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横山秀夫のミステリー小説まとめ

街クリ編集部 街クリ編集部


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5. 『64(ロクヨン)』
(2012年)文藝春秋

2012年『週刊文春ミステリーベスト10』、2013年『このミステリーがすごい!』ともに第1位、第10回本屋大賞第2位の本作は、2015年テレビドラマ、今年前・後編の映画にもなりました。

舞台は『陰の季節』同様D県警本部で、おなじみの刑務課・二渡警視も登場しますが、本作では、主人公は刑務部広報官の三上義信警視になります。14年前の未解決少女誘拐殺人事件、通称ロクヨンの捜査激励のために警察庁長官が同県に視察に訪れることになり、三上はその調整のため遺族訪問や、マスコミとの折衝を担います。そもそも三上は、14年前のロクヨンの捜査にも携わっており、長官の訪問を拒む遺族と警察疎遠の理由を探るうちに、事件に隠された警察の隠蔽と、長官訪問の本来の目的に行き当たります。本庁対地方警察、刑事部対刑務部、記者クラブ対広報部の対立、三上の娘の失踪等、組織と個人の生々しい葛藤とエゴのぶつかり合いがリアルな筆致で描かれ、終盤にはロクヨンの模倣誘拐事件が起こり、物語が収縮していきます。

2つの誘拐事件を核に描かれた小説ではありますが、三上をはじめ登場するすべての人物の内面描写の深さが読む者を惹きつける重厚な作品となっています。重厚でありながら、頁を繰る手は重くない、最上級のブランデーを味わうような読書をぜひお楽しみください。

まとめ

こうしてみると、いずれの作品も映像化されているのですね。作品の設定・構成、登場人物の心理描写がしっかりなされている横山作品は、読んだ側から絵が浮かんでくるのも当然ですね。読者が縦横無尽にイメージを膨らませられ、しかも硬派な横山秀夫の作品世界をぜひご堪能あれ。

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