話を選曲の方に戻します。何なら話も長くなってきました。そろそろ風呂敷を畳みはじめましょう。前述もしましたが、本作のサウンド・トラックは比較的最近の曲(ほぼ2010年代の作品)たちがセレクトされています。こういった新しめの曲を使うことって、意外と勇気がいるものなんですよね。
サウンド・トラックのクレジット(私物)
だって、時代の風雪に耐えて、評価も定まっている、素晴らしい楽曲なんて世の中にたくさんあるわけですし、それらをセレクトすれば間違いないわけです。音楽好きな人も「お、気の利いた選曲だね」と喜びますし、万人受けしやすいものです。
そして、本作の一連の楽曲に通底している、なまじしっかりとルーツを感じ、元ネタリスペクトな曲の多さは、裏を返せば「最近の曲ばっかり使いやがってアレなんてアレのパクリじゃねえか」などと言われてしまう危険性をはらんでいます。
しかし、敢えて無難なセレクトに走らず、映画の世界観に合わせて1曲1曲大事にはめ込んだ誠実な仕事の結果、ネイディーンのように一歩前に踏み出すことに成功しています。この一歩は大きいですよ。映画のサウンド・トラックとしての成功例のひとつとして数えてもいいんじゃないでしょうか。
少なくとも、個人的には大当たりだと思いますね。このサントラ。
音楽はもちろんのこと、ファッションにも、ストーリーにも、全体を通して制作陣の誠実さと愛が感じられ、いい仕事してるなあと思わせてくれる作品でした。
あ、もちろん、名曲ばかりをぶち込んだサウンド・トラックが悪いと言っているわけではありませんよ。「スクール・オブ・ロック」「パルプ・フィクション」「ピンク・フラミンゴ・・・・・・はちょっと方向性が違いましたすみません。最近で言うならばその極北は「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」シリーズでしょう。素晴らしい映画、たくさんあります。
ああ、サントラって本当にいいですよね。こういう話、ずっとしていたいんですけど、残念ながら締切がやって迫ってまいりました。こればっかりは仕方ないですな。
「スウィート17モンスター」いい映画です。ぜひ、観てみてくださいね。