シタデル砦の民族音楽
本作の音楽といえば、文明崩壊後の芸能山城組こと、太鼓叩くだけマンたちと、ギター弾き続けるマンですよね。誰しも「え? なんでギター弾いてんの? 太鼓叩いてんの?」と突っ込みを入れたと思います。
これはジョージ・ミラーがインタビューで語っていましたが、戦いを鼓舞するための音楽の伴奏ですね。現実でもバグパイプ吹きながら突撃する部隊は存在します。
バグパイプで思い出したんですが、私が好きな軍人でジャック・チャーチルという非常にMADな方がいます。なにせあだ名もマッド・ジャックなのはさておき、第二次世界大戦時に矢を放って敵を殺傷したり、バグパイプを吹き続けていたら手榴弾に吹き飛ばされて捕虜になってしまったりと、まあ控えめに言ってもキ◯ガイだったんですね。
まさにマッド・マックスの世界にピッタリな史実の人でして、シタデル砦にはジャック・チャーチルの子孫がいると自分の中では勝手に決めています。そうそう、イモータン・ジョーも前日譚では軍人設定でした。
話を戻しまして、太鼓叩くだけマンたちと、ギター弾き続けるマンの演奏は、端的に言ってシタデル砦のウォーボーイズたちが奏でる民族音楽であると考えて良いと思います。
劇中では戦意高揚のための音楽しかありませんでしたが、宴会の歌や葬式のときの曲など、他にもきっとあるはずです。そうでないと、あれだけの資源を用いて楽器を作成するメリットがないですし、荒野で1人で生きていくには難しい盲目のギター弾くだけマンを養子にする意味がないと思うんですよ。
そして、ガソリンが命よりも貴重な世界でギターの先端からなぜか火炎放射が出る。戦闘も可能なギターと考えてもいささか無茶が過ぎますし、資源不足の世の中で聡明なイモータン・ジョーが無駄なことをやるとは思えません。
「やっぱ火とか出たらカッコよくね?」と思い付きで火炎放射してるわけでもないでしょうし、可能性としては無いともいえない「B’z」からの影響も、TV放送が過去のものになっている世界では考えられません。
ので、これはイモータン・ジョー並びにシタデル砦運営陣が音楽に関してはそれなりの資源を利用しても良いと考えていることになります。
ちなみに、なぜ火を噴くかについては実は答えが出ており、ジョージ・ミラーが「ロックだからさ」と言ったロックな話があります。
ほかにも、砦では子どもが太鼓を叩いてるじゃないですか。たぶん、子どもの中で優秀な奴が大人になったとき「ドーフ・ワゴン」に乗れるんですよ。ジョー様と一緒に出撃して演奏できるなんて、きっと憧れのポジションですよね。
私も地元でお囃子やってるんですが、やっぱり山車の上で太鼓を叩いたり、笛を吹いたりするのって、子どもにとって憧れなんですよね。先輩ウォーボーイズの背中を見て、「俺も大人になったらあそこで叩きてえ」みたいな。そう考えるとシタデル砦、意外と教育がしっかりしてます。
「ドーフ・ワゴン」(出典:「マッドマックス 怒りのデス・ロード」オフィシャルサイト)