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渋谷VR施設『VR PARK TOKYO』に行って生きる意味について考えてきた

岡田麻沙 岡田麻沙


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さて、ここでVRだ

VRによって没入感を味わうという体験は、この「自分自身を投げかけていく」ことにつながるのではないだろうか? VRを通じて、実存的な生き方を体験できるのではないか? そう考えた。ここからは実際のレポートを通じて考察を進めたい。

『VR PARK TOKYO』は宇田川町のゲームセンター内にある。クリスマスの夜、わたしは場所だけを確認し、予約もせずに渋谷へ向かった。施設内には6つ以上のアトラクションが用意されている。80分の体験時間内に好きなアトラクションで遊んでもらい、時間がきたら入場者を入れ替えるシステムである(2017年2月現在)。「実存主義者に予約は不要だろ!」とイキって出向いたため、中途半端な時間に到着してしまったわたしは、途中入場をするはめになった。事前に時間を確認してから出かけることを強くお勧めする。
 

体験したのは、「DIVE HARD VR」という高所脱出型VRアトラクションだ。


出典:『VR PARK TOKYO』公式サイト

高層ビルの上で銃を連射して敵を倒し、ヘリに飛び乗って脱出するという内容。「だいぶ・ハード」という煽りの通り、本当に酷い目に合った。順番を待つ間、すぐ隣のホラーアトラクションのほうから、甲高い女性の悲鳴が聞こえてくるのも、そこはかとなく不気味であった。

スタッフのお兄さんの手ほどきに従い、ヘッドセットを装着する。簡単なチュートリアルの後で、すぐに本番が始まった。銃を手渡され、鉄骨のエレベーターに乗せられる。高度が上がるにつれ、甲高い金属音が体を包みはじめる。足元が容赦なく揺れる。すでに恐怖心はMAXである。頼んでもいないのに、地面がどんどん遠ざかっていく。おいやめろ、と叫びそうになった。わけのわからないまま世界に投げ込まれているじゃないか。すでに嘔吐しそうである。しかもなんか向こうから敵がやって来ている。たくさん。いい加減にして欲しい。誰がそんなことを頼みましたか。

敵は邪悪な感じである。蜘蛛のような動きをするメタリックな何かである。それらがカタカタと無機質な音を響かせてこちらに向かって来るのである。足元は揺れ続けている。無理である。こんな状況の中で、未来に向かって自分自身を投げかけるなど、正気の沙汰ではない。己の意志とは関係なく投げ込まれた絶望的な世界の中で、わたしはただただ足をすくませていた。そこに、お兄さんの声が天の啓示のように聞こえてきた
 

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