飲めない。だけど惹かれ続けるビール
まず、私はそんなにお酒は強くない。特にビールは腹いっぱいになるし、調子の悪い時だと血管が脈を打つ時だってあった。ビール好きな人間を、違う星から飛来した宇宙人を見るような目で見ていた時期だってある。
なんなら、体調の悪い時や寝不足の時などにビールを飲んで(グラス半分ほど)、脳みそに血が巡らず、酔っ払ってもいないのに、ぶっ倒れて救急車で運ばれる、なんてこともあった。“脳貧血”というものだった。しかも1度や2度ではない。10回や20回。いや、それ以上だ。
面白いことに、「脳貧血を起こすの時はいつも、ビール」だったのだ。ではなぜ、そんなに何度も倒れるのに飲み続けるのか。そう不思議に思う人もいるだろう。答えは簡単だ。
“学習能力がない”から同じことを繰り返す、ただそれだけだ。
倒れてから数回は恐ろしくてジンジャーエールなどで我慢する。それを数回繰り返す。もうなんだか、そろそろ飲んでも大丈夫な気がしてくる。そしてまた倒れる。それの無限ループだ。当時、ビールを1杯飲むだけで満腹中枢が悲鳴をあげていた。だからあまり好んで飲むことをしなかった。なのに今はどうだろうか。
ビールのためだけにスーパーへゆき、スーパーになければ酒屋まで出向き、2本まで・・・と心に決めたのに、気づいたら買ってきたビールが全部空になっている。大きな声では言えないが、平日の昼間から水を飲むような感覚で、ビールを空けることだってある。もう今では、ビールアレルギーかもと疑っていた自分が恥ずかしいくらい、飲んでいる。