ラッキー
ハリー・ディーン・スタントンの遺作である映画「ラッキー」の公式HPには、こんな惹句が記されている。
銀行強盗もしない、飛行機からも飛び降りもしない、人助けもしない。
「人生の終わり」にファンファーレは鳴り響かない
映画『ラッキー』公式サイト
初っ端から引用ばかりで申し訳ないが、予告編も以下に貼り付ける。
Reference:YouTube
こんなの、ぜったい面白いに決まっている。
御年90歳のラッキー(ハリー・ディーン・スタントン)はアパートに一人暮らし、毎朝コーヒーを飲み、煙草をふかす。簡単なストレッチをした後、着替えてから行きつけのダイナーに出かける。これが彼の日課なのだが、ある日突然気を失った彼は、人生の終わりが近づいていることを悟り、死と向き合いはじめるというのが話の筋。
痩せこけた姿で、よろよろと道を歩くハリー・ディーン・スタントンはもはや「自身も死に近いであろう」状態に見えてしまう。本作は彼の実体験に基づくエピソードが盛り込まれており、それらを演じながら回想したり、思案したり、話し合ったりする。なので現実と映画がシンクロする。これはズルい。見方によってはどんな話になろうが、面白くなるに決まっている。盟友、デヴィッド・リンチが良さそうな役で出てくるのもこれまたズルい。
とにかく、ハリー・ディーン・スタントンに死神が張り付いているのか、むしろ彼自身が死神なのかもわからないくらい強烈に匂い立つ死の香りは強烈である。しかし、ポスターに映し出された空はまるで「パリ、テキサス」のように青い。
観たい、観たくない、観る、観ないの問題ではなく、観なければならない。そんな気がする一本。
おわりに
以上、2018年3月公開予定の映画のなかで、個人的に気になるもの、おすすめできそうなものをまとめてみた。3月はゆっくり観られるといいな。次回は「デトロイト」評の予定です。