WITHIN DESTRUCTION/PLAGUE OF IMMORTALITY
メタル系はダサいMVの黄金郷ですので、それらを並べていくだけで終わってしまいます。ので、今回は1曲だけ、しかも比較的新しめのサウンドでいきましょう。スロベニアの「WITHIN DESTRUCTION」というバンドの『PLAGUE OF IMMORTALITY』です。
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一瞬、綺麗なお姉さま方の健康的な肉体を拝めるのかなと思いきや、そんな幻想は数十秒で吹き飛ばされ、私たちは新世界を目撃することとなります。とにかく汚い、けど映像は綺麗というアンヴィバレンスで魅せていくスタイルは、メタルMVマナーを踏襲しつつも新境地を切り開くことに成功しています。しかし果たして、この新境地は切り開く必要があったのでしょうか? 有識者の意見が待たれるところです。
MVの後半ではやけくそレスリング大会が開催されていますが、唐突な取っ組み合いはフィンランドのフォークメタルバンド、コルピクラーニの『Wooden Pints』を想起させます。せっかくなので以下に貼り付けておきます。ちなみに邦題は『酒場で格闘ドンジャラホイ』です。どうぞ。
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Steklovata/Novi God
「どうかしているMV」をいくつか掲げて参りました。いずれも笑えるものばかりでしたが、ラストに来てついに、なかなかキツイ一発がやってまいりました。 Steklovataの『Novi God』という曲です。
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むせ返るような素人臭さ、そして狂気を感じずにはいられない彼らの表情は、ともすれば、何らかの力によって精神を汚染されているのではないかと思えるほどに不安定で不気味であり、面白MVとは一線を画す唯一無二の作品となっています。
精神面でも完全にどうかしていますが、更に特筆すべき点は、本作が2000年代に製作されたMVであることで、およそ21世紀とは思えないクオリティが我々を圧倒します。それはまるで80年代に撃ち損ねた亡霊が蘇ってきたかのようでもあり、「あれ、あれれ、なんだかおかしいぞ」と見続けたまま動画が終わってしまい、真っ暗な部屋で再確認のために何度も再生を繰り返していたところ気づけばすっかり朝になっていましたが私は精神に異常を来たしてはおりません。
ただ4人の少年たちが歌っているだけで、これほど不安になる映像があるでしょうか、これほど不気味な映像があるでしょうか。昔、控えめに言ってもジャンキーな方に絡まれたことがありますが、それとまったく同じ目をしています。様々な分野から言及されるべき問題作であると言えるでしょう。
以上、「完全にどうかしているミュージックビデオ」たちでした。どれもこれもトゥー・マッチな作品ばかりですが、ダサいと
「やるだけの価値があることは、過剰にやり過ぎるだけの価値もある」とミック・ジャガーも言っています。ダサいことを本気でやりまくるとある意味カッコよくなるものです。きっと、これらの楽曲も過剰にやり過ぎるだけの価値がある楽曲だったのでしょう。でも、やり過ぎだろさすがに。