー、そしてラストの大仕掛け。ジャンルのお約束をきっちり踏襲しています。
そして、子どもとの交流もポイント。主人公が追う男の孫姉妹についてこられ、嫌々ながら彼女たちと行動を共にします。最初は無下にするけど、徐々に心境が変化していく様は、王道の王道ながらこみ上げるものがあります。姉妹、とくに妹の可愛らしさには無条件降伏です。
そして「スペース・スウィーパーズ」です。
3作、ジャンルは違いますが「ジャンルしてのお約束、おもしろさの源は外さない」ことが共通しています。お約束ってネガティブにつかわれることもありますが、王道を外すことが目的になってスベるよりは、よっぽどマシです。
「血のつながりのない子どもとの交流でキャラクターの心が変化していく。そして、子どもはかわいい」というのも、共通しています。
クルーは魅力的で、コンニムは可愛いが……。
ここまで「スペース・スウィーパーズ」の良い面を上げてきたわけですが、残念なところもあります。
まず、ストーリー、とくにラストが大味すぎるところと、悪役の魅力不足。
コンニムを、水素爆弾の威力外に逃すためのチェイスがクライマックス。サリヴァン(リチャード・アーミティッジ)が「サプラ〜イズ」と登場しますが、ただ爆発に巻き込まれて死亡。コンニムが船にいないことで「サプライズの倍返しだ!」といったところでしょうけど、もうひと展開欲しかったです。
チャン船長との問答とか、アクションがあってもよかった。人類の救世主に見えて実は、というとアニメ「プロメア」で堺雅人が声をやったクレイ・フォーサイトを彷彿とさせるんですが、まったく迫力不足。
出典:映画.com 悪役にはこのくらいの魅力がほしい。
優生思想にとりつかれただけの、肝の小さい男でしかないのが残念。ダース・ベイダーやサノスとは言いいませんが、怪物っぽくなるとか、なにか見せ場はほしかった。
そして、「ナノボット」が結局よく分からない。微生物サイズの機械のことで、現実でも近い未来に活用されるといわれています。
「スペース・スウィーパーズ」では銃弾を無効化し、植物を育て、挙句は水素爆弾の爆発から船を守るほどなんですが、実質正体不明の万能能力。エンディングで、コンニムは時々地球で植物を育てているといわれていましたが、そんな悠長でええんか? それもUTSが主導してるの? 地球の統治はどうなってんだ? と、ご都合主義のいいわけとして「ナノボット」を使っている気すらします。
最後は、ラストのテホと娘の擬似再会の泣かせ演出。そこでもナノボットが都合よく使われますが、唐突で強引。「泣かせ」自体は良いと思うんです。韓国映画らしさだし、それがなかったら、ハリウッドのなぞりにしかならないんで。
ジャンル映画と親子関係での泣かせ、でいうと「新感染 ファイナル・エクスプレス」(2016)が思い浮かびます。ゾンビと親子関係が絡みあい、クライマックスは強烈に涙腺を刺激してくる。僕も「あのシーン」は号泣でした。
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同じようなことをやりながら、なんで違いが出たのか。
「新感染 ファイナル・エクスプレス」は、基本が悲劇で終わり方もビター。だから、親子の感動を混ぜてもバランスが良かった。
「スペース・スウィーパーズ」はご都合主義の重なりに、さらに親子の感動が混ざってくる。金でコンニムを渡してから、思い直すまでの流れはとても良かったんです。やっぱりラストの擬似的な再会が……。入れるにしても、テホが幻のように娘の姿を見て、ナノボットの影響? と見る側に委ねるくらいのバランスでも良かったと思うんです。
それか、テホ自身が死んじゃうとかのビター感があるとか。甘いハッピーエンドのミルフィーユで、胃もたれするんですよね。
総じて、脚本の作りこみがもう少し欲しかったかなあというところでしょうか。
それでも結局、勝利号の5人に会いたい
偉そうに苦言めいたことを書いてきましたが、トータルで嫌いじゃないし、むしろ好きです。
それはやっぱり、勝利号の5人が良いからなんですよ。思えばバブズ以外は皆、大切な人や居場所を失っているんです。テホは娘、チャン船長とパクは、昔の仲間たち。コンニムは、実のお父さん。生きることすらままならない時代・環境に、寄るべのない者たちが集い、不完全ながら家族としての居場所を作ろうとする。
その姿、たくましさに心を惹かれるんだと思うんです。
チョ・ソンヒ監督の過去2作にも、共通する要素があるんですよね。過去や居場所のない者が、やっとできた繋がりや居場所で成長し、守ろうとする物語。
コンニムの別名は、ドロシーです。もちろん「オズの魔法使い」からでしょう。魔法のような力をもつ、という意味もあると思いますが、「スペース・スウィーパーズ」は1939年の映画「オズの魔法使い」をなぞっているようでもあります。
ドロシーが家族のもとを離れて出会ったのは、それぞれが欠陥を抱え、居場所のない仲間たち。仲間と絆を深めながら進んだ先で知った、元の世界に帰る方法。それは「家がいちばん」と祈ることだった。ぞんざいに扱われ、満たされているとはいえないはずだった家族が、大切な存在だと気づくまでの話でもあるんですよね。
出典:IMDb
ドロシーを中心に、勝利号のクルーも互いの存在の大切さを知ります。だから、ラストでコンニムは「私たちは家族になった」と言ったんでしょう。はぐれ者たちが、傷を持ちより、いつなくなるか分からない居場所を、悪態をつきながら愛おしむ。たまらんですよ。
それはそのまま、現実の僕らでもあるわけです。
不満なく、永遠に存在する居場所なんてあり得ません。
だから、大切にしなくてはいけないんです。
欠点は数あれど、それでも好きだと言わせる力を持った映画です。
ブロックバスタースペースオペラという、ありったけの想像力と札束で殴り合うような巨大ジャンルに挑んだこと、それ自体に拍手です。
そして、これだけのものが出てくるんだから、韓国映画恐るべし。
これから、同じジャンルでの韓国映画は増えていくと思います。「スペース・スウィーパーズ」を超える作品が出てくることにも期待しましょう。それでも、最初の一歩はこの作品が刻んだんです。 ニール・アームストロングの名言を引く必要もありません。偉大な一歩です。
また、好きなものが増えました。そしてその先には、さらなる好きが瞬く銀河が広がっています。どんな好きに出会えるか、たのしみで仕方ないです。
なにしろ映画という宇宙は、広大なんですから。
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[イラスト]清澤春香