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ものまね界に激震!!「アイ, トーニャ」 に会いたいにゃ!

シーズン野田 シーズン野田


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「この事件にはバカしかいない」

と劇中で事件を報道したジャーナリストが記者が語っていましたが、いやいや本当にその通り。登場人物はみんなバカです。

おそらく脚本の冒頭にある登場人物表には、
<登場人物>
ハーディング・・・バカ
ジェフ・・・バカ
ショーン・・・バカ、デブ、童貞
その他、バカ多数
と、書いてあることでしょう。

あの事件はこのバカどもの連鎖で起こったのです。ショーンは「地下組織の諜報員」だと言い続け、ジェフはそんなショーンを信頼して、金を渡す。ショーンの腕利きとされる工作員が、また輪をかけてバカ。

これは客観的に、観測的に彼らの証言を元に構成されているドラマなので「ふつうはこんなことしねーよ、バカだなぁガハハ! 」と笑って見ていられるのですが、当事者たちの心中は穏やかではない。当事者が当事者であることを緩やかに否定しながら話が進むのです。

当事者はいつだってバカなのです。
当事者になれば誰だってはたから見ればバカに見える。そしてこの映画はバカなやつらをバカバカしく笑えるように描きながらも、第4の壁を壊しながら「お前はどうなのだ?」と突きつける。

例えば、「ロッキー」で出てきた修行法を取り入れたシーンではコーチがカメラに向かって「これ、本当にやったのよ」と言ってみたり、しばらくハーディングと元旦那の話が続くと母親が「私の出番がないわね」と言ってみたり、銃をぶっ放しながら「私はこんなことしてない」と言ってみたり。

ぐるぐるとカメラが動く中でふと立ち止まって、登場人物たちがカメラの奥を見つめるのです。

野暮になりそうな演出も、しっかりと笑えるように作るのが「ラースと、その彼女」という奇形なオシャレ映画を撮ったクレイグ・ガレスピー監督の手腕なのでしょうが、この笑いの影に「笑って見ているお前らの芸術点はなんぼのもんじゃい? 」という挑発が隠れています。

挑発が隠れている、って日本語変ですかね? まぁいいや。ハーディングに同情的な作りではあるからか「被害者ヅラするな! 」とアメリカでは大炎上したとのことですが、これこそが本作の成功をより示しています。

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