口コミだけで広がっていき、現在も途絶えない客足。
「広告は出さず、ほとんどが口コミで来られた方や、親子二代でこられる方です。これまでには広告の話やインタビューの話が何度もありましたが、そうすると普段からいらしてくださる方々の仕立てに迷惑がかかるのでお断りしていました。現在の原油の高騰などで材料なども高くなってきてしまっているので値段を上げることも考えるのですが、昔からの顧客に何だか申し訳ないんです」と、久美子さんは話します。
「皆さんの夢を叶えるためにスーツをつくっているだけです。そしてその人たちの大切な一着になってくれたら嬉しい」と息子の田（デン）さんは衒いなくつぶやくように話してくれました。
2011年5月12日。「聖地」の主人であり、名物親父としてファンから親しまれた祐三氏が心不全のため急逝したが、現在も祐三氏の仕立てたモッズスーツは愛され、客は途絶えない。1カ月の間でおよそ100着以上のスーツを仕立てる忙しい日々が今なお続いている。
（さらば青春の光：ザ・フーが1973年に発表したアルバム「四重人格*Quadrophenia」を ベースにした1979年に公開されたフランク・ロダム監督の映画。）
洋服の並木店舗前
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