• MV_1120x330
  • MV_1120x330

「マッドマックス 怒りのデス・ロード<ブラック&クローム>エディション」発売記念。本編のサウンドトラックを紐解く

加藤広大 加藤広大


LoadingMY CLIP

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

mad_eye

怒りのデス・トラックで荒野を彩ったジャンキーXL

「マッド・マックス 怒りのデス・ロード」の音楽を手掛けたのはジャンキーXL、オランダ人のミュージシャン、トム・ホーケンバーグのソロ・プロジェクトです。最近ですと「デッドプール」の音楽も手がけていましたね。特に日本で有名なのは、エルヴィス・プレスリーの『ア・リトル・レス・カンヴァセーション』のリミックスでしょうか。2002年にナイキのTVコマーシャルにも起用されていました。

エルヴィスと言えば、ワイブズのケイパブルを演じるライリー・キーオは、エルヴィスの孫娘でしたね。また、トースト・ザ・ノウイング役のゾーイ・クラビッツはレニー・クラビッツの娘さんでした。直接関係ないところでも、本作は音楽/ミュージシャンに縁がある映画です。

私はジャンキーXLの手がけた仕事をすべてフォローしているわけではないのですが、アナログとデジタルを組み合わせるのがとても上手な人です。アーティストというよりは職人であり、高いアベレージを常に叩き出せる印象があります。

「マッド・マックス/怒りのデスロード」の劇伴に関して、ジャンキーXLが海外サイト『reddit(AMA)』のなかで語ったところによると、怒りのデスロードでは、40年代後半から50年代に書かれた映画音楽を、現代音楽に引き戻すことを目標に、弦楽器はすべて生で録音されたそうです(もちろん、加工はされています)。

実際サントラを聴いてみると「え? これが生音?」というくらい重厚に加工された音の塊に圧倒されますが、これがまったくクドくない。電子機器を使いつつも、電力が足りないマッド・マックスの世界にピッタリと合致しています。

ちなみに「本作の音楽がどう作られたか?」に関しては、ジャンキーXL本人が詳細な説明動画をYouTubeにアップしており、ギター弾くだけマンの音の秘密から、太鼓叩くだけマンのドラムミキシング方法まで、余すことなくその「仕事っぷり」を明かしています。下手な音楽ドキュメンタリーより何倍も面白いので、ぜひご試聴ください。教則DVDとして出版しても売れるほどの映像が無料で観れる世の中は、結構MADです

Reference:YouTube

さて、本作のサウンド・トラックは、CD版が17曲入り、配信版が26曲入りとなっており、それぞれちょっとずつ違うのが悩みどころですが、なに、両方買えば間違いありません。とはいえ、この辺りはしっかり統一して欲しいところではありますね。

映画は爆速、爆走、爆発と、とにかく何かにつけて「爆」と付けたくなるほどのブッ飛び具合でしたが、サントラを聴くと意外に緩急がしっかり付いています。立て続けにチョイ聴きしてみると、音楽でブレーキをかけたり、逆にスピード感を出したりと、工夫されているのが分かります。

これ、サントラ単体で聴くのも最高なのですが、映像と交わるとエンジン音や爆発音、車体が軋んだりする音などが音楽の効果音や合いの手になって、単純にサントラを聴いたときより、何倍も臨場感とテンションを引き上げてくれます。むしろ、本編を観てしまうと、効果音、特に爆発音が無いと物足りない身体(耳)になってしまっているはずです。

なので、本サントラを聴き込む際は家のステレオで聴くのではなく、外出時に街の喧騒や、遠くから聞こえてくる救急車やパトカーのサイレンなどを味付けに聴くのが正しい鑑賞方法です。自分だけの荒野を目に前に描いてみてください。しかし、余りにテンションが上がってしまったからといって、通行人を襲うのはやめてください。それと、車の運転だけには気をつけてくださいね。

街角のクリエイティブ ロゴ


  • このエントリーをはてなブックマークに追加

TOP