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2017年に日本で公開された映画「勝手にベスト10」

加藤広大 加藤広大


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8.パターソン

Reference:YouTube

ニュージャージー州パターソン在住のバス運転手パターソン(アダム・ドライバー)と、その妻ローラ(ゴルシフテ・ファラハニ)の日常(7日間)を描いた物語。判で押したような生活を送るパターソンの代わり映えの無い毎日は、監督、ジム・ジャームッシュの魔法により見事に「映画」となった。

ちょっとおかしいんじゃないかな? と思うくらい行動派のローラに、端々に登場する双子のイメージ、パターソンの耳に入る象徴的な無駄話、なぜか漂う不穏な空気、しかし何も起こらない、そして詩。散りばめられた記号たちはまさしくジャームッシュの指紋であり、彼が「撮った」という痕跡である。

ランクインした理由は多々あるが、永瀬正敏を登場させた時に、彼が持っていた詩集にカタカナで書かれていた「パタースン」という文字が「ミステリー・トレイン」で永瀬正敏と工藤夕貴が一緒に運んでいたスーツケースに書かれていた「カール・パーキンス」とシンクロし、勝手にグッと来てしまった点が決め手となった。

7.ドリーム

Reference:YouTube

「ドリーム 私たちのアポロ計画」という明後日の邦題でそこそこ炎上し、結局「ドリーム」という割と残念なタイトルに落ち着いた本作であるが、映画の方は大傑作。

そもそも、「米国とソ連の間で行われた宇宙開発競争の影で活躍した3人の黒人女性計算手の知られざる物語」と言われたら宇宙好きとしては観に行くしかない。

人種差別や性差別などという、ともすれば重苦しくなりがちなテーマを描きながらも決して暗くならず、ユーモアとセンス、愛に満ち溢れた本作は、大人でも子どもでも気軽に楽しめる娯楽映画として完成されており、これがアメリカ映画業界の底力かと感嘆せざるを得ない。

宇宙開発競争の他にも、ファッションや音楽、車、無骨でクラシックスタイルなコンピューター群と、多様な萌えポイントがクリスマスツリーの飾りのように散りばめられており、どこをつまみぐいしても楽しめる点でもポイントが高く、なかでもファレル・ウィリアムスの手によるサントラの素晴らしさは、これまた米国音楽業界の地力を感じさせる。

6.ベイビー・ドライバー

Reference:YouTube

エドガー・ライトは、今回キャリアのなかでも最高の仕事をしたと思うし、今まで監督を務めた作品の集大成と言っても良い仕上がりとなっていた。これは得意技を持って来て誤魔化しをキメたというわけではない。本作では「あ、これ前に観たな」という演出全てがアップデートされている。

「ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!」でのアクセルを踏み込む場面や、「ショーン・オブ・ザ・デッド」でクイーンの『ドント・ストップ・ミー・ナウ』を流し、動きと音をシンクロさせてゾンビと戦闘するシーンなど、過去作をカット・アップしたシーンの数々は、車やコインランドリーの乾燥機、そしてiPodのホイールが回転するかのごとく、映画や音楽の循環を感じさせた。

特にヒロインのデボラを演じたリリー・ジェームズに、今後10年は現れないであろう最高にキュートなウェイトレス役を与えたという点に関してだけでも、本作は万の言葉を費やして賞賛されるべきであり、「本当にありがとうございます眼福でした」としか言えない。というわけで問答無用のランクイン。別に1位でも構わない。

詳しくはこちらを見ていただければ。

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