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「ジョーカー」観たい!語りたい!鑑賞会&クロスレビューイベントレポート

宮下卓也 宮下卓也


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救われた、私の中にいたジョーカー。

みなさま、ご機嫌いかがでしょうか? ライターの宮下卓也です。

去る2019年10月18日(金)、オンラインサロン「街クリ映画部」主催による、「ジョーカー」鑑賞会&クロスレビューイベントが行われました。

2019年7月に発足した「街クリ映画部」は、毎月イベントを開催していて、今回が4回目になります。

ちなみに前回実施した、田中泰延さん、橋口幸生さんをお招きしての「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」鑑賞会&クロスレビューイベントは大盛況でした。その時の金子ゆうきさんによるイベントレポはこちら。
「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」見て語ろう! クロスレビューイベントレポート

そのときに、 「次にイベントやるならあの映画だよねー」と話していた映画がありました。


https://m.media-amazon.com/images/M/MV5BYmVhNjhkNzYtYmUzOC00MWUwLWFlYWItZTZiMzY0NmRkMzMwXkEyXkFqcGdeQXVyMTA3MzQ4MTcw._V1_.jpg
出典:IMDb

第76回ヴェネツィア国際映画祭で大賞にあたる「金獅子賞」を受賞し、2019年最大の問題作となった「ジョーカー」については、「街角のクリエイティブ」でも3人のライター陣が渾身の映画評を公開しています。

「ジョーカー」は舞う、狂気と喜劇の手の中で(ハマダヒデユキさん)
「ジョーカー」と、1989年の渋谷と、2012年のウォール街と、悪魔と踊った青白い月夜について。(橋口幸生さん)
「ジョーカー」の4つ目の笑いを見逃すな(みる兄さん)

また、「街クリ映画部」サロン内スレッドで、ライターの加藤広大さんと、サロンメンバーで「ジョーカー」に関わる仕事をされている方とのやりとり(ゴメンナサイ、内容はオフレコになっています)がディープで面白く、「これはもうみんなでイベントやるしかないでしょう!」となって実現したのが今回のイベントでした。

どんなイベントなの?

イベントの内容と楽しみ方はふたつあります。

〈 楽しみ方その1 〉
「街クリ映画部」のメンバーたちと一緒に映画館で映画観る⇒
そのまま居酒屋に行って映画についてみんなでワイワイしゃべる⇒
ハッシュタグ「♯街クリ映画部 ♯ジョーカー」をつけてツイッターで感想をツイートする。

自分の好きなことについて遠慮なくしゃべる機会は(特に社会人になると)なかなかないですが、「街クリ映画部」のオフ会は映画好きが集まっているので、映画に関しては好き放題話せて、そのカタルシス(解放感)はハンパないですね。
また、次のわたしのツイートにあるように、みなさんいい意味で「おとな」なところが安心できます。

〈 楽しみ方その2 〉
当日現地イベントに参加できないサロンメンバーも、ツイッターを読んだりハッシュタグをつけてツイートを書いたりしてこのイベントを楽しむ。

https://twitter.com/kunch6_1re/status/1185366591380148226?s=20

ところで映画の楽しみ方って人それぞれですけど、元々わたしは「映画はひとりで観る派」でした。高校時代から映画好きだったわたしは、その当時(ウッディ・アレンのコメディに出てくるような)映画館での鑑賞マナーには異常に神経質な若者でした。なので同性異性問わず、ふたりであるいはグループで、だれかと一緒に映画を観ると連れの態度が気になるんですね。
若き日のわたしには厳格なマイルールがあって、「エンドロール中に席を立ったら懲役3年」「スパイシーチキンのような臭いが強い食べ物を食うのは懲役5年」「遅れて入場してきたら懲役10年」「せんべいをバリバリ食うのは懲役15年」「映画に関係ない私語は懲役20年」「いびきをかいたら懲役30年」「携帯電話を鳴らしたら懲役40年」「「今の何で殺されたの?」とかいちいち隣の奴にストーリー確認する奴は懲役50年」「女の子にモテようと映画中に上っ面のウンチクを語るのは懲役60年」「自分が理解できないと周りに聞こえるように「あぁツマンねぇ」とか口にするのは懲役80年」「映画中に映画終わったらどこ行くかを相談するカップルは懲役300年」
いかにもモテない童貞のような生真面目さで映画を観てきたものです。いまはもう「おとなの余裕」を身につけたナイスミドルなので、さすがに些細なことでは怒りませんが、それでもやはり「映画はひとりで観るもの」という思い込みがありました。
ところが世の中には「誰かと話したくなる映画」というのがあって、映画館を出てからひとりだとなにかモヤモヤする。「ジョーカー」なんかはその典型です。でも、いまは「街クリ映画部」があるので、「みんなで映画を観てからワイワイ話す」という「映画の別の楽しみ方」をこの歳になって覚えました。

「ひとりで観る」「みんなで観る」を両方楽しみたければ、1回目はひとりで、2回目はみんなで観ればいいんです。「街クリ映画部」にも2回観た方は結構いらっしゃいました。

ちなみに名前は伏せますが、某西島編集長は「この映画ひとりで観るの怖そうだったからみんなで観たかった」小学4年生レベルのコメントを残しましたが、確かに集団で観るというのにはそういうメリットもありそうです。

「笑い」と主人公の変化

それでは肝心の映画の感想について、みなさんのツイートを紹介しましょう。

https://twitter.com/i_to_shii_1618/status/1185403874309361664?s=20

「笑い」や「アーサーからジョーカーへの変化」というのはこの映画の重要なテーマでした。伊都詞さんが指摘しているように、この映画の「笑い」には種類があり、ラストシーン近くの微笑みに至るまで「笑い」の変化が主人公の内面とリンクしているところが興味深かったですね。

ちなみに劇中歌の名曲「スマイル」は、コメディアンのジミー・デュランテのカバーバージョンですが、オリジナルは映画のなかでも上映されていたチャップリンの「モダン・タイムス」の主題歌です。

https://twitter.com/DanyL_robamimi/status/1185231009756770306?s=20

この映画は意図的に「主人公の変化のわかりやすさ」を回避している節がありました。監督のトッド・フィリップスも主演のホアキン・フェニックスも、ハリウッド映画にありがちな類型化を避け、いかようにも解釈できるあいまいさを残していました。そういう演出のほうが、意外と観客の無意識に訴えられるのかもしれませんね。

その一方で、「登る/降りる」「追う/逃げる」というアクションの構図の対比は明確にありました。「降りる」「逃げる」ほうが軽やかなんですね。映画の冒頭で、ピエロのアーサーが悪ガキどもに看板を盗まれるシーンがありますが、追いかけるアーサーは結局ガキどもに袋叩きにあいます。ところが刑事から走って逃げるシーンは、最後に見事に逃げきって軽くステップを踏むシーンで終わります。心理的な変化はわかりづらいかわりに、アクションの設計はわりとはっきりしていました。

どこまでが妄想? どこまでが現実?

すでにいろいろなところで語られている件ですが、この映画はどこまでがアーサーの現実で、どこまでがアーサーの妄想なのか? というのはさまざまな意見がありました。

「信頼できない語り手」であるアーサー=ジョーカーだけでなく、アーサーの母親の話もどこまでが真実か不明瞭だし、禁じ手であるべき「夢オチ」を含めラストシーンをどう解釈するのか、議論はまだまだ続きそうですね。

今回のスペシャル・ゲスト

映画鑑賞後の食事会では、このイベントが開催されたきっかけでもある、「ジョーカー」関連のお仕事をされたサロンメンバーのお話もきけました。

サロン外に内容を口外しないことを条件で参加していただいたので、食事会のときのお話を一部を伏字にして紹介すると、
「〇〇をしようとしたら、〇〇からこんな〇〇があって驚いた」
「〇〇さんに〇〇をお願いしたら、〇〇した」
「〇〇がない状態で〇〇したので、〇〇を〇〇するのに苦労した」

って、全然わからんわそれ!

「街クリ映画部」らしさ

「街クリ映画部」のみなさんと話していると、自分では気づかなかった視点がもたらされるので、 「あぁ、なるほどなぁ!」というプラスアルファの楽しみが生まれるんですよね。

「タクシー・ドライバー」のトラヴィスや「キング・オブ・コメディ」のルパートを演じたロバート・デ・ニーロが、この映画に人気コメディアンのマレー役で出演したのはある意味必然ですね。こんなツイートもありました。

「神は細部に宿る」といいますが、映画好きが集まる「街クリ映画部」のみなさんのツイートには、次のようなマニアックというかトリビアルなものが。

そして「11時11分問題」に関しては、次のような回答もありました。

https://twitter.com/okamasayuki919/status/1185446941678718976?s=20

私の中にいたジョーカー

この映画は世界中で賛否が真っ二つに分かれました。否定的な意見が出るのは、ある意味当然かもしれません。

その一方で、世の中に対してなんらかの「生きづらさ」を感じている人には、ストレートに響く映画になっていました。アーサーは「貧困」「虐待」「精神疾患」という「犯罪者がうまれる三大条件」をすべて備えた悲劇的な人物ですが、そこまでいかずとも、なにがしかの不充足を持って日々の生活を送る人たちには、
「アーサー = ジョーカーはわたしだ」
と受けとられたことでしょう。

この映画が世界中で大ヒットした理由は、ことの善悪はひとまずさておき、以下のツイートに象徴されているような気がします。

Let’s Dance!

「ジョーカー」には、映画史に残るであろう決定的な名シーンがありました。主人公アーサーが完全に“ジョーカー”となって長い階段を下りながら踊るシーンです。映画前半では、フレッド・アステアをテレビで観ていながらも「暗黒舞踏」のようなダンスしかできなかったアーサーですが、ジョーカーになって素晴らしいダンスを踊ります。
このシーンは今後なんどもリピートされることになるでしょう。


https://m.media-amazon.com/images/M/MV5BNmUzNDgwYjAtM2IyYS00ZTc3LWJjMDgtZTQ2MzA5N2IyMDZhXkEyXkFqcGdeQXVyMTkxNjUyNQ@@._V1_SY1000_CR0,0,1327,1000_AL_.jpg
出典:IMDb

ダンスシーンで流れていた曲はこちら。

ハロウィンも近いことですし、皆さんもジョーカーの仮装をして映画を観て、長い階段でダンスを踊り、刑事に追いかけられてみてはいかがでしょうか?

最後にご紹介

11月11日(月)に「街クリ映画部」でジョーカーイベントを実施いたします!

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【イベント:橋口幸生の「歴史的視点で見るジョーカー」のお知らせ】

https://www.machikado-creative.jp/wordpress/wp-content/uploads/2019/10/11105.jpg
11月11日(!!!!)に、六本木でイベントをやります。
テーマは「ジョーカーを1111倍楽しく観る方法」
原作コミックやヒーロー映画の歴史を紐解きながら、「ジョーカー」の魅力を橋口幸生が語り尽くします。
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興味のある方は以下から「街クリ映画部」への登録をお願いします。
詳細・ご入会はコチラから。

それではシナトラのこの曲でお別れです。
サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ!

街角のクリエイティブ ロゴ


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