• MV_1120x330
  • MV_1120x330

Mr.Children25周年記念コラム『十数年ぶりに潜った「深海」』

加藤広大 加藤広大


LoadingMY CLIP

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

mrchildren

私はそれまで日本で発売されたミスチルのアルバムは『EVERYTHING』『Kind of Love』『Versus』『Atomic Heart』『深海』『BOLERO』と、すべて所持していた。

何がそこまで収集欲を掻き立てたかといえば、それは『深海』が原因に他ならない。当時も、今でも彼らのなかでいちばん好きなアルバムである。

『深海』は、1996年にリリースされた5枚目のアルバムであり、バンド史上初のコンセプト・アルバムだった。


https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/41TJ4VXB7ZL.jpg
深海(出典:Amazon

作詞作曲はボーカルの桜井和寿、編曲は小林武史とメンバーが手掛けている。つまり、いつものメンバーでいつものように制作されたアルバムだったのであるが、蓋を開けてみれば、今までの音とは違い、全体的に重くて、暗い音が通底しており、とにかく異質な作品だったのである。

あれよあれよという間に売れてしまい、リリース曲はすべて大ヒット、不本意にもアイドル的扱いを受け続け葛藤していた桜井和寿に、更に伸し掛かったプライベートにおける人間関係のごたごたが作品に影響を与えたであろうことは想像に難くない。当の本人もインタビューで死をほのめかしたりもしていた。

しかし、幸か不幸か、いつ分裂してもおかしくないような精神状態で制作された音楽は、異質でありながらも、非の打ち所のないほど、素晴らしかった。

アルバムは『Dive』の波の音が流され、そこから海へと深く深く潜っていくようなSEで幕を開ける。

不安を煽るような音は、次曲『シーラカンス』へと繋がり、ピンク・フロイド調な深みのある12弦ギターが一音一音をしっかりと刻み付けていく。

Reference:YouTube

あくまで憶測であるが、小林武史はピンク・フロイドからの影響を公言しているので、もしかしたら冒頭のギターの音は彼がそのように調節したのかもしれない。さもありなんという仕事ぶりである。

エフェクトのかかった桜井和寿の声が聞こえ、まるで水の中で叩いているかのようなドラムが破裂したような音を立て、「深海」というコンセプトで作り上げられたアルバムが、本格的なはじまりを告げる。

街角のクリエイティブ ロゴ


  • このエントリーをはてなブックマークに追加

TOP