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映画音楽のすごい人「タレンタイム〜優しい歌」のピート・テオ

加藤広大 加藤広大


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Reference:YouTube

ピート・テオは冒頭で紹介したとおり、マレーシアで生まれて、勉強も、音楽もできる多才な人です。でも、結構な苦労人で一度は現状に悩んで音楽活動を休止したり、マレーシアの映画、音楽のパイオニアとして新潮流にもすごく尽力して、歌い続けた人なんです。もちろん今も。

これ、そのまま『タレンタイム』のハフィズに繋がるんですよね。ハフィズはまだ少年ですけど、勉強ができて、音楽の才もあって、イスラム系だから優遇されるという偏見を跳ね返そうと一生懸命努力しています。まだ自分の周りの世界は狭い、それでもとんでもなく辛いことが起こるけど、最後は覚悟を決めて、それなりに世界にケリをつけてステージに登るんですね。

https://www.machikado-creative.jp/wordpress/wp-content/uploads/2017/06/17884048_455011534834478_7553228171852939792_n-e1498211905442.jpg出典:タレンタイム〜優しい歌Facebook

そのときハフィズが歌う歌が「アイ・ゴー」ですが、実はこの曲、映画用に制作されたものではなく元々あった曲でした。アフマド監督はこの曲を聴き「次の映画で使いたいんだけど、いいかしら」と彼に訊ね、結果的にピート・テオが音楽を担当することとなりました。

アフマド監督は撮影中に何度も「なぜあなたはこの曲をつくったの?」と訊ねましたが、彼は答えられませんでした。

ピート・テオ自身もインタビューで語っていますが、この曲でひとつだけ確かなことは、「アイ・ゴー」は美しいメロディを持ちながらも、実態は「死」についての曲であるということです。

Reference:YouTube

「アイ・ゴー」ではこう歌われます

音楽は僕の命 君の美しい歌声
今はもう聴こえない
そして僕は行く

それを無意識的に感じていたのかどうかはわかりませんが、まるで映画にも出てくる告死天使と出会ってしまったかのように、『タレンタイム』が公開された翌年、アフマド監督はかえらぬ人となりました。映画自体も優しくて、楽しい音楽映画ながらも、死の影が常につきまとっています。

ほんとうに残念なことに、彼女はもう居ませんが、作品は残ります。ピート・テオの作品も同じです。偶然の出会いから何かが生まれて、それを受け取った人が語り継いだり、歌い継いだりする。それに影響されて何かを作ってみたりして、誰かがまた受け取る。循環が続いてゆく。これこそ文化じゃないかな、と思うんです。

ちなみこのあたりの「文化」についての話は、『超時空要塞チョウジクウヨウサイマクロス』から一連のマクロスシリーズですべてが描かれています。この話はいずれします。嘘ですたぶんしません。

いやはや、昨日の記憶すら残せない私ですが、『タレンタイム』を観て、ピート・テオの音楽を聴いて、心の底からなにかを成さねば、残さねばならぬと思わされました。

エヴァンゲロス・オディセアス・パパサナスィウという、たった22文字ですら打つのが面倒くさいと思ってしまうほどの人間にそう思わせてしまうくらい良い映画です。良い音楽です。ぜひ、観たり聴いたりしてみてください。

あなたがもし気に入って、誰かにすすめたくなったとしたら、私はとても嬉しいです。

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