ストーリーへの投稿は、どうでもいいコメント付きの年賀状
また「特定多数へ向けた、どうでもいい近況報告」という点でも、ストーリーと年賀状は似ているかもしれません。
普通の大学生のインスタのフォロワーは、ほとんどがプライベートで繋がりがある人たちです。そしてもちろんその中には、中学の頃好きだった人とか、高校の頃の部活の先輩なんかも含まれています。
「今何してるのかなぁ」とは漠然と思っていても、わざわざ「最近どうー?」なんて、そういう人たちに連絡することはなかなかありませんよね。1年に1度、年賀状だけをやりとりする関係もそれに近いのではないでしょうか。
ただしインスタのアカウントをフォローしているからといって、タイムラインへの投稿を見ただけでは相手の近況はわかりにくいもの。
タイムラインに表示されるのは、投稿者の生活の中でひときわキラキラ輝くリア充の瞬間を切り取って、さらに丁寧に加工を施したものであって、日常の様子ではないのです。だからそれを見たところで、投稿者の生活が「最近どう」なのかはイマイチ判断できません。
対してストーリーは、リアルタイムの状況を文字入れ程度の加工で投稿する、日常の切り抜きのようなもの。投稿者の「最近どう」が恥ずかしいくらい丸見えなのです。
ちょっと前までツイッターで報告していた「〇〇なう」は、現在インスタのストーリーに移行しています。
「久々に授業出てみたけど、教室ガラガラ」
「駅で〇〇に遭遇」「賄いのオムライス」
受け手にとっては、というか送り手にとってもどうでもいいような情報が、ストーリーには映像と文字で溢れています。
これらを見て思い出すのが、年賀状でたまにある
「昨年は娘と一緒にジャニーズの〇〇くんにドハマりして、コンサートのために北海道まで行ってきちゃいました! まだまだ気持ちは10代かも?!」
というような、お母さんの欄のコメント。
この情報自体はすごーくどうでもいいんですけど、「ああ、あの人相変わらず元気そうだな」と、懐かしくてホッとしませんか。こまめに連絡をとる関係でない場合、求められている温度感の近況報告って、こういうことだと思うんです。
インスタのタイムラインの投稿が、綺麗な景色がプリントされたポストカードなら、ストーリーはこういう、どうでもいい近況が添えられている年賀状のイメージ。「へぇ、楽しそうじゃん」と思ってくれたら、それ以上のリアクションは特に求めていません。でも返信をくれたら、ちょっと驚くけど嬉しい・・・。
おわりに
以上、大学生がインスタグラムのストーリーを使っているときの感覚を解説してみました。
暇だからテレビをつける・お正月だから年賀状を送る・「〇〇なう」とツイートする、といった習慣はだんだん私たち世代の生活から離れていっていますが、何かしら形を変えて、ストーリーの世界に存在しているのかもしれません。
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