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アニメ映画化で再ブーム! 原作『夜は短し歩けよ乙女』の読みどころ!

神えみし 神えみし


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日常に潜む摩訶不思議 森見ワールドの真骨頂

森見登美彦は、これまで約15作品以上の小説・エッセイ等の作品を生み出してきた。誤解を恐れずいうと、だいたいどれも似たようなテイストの作品だ。

主人公は皆、自我を拗らせすぎた理屈っぽく阿呆な学生であり、そんな阿呆学生の主人公が、これまた阿呆な友人や一癖も二癖もある登場人物に振り回されながら、己のくすんだ青春をあれよあれよといつの間にか駆け抜けてしまっているというストーリーが多い。

また、多くの森見作品の舞台は京都であり、実在する町や地名、行事が登場する。『夜は短し歩けよ乙女』の舞台も京都である。森見登美彦は、そんな現実の中に荒唐無稽なストーリーをぶっ込んでくる。

例えば、線路がない京都の町のど真ん中をバカでかい電車が通っていたり、主人公が竜巻に煽られ空を飛んだりする。普通の小説家が森見登美彦と同じように支離滅裂な出来事を書いてしまうと、途中で「なんてリアリティに欠ける小説だ! 買った金を返せ!」と多くの読者はぷりぷり頰を膨らませながら本を投げ出してしまうだろう。

森見登美彦がすごいのは、他の小説家と違って非日常的事象をなんの違和感もなく小説の世界に落とし込んでいるところだ。日常の中の非日常が、小説の世界では日常化しているのだ。これは「マジックリアリズム」という技法を、森見登美彦が巧みに用いていることに他ならない。

アニメはアニメという時点で現実からかけ離れた産物としてみなされ、非現実的出来事が不自然に入り込んでも、観ている側としては「どうせアニメだから」の一言で違和感なく観ることができる。アニメ映画「夜は短し歩けよ乙女」も例外ではない。日常の中に潜む違和感のない非日常という感覚は小説でしか味わえない。

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