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「リメンバー・ミー」二本立て映画評〜俺の中で賛否が両論〜

加藤広大 加藤広大


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【酷評サイド】とうとう最後まで軽視され続けた、音楽の力

違和感は、映画がはじまる前からあった。

最初の兆候は、スクリーンに映し出されたディズニーランドのバイト募集CMである。

ものすっごい笑顔で働いているキャストの姿が次々と映し出され、ラストの「キャストデビューしよう!」の一文が映し出された瞬間、思わず脳内で「ええっと、今から夢の国の話はじまるんですよね?」と突っ込んでしまった。

果たして、ディズニー映画を観に来た人がこのCMを見て「いいなあ、キャストかあ。キャストって響きがいいよね、みんなの笑顔も素敵だし、私、働こうかな」と思うだろうか。それとも「楽しみにしていたディズニー映画の前に、現実に引き戻すようなCM打つんじゃねえよ夢の国も時給かよ」と思うだろうか。後者の方が多いと思うのだが、どうだろうか。

このCMは、一体どのような意図で制作されたのか、上映前に流すというのは誰が決済し、責任の所在はどこなのか、また、そもそも効果はあるのか、などを見積もっていると、本編がはじまった。

映画は、おとぎ話に出てくるような雪が降り積もった街を空から映すショットではじまる。街の一番奥には城があり、晩餐会の準備だろうか、城のホールにはテーブルがいくつも並べられている。

メキシコを舞台とした話だとは聞いていたが、冬の街からはじまるとは意外や意外、ここからどう展開していくのかと考えていると、どこかで見たことがある雪だるまと、どこかで見たことがある女の子、どこかで見たことがある女王様が掛け合いをはじめている。

https://ia.media-imdb.com/images/M/MV5BM2VhMTdiYWEtMWNmOS00ZmRiLWE1NzktOWZjOWZjNWJmNWFlXkEyXkFqcGdeQXVyNjk2MjI2NTY@._V1_.jpg出典:IMDb

「これ・・・アナ雪だ・・・」

「リメンバー・ミー」を鑑賞していると思ったら、気付けば目の前では「アナと雪の女王」がはじまっている。完全なるポルナレフ状態。なぜ、今目の前でメキシコとはまったく関係ない女子が歌って踊っているのかは皆目検討がつかないが、おそらくちょっとしたCMか何かだろうとたかをくくって観続けること30分、立派な短編でした。

正直、アナ雪が未見な立場からすると、この短編は結構辛いし、観ていないので評価もできない。そして、最も辛かったのは

「アナ雪ですよー! 日本でも大人気のアナ雪ですよー! ほら、皆見てるでしょ!」

と、未視聴者おいてけぼり、完全なる身内ノリ、「こんなオマケがあって嬉しいでしょ?」とハイテンションで押し売りされる点で、再び一体どのような意図で制作されたのか、本編上映前に流すというのは誰が決済し、責任の所在はどこなのか、などを見積もっていると、ご丁寧にもエンドロールまで流した後、本編がはじまった。

軽視され続ける、音楽の力

「リメンバー・ミー」はメキシコにあるサンタ・セシリアという町を舞台として、家族の絆を描いた作品だ。

主人公のミゲルは音楽が大好きで、将来はミュージシャンを夢見ている。憧れの的であり、目標でもある伝説的なミュージシャン、エルネスト・デラクルスを崇拝し、屋根裏の秘密基地で毎日のようにビデオを観ながら、自作のギターを爪弾いている。

しかし、彼の家系は、ギターを弾くことはもちろん、音楽を聴くことすらも禁止されていた。その理由は高祖母の代まで遡る。

https://ia.media-imdb.com/images/M/MV5BZDc4ZmRjMTQtZGFlNi00NjVjLWE1N2UtOWQzODExNjBiOWY5XkEyXkFqcGdeQXVyNDE5MTU2MDE@._V1_.jpg出典:IMDb

かつて、音楽家であった高祖父は、地方へ巡業にでかけたまま、ついに帰って来ることがなかった。蒸発したのである。そのため、高祖母のイメルダは靴作りの仕事をはじめ、女手ひとつで娘のココを育てた。

音楽家と、音楽への異常なまでの憎しみを抱えたイメルダは、自身の家族に対して鉄の掟を設定した。それが「音楽禁止」である。以後一族はその伝統をミゲルの代まで律儀に守り続けていた。

本作は家族の絆、音楽の力を謳っている。しかし、音楽の力は軽視され、調子外れの見積もりばかりが提示され続ける。

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