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「メン・イン・ブラック:インターナショナル」に思う、名店の味を継ぐむずかしさ

金子ゆうき 金子ゆうき


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ラーメン屋に入る。
昔よく食べたお店の暖簾分けらしい。
いわゆる家系ラーメンというやつだ。
こってり豚骨醤油スープに太麺、トッピングは海苔とほうれん草。


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出典:Wikipedia 海苔とほうれん草は家系ラーメンにはかかせません。

目のまえの丼はあの頃のまま。
いいぞいいぞ。こりゃあ、期待できる。

スープを一口。すこしやけどしようが熱々がいい。スープの余韻が残っている状態で麺をすする。勢いよすぎてメガネにスープが飛びちった。

……ん? 味かえたのか? 
なるほどなるほど、暖簾分けとはいえそのままのわけないな。

……それにしても……味、うすくね? 

とつぜんの食レポ失礼しました。

「メン・イン・ブラック:インターナショナル」の印象をお伝えするために、こうなりました。メンと麺のダジャレではありません。

先にいいます、あまり褒めません。

僕の映画に対するハードルはかなり低いです。mixiのともだち紹介に「つまらない映画でも寝ない」と書かれたくらいです。大学時代、男5人くらいで「東京タワー」を見たのがきっかけで書かれました。男だけで見る映画じゃねえだろ! と今なら思いますが、若さとは時間が無限にあると思わせてくれるものです。


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出典:Amazon 黒木瞳と岡田准一の不倫もの。なぜこれを…。

完全ネタバレ仕様です。シリーズ過去作について結末ふくめて言及することもありますのでご注意ください。

それでは、どうぞ。

メインキャストを一新した、あらたな物語

「メン・イン・ブラック」シリーズのあらすじと概略です。

はるか銀河の彼方より、未確認生命体飛来。そこに現れた、2人の無能な黒ずくめ捜査官。宇宙からの使者による侵略の危機が迫る中、人類の運命は誠に残念な2人に委ねられた。エイリアンによる地球侵略の全貌が、ついに、なんとなく明らかになる。

ごめんなさい、間違えました。「メン・イン・バカ」のあらすじを紹介してしまいました。


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出典:Amazon 見た目とおりの下らなさ。おもしろくはない。

ただしい概略はこちら。

ウィル・スミストミー・リー・ジョーンズのコンビで1997年に公開された「メン・イン・ブラック」。エイリアンが移民としてくらすニューヨークを舞台にエイリアンを監視する極秘機関メン・イン・ブラックのエージェントが活躍するものがたり。


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出典:IMDb ただしい「メン・イン・ブラック」。

「メン・イン・ブラック」には1950年前後に広がった都市伝説があって、UFOや宇宙人を目撃したひとのところに黒ずくめの男があらわれて口外しないようにと警告してくるといわれていました。この噂をもとに「未知との遭遇」や「E.T.」のスティーブン・スピルバーグが製作総指揮で映画化しました。

2012年の「メン・イン・ブラック3」以来となる今作ではメインキャストを一新。

ロンドン支部のエージェントHにクリス・ヘムズワース


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出典:IMDb 2018年ハリウッドで最も稼いだ俳優 第4位。

子どものころエイリアンに遭遇した新人エージェントMにテッサ・トンプソン


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IMDb 1983年生まれの35歳。もっと年下だと思ってました。

過去3作はベテランと若手の男性コンビでしたが、若い男女コンビとなりました。

MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース:アイアンマンからつらなるMARVELの作品群)の「マイティ・ソー バトルロイヤル」でソーとヴァルキリーを演じた2人です。


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出典:IMDb ヴァルキリーはバイセクシャルでMCU初のセクシャル・マイノリティキャラという設定。

MをスカウトするエージェントOにはエマ・トンプソン。3からの続投です。エージェントOはニューヨーク本部を率いています。


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出典:IMDb

ロンドン支部長・ハイTを演じたのはリーアム・ニーソン。娘救出のためにむちゃくちゃする元CIA特殊工作員を演じた「96時間」シリーズや「バットマン ビギンズ」の印象がつよい人です。


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出典:IMDb

監督はF・ゲイリー・グレイ。サミュエル・L・ジャクソン、ケビン・スペイシーの「交渉人」、ヒップ・ホップグループN.W.Aの伝記的映画「ストレイト・アウタ・コンプトン」、ワイルド・スピードシリーズ第8作「ワイルド・スピード ICE BREAK」などを手がけてきました。


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出典:IMDb F・ゲイリー・グレイ監督

冒頭からすこし物語を追っていきましょう。

ビジュアルと導入は完璧なのに……

シリーズのお約束となった手書き風フォントでスタート。BGMもおなじみのものです。シリーズとおして音楽を担当するダニー・エルフマンが今作もてがけました。

ハイTとHがパリのエッフェル塔で「ハイブ」と戦う一連の流れ。ここは完璧なんですよ。冒頭、車が奥から手前に走ってきますが、最初の「メン・イン・ブラック」もそうでした。車にむかって飛ぶトンボを追ったショットではあるんですが手前に走ってくるのはいっしょ。

エッフェル塔をみあげながら「パリは嫌いだ」とハイT。Hは「この街はこれから壊滅しますから」と軽口でかえす。このやり取りもいい。クリス・ヘムズワースがふっ飛ばされるのもわかってる感じ。ウィル・スミスはよくふっ飛んでいました。


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出典:IMDb 開いた扉からまばゆい光という演出も古典的なSFぽくていいですよね。

老獪なベテランと勢いのある若手コンビはおなじみ感がありますし、過去シリーズへの目配せがわかります。シリーズであることを丁寧にみせつつ、そこからあたらしいコンビが活躍するんだろうという期待もふくらみます。

「メインの敵は冒頭から示される」というシリーズのお約束も踏襲しています。ひねりは加えられましたが最初に出てきているという点ではおなじ。

幼少期の話をへて、Mはメン・イン・ブラック入り。子どもエイリアンが「モォリィー」といったところは「E.T.」ぽくて笑いましたね。

ジャバビア星の王族ヴァンガスを護衛する任務についたHとM。新コンビの誕生です。

で、ここから雲行きがあやしくなる…。

いちばんつらいのがHとMの関係性。

若いコンビとはいえ、エリートとされるHと新人のMという2人なら「H=K(トミー・リー・ジョーンズ)」「M=J(ウィル・スミス)」を想像するじゃないですか。Hがメンター的な役割だろうと。


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出典:IMDb 名コンビの影がちらつくのはしかたがないでしょう。

しかし、どう考えても逆。


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出典:IMDb MがHを導くような関係性に…。

軽口とノリで解決しようとするけど解決できないH。ハイTに「期待をうらぎらないですから…」と懇願したのに、Mには大きな顔をするとか、ポンコツにしかみえません。一方、的確に捜査をすすめるM。メン・イン・ブラックのシステムにハッキングしていたように天才なんでしょうが、できすぎでは…。

あたらしいコンビなんだからといえばそうですが、過去シリーズがあるんです。あたらしい文脈をのせるのであれば丁寧にやらないと伝わらないと思うんです。

Hのポンコツっぷりはエッフェル塔でハイブにのっとられたハイTにニューラライザーで記憶を改ざんされた影響らしい。「結果的」に「なんとなく」わかるんですが、モヤモヤの方が大きい。Hが有能である過去のエピソードでもあればよかったんですが、それもなし。

そもそもですよ。ニューラライザーで記憶改ざんされると有能な人がポンコツになるなら、ホイホイつかい続けるのはどうなんだよ! という致命的なツッコミが成立してしまう気が…。「メン・イン・ブラック2」では自由の女神からピカっとやっていましたからね。

「ダメな白人男性」「優秀な黒人女性」という組みあわせはハリウッドの潮流にのっているようにみえます。でも「はい、優秀な黒人女性」「ほら、白人男性ってだめだよね」と、設定だけぶちこまれて雑にすすむので、どちらも鼻についてしまいました。

最近だとMCUの「キャプテン・マーベル」が強い女性というテーマで印象にのこっています。女性だからと抑圧される主人公が力を開放することがメインの流れなんですが、クライマックスで男の理屈に強烈な一発をいれるところなんてとても痛快。性別をこえて抑圧された人がひろく共感できるところもすばらしかった。女性が優秀、というだけじゃ映画的なおもしろさにつながらないと思うんですよね。


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出典:IMDb ジュード・ロウをぶっ飛ばすところは本当にスカッとしました。

暖簾分けのラーメン屋と書いたのにつうじるのですが、今作は「メン・イン・ブラック」シリーズ。過去シリーズのよさをイメージして見にくるひとがいるのはあたりまえです。見た目はいいんです。クリス・ヘムズワースはカッコイイし、Oのスーツの仕立てもいい。肝心なのは中身、麺とスープの味です。

別の路線をめざす、あたらしい文脈をのせるなら丁寧につたえる必要があるし、しかも味自体がうすいんじゃお客さんはとまどってしまいます。

思っていたものと違ったけど、よかった! ならギャップからの加点は大きいんです。ジャンルはぜんぜん違いますが「スリー・ビルボード」は娘を殺された母の復讐劇と思いきや…と気もちよく裏切ってくれました。


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出典:IMDb

「メン・イン・ブラック:インターナショナル」は思っていたものと違ったうえに、あんまり…、になってしまったのが残念です。

シリーズ過去作やMCUネタはたのしいのに…

脚本はアート・マーカムマット・ホロウェイ。この2人はMCU最初の作品「アイアンマン」の脚本を手がけています。だからか、MCUのネタがちらほらと。

分かりやすいのは、予告でも使われた小さいハンマーをHが投げるところ。ベタだけどうれしいシーンです。残念だったのは本編だと字幕がかわったところ。予告は「ソーくるか」だったのに、本編は「いいキャッチ」。ちょっとこれはどうなんでしょうか…。


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出典:IMDb 物語のおもしろさで「ソーくるか!」と思いたかった…。

あと、砂漠に不時着したシーン。乗り物がアイアンマンっぽいですよね。「アイアンマン2」のスーツケースがそのままアーマーになる「マーク5」のカラーリング。砂漠へ落ちるシーンは「アイアンマン」にもありました。

細かいところだと、リザから武器を取りかえしたあと本名を明かすやり取りでポーニーが自分の名前を「スティーブ」と冗談めいて言うところ。スティーブはキャプテン・アメリカの本名スティーブ・ロジャースからとっているのでしょう。

MCUだけじゃなくシリーズ過去作からのものもあって、おなじみの虫たちがMとのすれちがいざまにパストラミ・サンドたべようぜというところがありました。パストラミ・サンドは3でグリフィンという重要キャラクターがパーティでたべていました。


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出典:IMDb すっかり見慣れた感のある虫たち。

あとは運転席をめぐってコンビが口論するところとか、随所にネタはあるんです。

ただ、どれも物語そのものをおもしろくするために機能しているとはいえない

見つけたらうれしいし、探すのもたのしい。でも、あくまで添え物。ラーメンでいえばトッピングです。ラーメンそのものがおいしくてはじめてトッピングもきいてるね! といわれるでしょう。ラーメンそのものはおいしくないけど「このほうれん草は素材が新鮮でゆでかげんも完璧!」とはならない。これはこれでけっこうつらいものです。

監督が見せたかったものを、かんがえてみる

あたらしい物語としてどこをめざすか。それをつたえる脚本がちぐはぐになった印象なんですが、制作過程でゴタゴタがあったようです。

初期の脚本は移民問題をとりあげたもので、主演の2人も気にいっていたようです。撮影段階で度々修正がはいり、監督と製作サイドが衝突。監督降板の危機もあったんだとか。

英語が読めないのでWikipediaから引用しました。ですので、いきさつの真偽は定かではありません。ごめんなさい

ただ、宇宙からはじめて移民がおりたったのがエッフェル塔で、エッフェル自身もメン・イン・ブラック創設メンバーという設定をかんがえると移民問題をとりあげた脚本だったというのは納得です。結果的にあまり活かされなかったのが残念。もしかすると移民問題へのこだわりがモメた原因なのかもしれません。

あと、何かあったんだなと実感したのは劇場パンフレット。監督・キャスト・スタッフのインタビューやメッセージが一切ないんです。これまでパンフレット購入してきて、ここまでコメントがないものははじめて。正直、かなりスカスカ。

散々いったんですが「めざしたのは、ここでは?」と感じた部分があります。
それは、バディものからの脱却

バディとしては過去コンビが最高峰で、そこを目指せばくらべられる。だから「メン・イン・ブラックというチーム、ファミリー」の話にしようとしているんだと感じました。

ハイT・Oという上層部、H・Cなどバリバリの現場、そして新人のM。ここにエイリアンたちも絡んで協力しながら地球をまもる。メン・イン・ブラックのエージェントは社会から消えた存在です。過去シリーズはKをとおして悲しさやつらさを描いたともいえます。その流れをくみ、エージェントは互いの存在を知る、唯一の者同士だからこそ絆をむすぶことができる。そんな方向をめざしたかったのではないでしょうか。

というのも、F・ゲイリー・グレイ監督はそういう物語を撮ってきた人だからです。血のつながった家族ではない人たちと、故郷ではない場所であたらしいファミリーをつくる物語。

「ストレイト・アウタ・コンプトン」では全米でも屈指の治安の悪い街カリフォルニア州コンプトンでのどん底の生活から抜けだすためにイージー・Eやアイス・キューブ、ドクター・ドレーがヒップホップ・グループ「N.W.A」を結成。その過程での成功と挫折、衝突と絆を描きました。当時の人種問題をリアルに切りとり、ライブシーンも見ごたえがある完成度のたかい作品です。


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出典:IMDb 音楽をとおしてファミリーになったN.W.A

「ワイルド・スピード ICE BREAK」も血のつながった「家族」か、血のつながっていない「ファミリー」か、という残酷な選択をつきつけられる。それを乗りこえるファミリーの絆の物語です。ド派手なアクション・カースタントに目がいきがちですが、人間ドラマが非常によくできていました。僕はシリーズでこれしか見ていないのですがずっと見てきた人なら涙腺崩壊するんじゃないでしょうか。


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出典;IMDb

えらべない、なじめない環境を抜けだし、あたらしい居場所を見つける

Mがそうじゃないですか。子どものころにエイリアンに遭遇して、両親だけが記憶を消された。エイリアンの記憶をもったまま成長したから周りになじめない。つらい経験だってしたはず。メン・イン・ブラックをやっとみつけたと言っていましたが、Mにはそれしかなかったんです。自分の記憶をみとめ、共有できる居場所と仲間をやっとみつけたんです。


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出典:映画.com

劇中では一切かたられなかった、エイリアンに出会った夜からコールセンターで働く日々のあいだにこそMの真実があったはずなんです。そこを掘りさげてほしかった。みせてほしかった。

同じテーマで記憶にあたらしいのは「ボヘミアン・ラプソディ」。複雑な生い立ちをもつ少年ファルーク・バルサラがクイーンという居場所・ファミリーをみつけフレディ・マーキュリーになる物語でした。「ボヘミアン・ラプソディ」も実現までに紆余曲折あり、ブライアン・シンガー監督が完成前に降板(クレジットの監督はブライアン・シンガー)するというゴタゴタがありましたが、大傑作になった。ゴタゴタがあったから必ず物語がうまくいかないということはないんです。


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出典:IMDb

映画にかぎらずですが、人のつくるものには必ず歴史が、文脈があります。その線上でみられ、評価されることからは避けられません。過去シリーズがあればなおさらです。名作といえるものを受け継ぎ、さらに発展させることがいかにむずかしいかを残酷なかたちで実感させられました。もっとできたはず! と感じるところがあるだけに余計に残念です。

「メン・イン・ブラック:インターナショナル」は正直、手放しに褒められるものではありませんでした。
HとMのコンビ、メン・イン・ブラックメンバーに次の物語があるならば、その時は「前作はいろいろありましたが、今作は大傑作! とにかく褒めまくります。褒め全部のせ!」と書きたいなと心から願って終わりにします。

あー、もっと褒めたかったなあ!


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[イラスト]ダニエル

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