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渋谷VR施設『VR PARK TOKYO』に行って生きる意味について考えてきた

岡田麻沙 岡田麻沙


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VRをより深く楽しむための「実存主義」紹介

実存主義で有名な哲学者の一人であるサルトルは、『嘔吐(ジャン-ポール・サルトル著、鈴木道彦訳(2010年)人文書院)』というとんでもないデビュー小説を書いている。この作品の中で、主人公はネチネチとした考証を続けたあげく、最終的に「あ、人間の存在には意味なんかないわー」という結論に至り、そのことに吐き気をもよおす。実存主義とは、ものすごくざっくり言うと、この「意味なんかない」ことを理解したうえでどう生きるか考えようぜー、という立場のことだ。

「意味なんかない」をより詳しく説明するサルトルの言葉に、「実存は本質に先立つ」というものがある。彼はこれをペーパーナイフの例で説明している。ペーパーナイフは紙を切るために作られる。つまり、紙を切るという目的があったからこそ存在が生じたという点で、「本質が実存に先立つ」のだ。これに対して人間は、何かのために作られた存在ではない。先に存在がある。それから、何をしようか、何になろうかを決めなくてはならない。これが、サルトルの言う「実存は本質に先立つ」状態である。

存在の意味があらかじめ決められていないというのは確かに、吐き気をもよおすほど恐ろしいことである。値段の書いていない鮨屋で、「お気持ちで」と言われたときぐらい恐ろしい。サルトルに影響を与えたハイデガーは、この恐ろしさを「わけのわからないまま世界に投げ込まれている」という風に表現した。そして、そんな逃げ場のない状況の中で存在の意味を問い直し、未来に向かって自分自身を投げかけていこうぜー! と発破をかけた。ハイデガー、とてもロックだ。

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