バランスが命。ベルトを見せるジャストウェストパンツ
レディースのコレクションでも見られた、ベルトによるウェストマークはメンズでも際立つ。相当数のブランドが、カットソー、ニット、シャツなどのトップスをウェストインしていた。
通常の位置よりもウェストが少し高めのように感じられ、それがまた昭和な香りを醸し出している。平成生まれの若きメンズたちは、その上半身と下半身のバランス感が新鮮に映るのだろうが、昭和生まれの我々は若干のノスタルジーさえ感じてしまうのだ。
見えない? いや見える、薄手素材のゆったりパンツ
男性のゆるい下半身をスタイリッシュに見せる、センタープリーツ、テーパードパンツは今季も継続のようだ。しかし目を惹くのは、コンパクトにまとめられた上半身に合わせられた、ストレートシルエットのワイドめ、ゆるりとしたパンツだ。
春夏らしい涼しげな“てろり”とした素材が、動きに合わせて脚にまとわりつく感じがなんともセクシーに映る。隠しているのに、美脚を隠していないという逆説的なアイテムは、これまた女性の本能を貫かんとする。
映画はアニメーションで、細かなパンツのシルエットは気にしていないだろう。しかし当時の国民服は、物資統制令下において、衣服の簡素化・合理化を図った既製服である。食料配給も少ない中、一定のサイズで作られた既製服が自ずと体から離れていく。だからスタイリッシュなボトムスよりも、少しゆるさを感じるこのパンツこそ、心は惹かれてしまうのだ。